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22話 新たなる変化

 私たちは村のみんなに見送られて旅立った。

 こんなに大袈裟な旅立ちは予想していなかったが、これはこれで感慨深い旅立ちになった。

 自分の帰るべき場所を振り返りながら、私たちは歩き出したのだ。

 

 私はお気に入りのポーチと父から貰った短剣を持ち、その上から大きい焦げ茶色のマントで身を包んだ。

 マントなんて動きにくそうだし邪魔なイメージしかなかったのだけど、実は色々と機能的だった。

 日差しの強い日には直射日光を遮ってくれるし、夜には毛布代わりにもなる。

 私は鎧などをは身につけていないのだが、直射日光による鎧の表面温度の上昇も防いでくれる。

 真夏の様な日には、低温火傷や熱中症の予防にもなるのだ。

 冬はその逆で、鎧の著しい温度降下を防いでくれる。

 私の戦闘スタイルなら常時身につけていても邪魔にならないので、前まで覆うことのできる大きめの物を着用している。

 

 リューネは変わらずの鎧姿であったが、特に大きな荷物は持っていない。

 実は、クロノア達に頼んで代わりに持ってもらっているのだ。

 ゲームのアイテムボックスのような物を複合魔法で作って、そこに必要なものを入れていた。

 リューネ曰く、時魔法を使う複合魔法は難しいんだとか。

 私は試しにやってみたら出来たので、自分の魔法で収納して持ち運んでいる。

 だが、この魔法を使った時に一つの異変が起きていた事を知った。

 使った魔法は【時空収納・箱】(リアルボックス)だ。

 

 そう、今まで横文字だった魔法の発言ワードが、漢字にるびが打ってあったのだ。

 実際すごくどうでもいいことなのだが、こんなことは初めてだった。

 試しに他の魔法も確認してみると、《オーラゲート》が【時空結界・身】(オーラゲート)となっていた。

 私が世界に混ざった影響って、まだ終わっていなかったのかと不思議に思いリューネに確認したのだが...。

 完全に混ざって落ち着くのは数年かかるそうだ。

 この現象も私の影響なのかと思うと、ラノベや漫画で見ていたイメージがそのまま影響してそうだ。

 

 まあそんなわけで、私も必要な物は魔法で収納しておりかなり身軽に旅立つことができた。

 

 一方レイルはと言うと、大きなカバンを背負って着慣れないであろうライトプレートメイルを装備して歩いている。

 腰には剣を差して、どう見ても歩きにくそうだ。

 出発する際に待とうかと聞いたが、そんな事はさせられないと意地を張る様に断られた。

 休憩した時にでも話をして、身軽になって貰おう。

 鍛錬の一環にはなっているのかもしれないし。

 

 

 私たちは今、北を目指して歩いている。

 東にあるメルトクロードは一度出向いていたし、どうせ世界を回るならと行ったことの無い地を目指している。

 クリュート村の北へ進むと、テグナムの村がある。クリュート村と規模の変わらない村だが、そこを超えると商業都市ザスタイル。

 更にその北西には聖都アラムがある。

 まずは聖都アラムを目指しているのだ。

 

 私は一度訪れさえすれば《ゲート》を使っていつでも行き来ができるので、まずは巡る事を優先する。

 ちなみに今では【時空飛翔】(ゲート)なのだけど、それはどうでもいい話。

 

 馬を使ってもいいのだが、時間もあるし体力を上げる事を意識して徒歩での移動とした。

 実際、風魔法を使うのもありなんだけど、あまり長時間の魔法使用は魔力の消費が激しく体に倦怠感が出るのだ。

 

 一度どれくらい魔法が使えるのか試したことがあったが、移動魔法や複合魔法は連発しすぎると体が怠くなり最後には使えなくなる。

 次に使える様になったのは三時間後のことであった。

 結果として、魔力消費の小さいものなら回復量が上回るため、ほとんど永久的に使う事は可能だった。

 

