記録.7 はやすぎます
前日に募集を出し、回収箱に入れられた用紙を取りに行くことから1日が始まった。
「ふぁぁあ、リコルお前眠くないのか?」
普段通りの表情をしているリコルがこっちを見た。
「すごく眠たそうですね。私はいつもしっかり休んでいますから。大丈夫です!」
この元気の良さは少々羨ましい。元々、あまり明るい方ではないので変えられたらいいとは思っているがそんな簡単に変えられるならここまでこれできていない。
「あ、着きましたね」
リコルがそう言った。目線を前に戻す。そこには箱が置かれていた。
「この中に入っているのか。面倒だから沢山入ってくれればいいのだが……」
中を開けるそこには数十枚の紙が入っていた。
こんなに嬉しいことはない。早く終わらせられるのだ。
「やったな、リコル!」
「ええ、やりましたね!」
用紙をまとめて、城へ帰った。
任用の通知するための書類を書いているとそこにエドワードが現れた。
「水路が完成いたしました」
「はやっ!!」
思わず声を出してしまった。
近くにリコルも居たが彼女は聞いて居なかったようで表情一つ変えていない。
「お、おい、リコル。水路が完成したんだとよ」
「え!?そうなんですか?早かったですね」
聞いてからすこし驚いたようには見えなくもなかったが、然程といった感じだ。
「すぐに応募してきた人たちを招集しよう」
「かしこまりました」
エドワードがそう言い扉から姿を消していった。
俺の書いていた書類を残して。
「意味なかったな」
落ち込んでいたところにリコルが来た。
「私たちも用意しましょうか」
慰めてくれるのかと思いきやそんなことはなく、リコルも部屋の方向へ姿を消した。
一人取り残された俺は仕方なく自室へ向かった。
馬車を走らせ二人で農場へ向かう。
ついた時にはエドワードが説明も終わらせており、またしても俺の出る幕はなかった。
五十人ほどで着々と作業が進んでいっている。
この光景を見るのは実に気持ちがいい。
「なあ、リコル。水路の件といいなんでこんなに作業が早いんだ?」
リコルは一瞬考えたのか間が僅かにあった。
「チュートリアルだからですかね?」
リコルもよくわかっていないようだ。
「ま、まあでも、日本と違いますから!」
それはそうだが、本当にこんなんでいいものなのか不安になってくる。
そこに、エドワードが現れた。
「これによりあなたの使命は達成されたでしょう」
そう言って姿を消した。
それだけで姿を消されると何かあるのかもと思ってしまう。
「やることないし帰るか」
「はい!」
うーん、はやすぎてついていけていない模様