記録.12 老人 アレク
俺は悩んでいた。こんな子供が大金を使いものを揃え運搬してもらおうとしているのだ。況してや、奴隷街などに行ったらなおの事まずい気がする。
「どうしたんだい坊や」
白髪の優しそうな顔をした老人が話しかけて来た。
「ちょっと考え事をしていただけです」
「わしが聞いてやろうか?」
いいのだろうか、しかし頼る当てもない。
「はい、実はものを買おうと思っているのですがどうやって運べばいいのか悩んでまして」
「そうかそうか、それならわしに任せろ」
この人が手配してくれるのだろうか。
「いいんですか?」
「ああ、もちろんじゃ」
あまりに親切すぎる。あとで何かあっては面倒だ。
「でもお金とか」
「そんなのいらんよ」
ますます怪しい。俺は人を疑いすぎてるのか。いや、わからない。ここは元の世界じゃない。
「なんで、簡単に頼みごとを聞いてくれるんですか?」
「うーん、そうじゃな。お主が大物になる匂いがするからじゃ」
何が根拠なんだか、理解できない。でも悪い人には見えないな。
「じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「もちろんじゃ」
その老人に付いてくるように指示された。
付いていくとそこには荷馬車があった。
「これは、わしのでな買ったものをなんでも乗せるがよい」
「はい、ありがとうございます!」
これで問題は解決したも同然だ。
その後、街を見て回りベット、布団その他の家具などを買い。何かあった時のために子供用の鎖帷子と短剣を買った。売っているということは、この国では傭兵が重宝されているのかもしれない。子供用は護身だろう。
モンスターなんて出ないだろうから、おそらく対人用だ。
買い物も終わったので大荷物を積んでいる馬車で自宅のある方へ向かう。
家の近くで母さんがキョロキョロとしているのを見た。
「おーい、かあさーん!」
「アシル!」
母さんは物凄いスピードでこちらは近づいてきた。
馬車から降りていた俺をの事を抱き締めてきた。母さんの目には涙が浮かんでいる。
「心配したんだから!勝手にどこかへ行って」
その言葉の後に、さらに強く抱き締められた。
「母さんいたいよ」
はっとしたかのように俺から手を離した。
その時母さんは後ろにある馬車に気がついた。
今まで気づいていなかったのが不思議だ。
「どうも、わしの名はアレクと申します。あなたがお母様でしょうか?」
俺に対しての時とは口調がかなり違っていた。
「はい、そうですが。なぜ奴隷のこの子を?」
「そんなものは関係ございません。彼には才能を感じました。ただそれだけです」
「本当にありがとうございました!」
母さんは深々と頭を下げている。
俺も頭を抑えてられて一緒に下げた。
「そうだ坊や君の名はアシルと言ったか。覚えておこう。この積荷どこへ置けばよいのじゃ?」
母さんが名前を呼んだのを聞いていたのか。
場所も聞かれたので前方にある家と答えた。
老人アレクは馬車を俺の家まで走らせ、荷物を降ろした後去っていった。
うーん。彼はまた出てくる予感……




