記録.11 街へ向かう
扉が開き、ものが倒れる音がした。その音で俺は目を覚ました。物音がした方向を俺は見た。
「母さんっ!!」
俺の視界に映っていたのは地面に倒れている母さんの姿だった。
「どうしたの?」
アホヅラ下げてそんなことを口にしたことをすぐに後悔した。ここは元の世界じゃない。
「ごめん。母さん」
母さんからの返事がなかった。
慌てて呼吸を確認すると、息はしているようだったがしばらくは目を覚ましそうにない。
今の筋力ではどうすることもできないので少しだけ移動させ布団をかける。
一人にするのは心配だが、今は情報を集めなければならない。
母さんを置いて俺は家を出た。
薄汚い道を歩いていた。まずは街に出るためにはある程度綺麗な服を着なければ取り合ってすらもらえないかもしれないからだ。
運がいいことに無限に溢れ出る金を俺は手に入れた。
資金なのであくまで必要とするものにしか使えないのだが、それで十分すぎる。
服を置いてある店を見つけ店の中へ入った。
薄暗く、服が見えにくい。
「おい、ガキ!出て行け、お前なんかに売るもんはない!」
店の奥から店主と思しき強面の男が姿を現した。
「なぜ、俺に売るものがないと決めつけるんですか?」
俺はなるべく表情を変えないように話す。
金をたくさん持っていると悟られてはいけない。
どんな目に遭うか想像もできないしな。
「その格好、下民でもなければ奴隷だろう?そんな奴がましてや子供が持っているわけないだろう」
男はそう言った。人を見下しているという事はある程度ここら辺では力があるのかもしれない。
例えばこの店は表面上だけで他のことをしている可能性が高いか。
「ちなみにその服はいくらですか?」
ここに来てから見た中で一番綺麗な服を指差した。
「教える価値もねぇ」
男は全く取り合ってくれない様子だ。
「なら、これでどうでしょうか?」
手に持っていた袋からそれを取り出すと男は目を見開きどう見ても驚いているようだ。
つまり、これは男からしても大金なのだろう。
「どうですか?」
動きが止まっていた男に問いかけた。
「あ、ああもちろんそれでお前にやるよ」
そう言ったが、明らかな嘘にしか見えないので5枚出した内の一枚を男に渡した。
反応からしてもあれだけでもかなりの価値なのだろう。
服を手に入れた後、靴も手に入ったので早速街へと向かう。
どうやらここは、一般人が住む場所に隣接しているのだとか。すぐに着くだろう。まだ日は高いところにある。情報が欲しいが拠点を充実させないとな。
しかし、この小さい体ではものを運ぶのに限界がある。というよりかはすっかり忘れていた。
どうしたらいいんだろうか。
どうしましょうか……




