記録.9 エピローグ
俺は目覚めた。
辺りを見回すが、真っ白で何も見えない。
声が聞こえるような気がする。
「いち……、いちう……、一宇!」
リコルが俺の横で膝をつき抱き抱えられていた。
心配しているような表情にもとれる。
「リコル、俺は大丈夫だ……」
俺の顔を見てリコルは、ホッとため息ついた。
「よかった」
目が見えるようになり周囲を見回すと最初に来た神殿のようなところに俺はいた。
死んだのは間違いない。二度目の経験だ。初めての時よりは驚いたりしないが、この感覚には慣れたくない。
「そうだ!一宇これを見て」
リコルが本のようなものを開きあるページを見せてきた。
「獲得能力、資金?」
「ええ、多分次の転生で継承される能力だと思います」
金がたくさんあるなら苦労はしなさそうだ。
「あ、そう言えばあの国はどうなった?」
「わかりません」
リコルは俯き加減でそう言った。
「そっか、いい方向に流れていくことを祈るしかないか」
「能力を手に入れたことだし!次の転生行きますか!」
「はい!」
その決意と同時に目の前に光の球体が現れた。
「これに入ればいいのか?」
「多分そうだと思います」
多分か、まあ問題はないだろう。
「よし、行こう!」
二人同時にその球体へと足を伸ばした。
するとあたりは不思議な空間に包まれた。
最初に経験したものと同じだ。色々とされているのだと思う。
「リコル、転生した先で!」
「はい!待ってます!」
リコルの笑顔は光に包まれて見えなくなった。
徐々に強くなっていった光ははじけ意識が飛んだ。
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「おかーさーん!お腹すいたよ」
「夜ご飯まで我慢しなさい」
優しそうな声が近づいて来る。
そして抱きしめられた。暖かい、温もりを感じる。
「私達は御領主様の奴隷なの、だから贅沢もできないし自由もないの。こんな世界に貴方を産んでしまって本当にごめんなさい。でも、生きてることに誇りを持って、貴方なら大丈夫だから」
抱きしめられながらそう言われた。
突然言われたその言葉は理解できなかった。
「う、うん」
「偉い子ね。早めの晩御飯にしましょうか」
笑顔でお母さんはそう言った。
「やったー!」
ご飯が出てくる。いつも通りの硬いパンとスープ。
「食べたら寝ましょうね」
「うん!」
「お母さん、明日って僕の誕生日だよね?」
「ええ、そうね」
「ご飯何が食べれるかなー。楽しみだな」
晩御飯を食べ終え少ししてから布団があるところへ行き薄い布団にくるまり、お母さんに物語を喋って貰いながら眠りについた。
読んでいただきありがとうございました!次回からは2章に突入します!




