記録.6 暇なんです!
「よし!これでいいな」
俺は、人材確保のために張り紙を作っていた。
「リコル、こんなんでいいか?」
「そうですね、いいんじゃないですか?」
内容はこうだ。
充実した保証と保険、そして高額の報酬といった内容だ。詐欺などと言われるのは嫌なので付け足すかのように、辛い仕事ですとだけ書いておいた。
「えーと、エドワード。これを国中に知れ渡るようにしてもらえるか?」
「かしこまりました」
そう言ってどこかへ姿を消した。
水路も整備されていないので水を通さないといけないが、それについては国の事業として専門のところへ依頼を出したので問題はない。
あとは人が集まるのを待つだけだ。
「なあ、リコル思ったよりもやることないな。仕事はほとんど他の人たちがやってくれてるし」
「まあ、チュートリアルですし……」
やることがなくて彼女も退屈をしているようだった。
「なあ、せっかくだし暇ならこの街を見て回らないか?しっかり回ったことないから、さ」
「はい、ぜひ!行きましょう」
あまりにも暇だったようで目を輝かせてそう言った。
外に出て俺たちは出店が並んでいるところへきている。
「おお、すごいな」
「はい、すごいですね!」
リコルはすごく楽しそうに見える。
ブタ串のような肉を焼いているところに匂いでつられ思わず買ってしまった。
「食べるか」
「そうですね」
リコルは笑顔でそう言った。
それにしても美味しそうに食べるもんで、俺もガッツリとかぶりつく。
「あ、あっちぃいいいい!」
口の中で肉汁が溢れ出した。猫舌の俺には辛かった。
舌を火傷してしまったが、少し冷ましてから食べてみると美味しかった。
「もう、気をつけてくださいね?」
「お、おう。気をつけるよ」
すこし、いや、かなり照れてしまった。顔は赤くなっていないだろうか。大丈夫落ち着け、落ち着け。
「そ、それにしてもうまかったな。あの串」
「ええ、そうですね」
どこかニヤついたような表情でリコルは言ってきた。
「ね、猫舌なのをバカにしてるのか?」
「じょうだんです!」
あれ、でもこの国では農業が行われていた記憶がない。
「ここの市場って全部他国のやつなのかな?」
「ええ、おそらくそうだと思います」
「ここがいつか全て自国のもので埋め尽くされていたらいいな」
「そうですね。来てくれるといいのですが……」
「ああ、まずそこからだな」
一通り市場を回り終え、陽が落ちかけていた。
「そろそろ帰るか」
「そうしましょう」
リコルはそう言って前を歩いていくので、すこし走りそれに追いついた。
「楽しかったか?」
「はい、もちろん!」
リコルはそう笑顔で答えてくれた。
この笑顔が一番な癒しだなぁ。
そんなことを考えながら城へ帰った。
さすがはチュートリアル大体のことをやってくれてますね。