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18話 腕試し

早めに書きあがったので更新します。

「協会に登録したとして、人伝いに情報が広がらない様にはできるんですか?」

 

「そうだな、私の一存では何とも言えないが、掛け合ってみる事は出来る。

 だが、間違いなく上層部全体にその情報は広がるだろう。

 そこから下の者たちに対して、情報の伝達を防止するくらいに留まるだろうな。」

 

 いきなり規格外の登録があれば、こう言った組織で情報の拡散を止める事は難しいだろう。

 これ以上の詮索をされないのであれば、そのくらいのリスクは仕方ないか。

 

「なるべく情報の拡散を抑えてもらって、登録をお願いします。」

 

「君がそれでいいのであれば、こちらこそ歓迎したい。

 あと、これは個人的なお願いなんだが、君の実力を見させてもらえないだろうか?」

 

 実力を見せろと言われても、身体的には何もできないんだけど。

 魔法はどれくらいのものを見せればいいのかわからない。

 この前使った《オーラフレイム》はどうだろうか。

 いや、あれは下手をすると大怪我をさせてしまう。

 あれこれ考えているといい魔法を思いついた。

 出来るかどうか試しにイメージを膨らまし魔力を込める。

 すると、発言すべき言葉が脳裏に浮かんだ。

 これなら大丈夫そうだ。

 

「あまり多くは見せれないですけど、簡単な事でよければ。」

 

 その答えにクロイツ支部長は爽やかに微笑んだ。



 私たちは協会の奥にある修練場へとやってきた。

 クロイツ支部長と修練場の真ん中に立って向かい合う。

 私は特に武器は持っていないため、魔法を使う。

 剣なら多少使えなくもないが、素人に毛が生えた程度で人様に見せられるものではない。

 

「攻撃魔法はあまり使いたくないので、クロイツ支部長がその剣で私を攻撃してくれませんか?

 何なら殺すつもりで向かってくれていいです。」


 私がそれを言うと、クロイツ支部長が眉を潜める。

 

「いや、流石に防具もつけていない相手に剣を向けるわけには...。」

 

「そうよミレリア、クロイツ支部長はパラディンの称号を持つ騎士よ。

 それに対してあなたは武器も防具も持っていないじゃない、危険すぎるわ。」

 

 一緒に着いてきたイル姉が慌てている。

 

「でも、それくらいの人に全力で攻撃してもらわないと実力を見せられないのだけど。

 もし気がひけるなら木刀でもいいわ。

 大丈夫、どんなに切られても怪我しないから。」

 

 すると、クロイツ支部長がピクリと反応した。

 

「どんなに切られても・・・か、言うじゃないか。イルタナ、木刀をくれ。

 その実力を確かめてくれる。俺はてっきり、凄い魔法を見せてくれると思ったんだがな。

 後悔しないでくれよ。」

 

 イル姉が渋々と木刀を渡し、修練場の端へと避ける。

 クロイツ支部長は木刀を右手に持って身構えた。

 私は魔法をイメージし発現する。

 

「いつでもどうぞ。」

 

 私が言い終わるとほぼ同じタイミングで、クロイツ支部長が地を蹴り前へ飛び出した。

 その体格からは考えられない速度で飛び込んでくる。

 瞬きする間に、5m近くあった距離を一瞬で縮めて懐に入られる。

 私は動かずに、その動きを見つめた。

 瞬く間に右下から切り上げて私の身体を木刀が通り抜ける。

 気がついた時には、クロイツ支部長は私の右後ろに立っていた。


 私にダメージはない。

 

 手応えが無かったのだろう、クロイツ支部長は困惑している。

 

「続きをどうぞ。」

 

 


 

 クロイツは目の前の少女への攻撃に全くの手応えが無かったことに驚愕した。

(なんだと!?間違いなく当たったはずだ、あの攻撃を見極めたというのか!?)

 多少力を加減したつもりだが、避けられる速度では無かったはずだった。

 相手を舐めていた事を少なからず後悔し、心を落ち着かせる。

 剣を正眼に構えて持ち、全身に力を込める。

 自らの持つスキルを使用して、再び地を蹴った。

 彼の使用したスキルは身体強化ブーストと自信の移動速度を急激に上昇させる《クイック》。

 それして剣術スキルの中でも最速の技《一閃》である。

 弾丸並みの速度でミレリアの眼前へと迫り、切り上げと同時に跳躍する。

 そのまま天井へと到達した、更にそこを足場に天井を蹴って再び頭上から切りつけた。

 そしてミレリアへと振り返る。

 

「なるほど、私では君に傷一つつけることは出来ないようだ。恐れ入ったよ。」

 

 そして構えを解いた。

 



 ミレリアには、今何が起こったのかはほとんど見えていなかった。

 クロイツが構えを変えて動いたかと思うと一瞬で目の前に迫っていた。途端に姿を見失い、コンという音がして天井を見上げると、今度は目の前に立っていたのだ。

 





 こわー!当たらないってわかってても流石にこの速さは怖いわ。

 クラスAで既に人間の動きじゃないじゃないの!?

 

「君は、攻撃をすり抜けられるのかい?」

 

 クロイツ支部長が問いかけてくる。

 半分当たりで半分はずれだ。

 私が使った《オーラゲート》は身体を覆う魔力をそのままゲートにつなげる魔法だ。

 オーラフレイムの応用で、炎ではなくゲートを展開させたのだ。

 全ての物質は私に触れる事もなく、ゲートにより反対側へ出現するのである。

 私自身がすり抜けるのではなく、私に触れようとするものが亜空間を通り抜けていくのだ。

 

「そんな様なものですね。」

 

 よく見ると、イル姉がまたも立ったまま気を失っている。

 凄い才能だと思うけど、私のことちゃんと認めてくれたかしら?

 

「君の力はよくわかった、攻撃が通用しないなんてそれだけで脅威だが、それだけではないのだろう?」

 

「どうでしょう?」

 

 これ以上を求められても困るのだけど。

 その場は丸く収まった。


 イル姉を現実に連れ戻し、手続きをして冒険者登録も完了した。

 クロイツ支部長は私が冒険者をするのは勿体無いので、王国で働かないかと誘ってくれたが丁重にお断りした。

 

 協会内での情報拡散をなるべく防止してもらうことと、イル姉には村で口外しないよう念を押してお願いし協会を後にした。

 

 協会の登録証はカード型になっており、右上にデカデカとクラスが書かれていた。

 左側には名前やレベル、職業等提示したステータスが記載してある。

 

 あとは、父と母を説得するだけだ。

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