記録.19 まさかこうなるなんてな
突然だが俺は今。
オルデゥーク領、その領主の館の中にいる。
数時間前、リコル奪還のためここに潜り込もうとした時たまたま行なっていた検問で引っかかってしまった。
前調査では取られるのは通行料のみ、これがかなり金が取られるのだがそれだけのはずだった。
情報は徹底して管理したはずだ。俺たちが行くなんて知っているわけがない。
つまりこれは、なかなか発動しないと思っていた不運が一番大事な場面で発動してしまったとしか考えることができない。
気にも留めないレベルの不幸は何度もあったが、世界を跨いだから弱まっていると思っていた。
それが間違いだったのかもしれない。
そして、素性がバレた結果が今の状況というわけだ。
「お前たちはこの我が領に何の用で入ってきたのだ?」
恐らくオルデゥーク領主本人だろう。
リコルを取り戻しにきたなんてこんな状況で言えるわけがない。なんたって俺はチキンだ。その自覚はある。
何も言えずに口ごもってしまう。
「そうか、答える気がないのか」
「ならば、この我。オルデゥーク・ゲルダニウス4世の名の下処刑とする!」
なんだって。処刑って言ったのか。頭が追いつかない。
この状況だって、なかなか理解しがたいものなのに。
さらに処刑?ふざけるなよ!頭がおかしくなりそうだ。
「しょ、処刑だって?」
「い、いやだ!死にたくない!こんなところ来なければよかった!!!」
一緒に来た者たちが顔を真っ青にしてガタガタ震えたりしている。
俺が何も言わなかったせいで。こんな自分がいやになる。
「せ、せめてこの者たちだけは生かしてはもらえないでしょうか?」
俺は勇気を振り絞りそう言った。
ゲルダニウスは少し考える様子を見せ口を開いた。
「わかった。我は寛大だからな。しかし、お前はリーダーのようだしな。必ず死んでもらうぞ」
「はい、それでこの者たちが助かるのなら」
我ながら何言ってんだと思ってくる。
なんだ俺。主人公気取りでもして誰か助けに来てくれると思っているのか?
言った以上仕方がない。もう受け入れて次は行くしかないのか。
「では、処刑は明日の正午に執り行うとしよう。それまで最後の人生を楽しむんだな」
高笑いをしながら、やつは部屋を出ていった。
「もうどうしようもないのか?」
俺は鎖に繋がれ部屋に一人取り残された。
ついてきた8人は無事解放されたらしい。
これが事実であることを祈るしかない。
もう何も考えたくもない。
いっそ死んでしまおうか?
寝ていたのか気がつけば朝になっていた。呑気なもんだな。
「ありがとうこの世界。ちょっとは楽しめたよ」
色々あってやっと書けた。ああ、一宇大丈夫かなぁ




