記録.13 始動する
アレクという名の老人が帰り俺は母さんの正面に座っていた。
「これはどうゆうことなの?」
母さんは怒っているのかいないのか、感情が全く読めない表情をしている。
「どうゆうことって?」
「もちろんこの大荷物のことです!」
いや、やはり少し怒っているように感じる。
「まずは拠点からいいものにしようと思って」
俺は素直に思っていた事を答えた。
「でも、お金をあのお方に出していただいたんでしょ?」
なるほど、金を貰い買ったと思っているのか。
「母さん。話さないといけないことがあるんだ」
俺は真剣に母さんの目を見つめた。
すると、話を聞いてくれる気になったようで怒っていた表情が真面目な顔になった。
「母さんは言ったけど、前世の記憶があるんだ。俺は何かしらの力の影響で能力を持っているんだよ」
「うん。それで?」
母さんは真面目に聞いてくれているようだ。
「ものは俺の力でお金を生み出して買ったから、あのおじいさんには運ぶのを手伝ってもらっただけなんだ。それで、俺はこの世界を変えたいって思ったから、行動しようと思ったんだ」
「わかった。お母さんはアシルの為にできる事をする。だけど、お母さんより先に死ぬ事だけは絶対に許さないからね」
母さんはそう言ってくれた。
「うん、ありがとう母さん!」
「それじゃあ、模様替えやるぞー!」
「おー!」
母さんのその掛け声に思わず乗ってしまった。
すごく楽しく感じる。こんな気持ちになるのは久しぶりだ。
模様替えも終わり、心機一転で新しい生活が始められる気がした。
次の日、俺は体力をつける為にも母さんの仕事を手伝いに行く。
「母さん!」
そこには汗水を垂らし、仕事に打ち込む母さんの姿があった。忘れてはいけない、奴隷落とされてしまった事を。これはあくまで強制労働。しかし、体力をつける為にはもってこいの作業だ。
この周辺に住んでいる奴隷は大半が農奴なので、そこそこの自由は許されているが、母さんが倒れた日のように作業を怠ると朝まで刑罰を受ける。
「俺も手伝うよ」
「ありがとう、アシル」
母さんは疲れた顔で微笑んだ。
この日も只々。農作業を行っただけで、特に変わったことはなかった。
家へ帰り、夜ご飯を食べ、寝る。
そしてまた、朝に起きる。
体が小さく何もできなかった日々が、どんどん過ぎていった。
奴隷なので、学校へ通うことなんてできやしない。
しかし、体力と筋力だけは付いてくる。
動き出すにはそろそろいい頃合いだろうか。
俺は既に、17歳の誕生日を少し前に迎え、この国での成人を果たした。
まもなく奴隷としての仕事の通達がある。
その前に、やるしかない。
とうとう、始まりますね