 とんでもない力を手に入れたわけだが、使い方を間違えると身を滅ぼす可能性は十分にある。

 考えて使用するのはもちろん、地力もつけていかなければならないのだ。

 メルトクロードまでは約百七十kmあったが、テグナムは約百km程度だ。

 ただ、整備された道がない為馬での移動は困難で、五日くらいかけて移動する予定だ。

 

 まっすぐ順当に突き進めば三日くらいあれば着く距離だが、あまり飛ばしすぎても疲労が溜まっていくだろうし、魔物との遭遇も考えるとこれくらいの日数で移動した方が良い。

 まずは歩く事に慣れていかなければならない。

 

 そう考えながら霊峰サクタスから連なるファルタリス山脈に沿って、林に囲まれた道を進む。

 

 村を出て三十分、早々に魔物に出くわした。

 昔私を襲ったライトブルが一匹、目の前に現れたのだ。

 私が身構えるより早く、レイルが荷物を降ろして飛び出した。

 ライトブルを切りつけて、危なげなく倒した。

 側で守ると言ってくれただけあって頼りになる。

 ふとレイルのクラスやレベルが気になった。

 

「ありがとうレイル、ところでレイルってどれくらい強いの?」

 

 昔ステータスを聞いた時とは世界の概念が変わっているから、前の情報はアテにならない。

 

「ん?今クラスEで、レベルは32だ。

 どうだ、結構強いだろ?」

 

 なるほど、今のクラスEなら昔で言うところのCと同程度の筈だ。

 クリュート村では一番強いんじゃないだろうか?

 

「そっか、何時の間にか強くなったのね。」

 

 協会にも登録しているようで、登録証を取り出して見せてくれた。

 

 "へへん"と鼻を鳴らしている。

 昔なら素直に驚いたんだろうけど、少し居た堪れない。

 

 "ガサガサ"

 

 周りの草が揺れた。

 その隙間からライトブルが顔を覗かせる。

 どうやら群に囲まれたようだ。

 見渡すと、ざっと十匹以上はいる。

 

「な、こんな数一度に来られたら防ぎようがない。

 ミレリア、俺の後ろに来い!」

 

 レイルは戸惑いながらも冷静に身構えて、私に指示を出した。

 安全に切り抜けるには私かリューネが戦った方がいいだろう。

 これから先もこんな事が起こるのだろうし、お互いの実力を知っておくべきだ。


「レイル、リューネ、ここは私がやるからそこで休んでて。」

 

 リューネの力は間違いないだろうが、本人はあまりやる気が無さそうだし。

 わざわざレイルを危険に晒すのもどうかと思う。

 それに、レベルも上げたいしね。

 

「まてミレリア、流石に数が多すぎる。せめて分担して」

 

 リューネがそう言ったレイルの肩を叩いて制止する。

 それを見て、私は魔法をイメージして発現する。

 

「 【大地ノ咆哮】(グラビティプレス)!!」

 

 発現すると同時に、超重力がライトブルを襲う。

 全てのライトブルが地に伏して動かなくなった。

 漫画などで想像していた"押し潰す"様な事にはならなかったが、効果自体は十分だ。

 これは足止めにはすごくいい魔法だ。

 そんな事を考えつつ一回で倒せなかった事を少し悔しく思いながら、次の魔法を発現する。

 

【氷結ノ槍】(アイシクルランス)


 上空に氷の槍が出現し、ライトブルへと突き刺さる。

 ライトブルが生き絶え、一つの核となって消えた。

 どう言う理屈か分からないが、魔法で倒した魔物は核となって消えるのだ。

 だから素材として獲得したい場合は物理的に倒す必要があるのだが、今その必要は無い。

 

「終わったよ。さ、勿体無いから落ちた核石を回収しましょ。」


 唖然とするレイルをよそ目に、私はニッコリと笑った。

 攻撃魔法の威力については、しっかりと把握していく必要があるわね。

投稿のペースは遅いと思いますが、よろしければ作者の気分転換に書き始めた此方もどうぞ。⬇︎⬇︎⬇︎

【ナビ妖精のすゝめ】

https://ncode.syosetu.com/n8310fj/

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