記録0.プロローグ
俺の生まれ育ったこの街は昔は賑やかだったらしいのだが今は静かな田舎町だ。この街の雰囲気と同じような生活を送っている。今日もこうして学校へと通い、友達と話す。そんな日常を今日も送っている。
チャイムが鳴り担任が入ってくると皆んなが一斉に自分の席へと動き出す。かなり他人事のように思われてしまうが、俺はこの光景が結構好きだ。こんなことを考えてるからたまに変なやつだと言われ、揶揄われたりするがそれでいいと割り切ってしまっている。これが自分なのだからそれでいいと。
「おい、聞いているのか高橋!もう一度言うぞ?高橋一宇いるなら返事をしろ!」
「あ、はい。すいませんでした」
周りからはまたかよ一宇と笑われている。こうしていつもの日常が始まった。
◻︎◻︎◻︎
夕方になり皆んなは部活なので一人で帰っている。なら部活に入ればいいじゃんなんて思う人もいるかもしれない。しかし、やりたいことでないのなら続かないのは分かりきっている。今までの自分がそうだったからだ。やりたくないのなら、やりたいことだけをやればいいと思う。もちろん勉強とかは別だ。生きるために必要だから、真面目を演じて学校へは行くし勉強もする。まあ、友達と遊ぶのは楽しいから関係のないことだが。
「はあ、楽しいことないかな」
そんなことを呟きながら、帰宅中のルーティーンであるコンビニへとより、いつも通り漫画を読みその後おにぎりを買ってコンビニを後にする。
ここを経由しておにぎりを食べながら歩く。働いているのはさっきの店とは違う系列のコンビニだ。
なぜわざわざ違うコンビニに行くのかと言われればルーティーンに後からコンビニのバイトが入ったからとしか答えようがない。田舎で人もなかなか来ないので楽で助かってはいるが若干給料が少ないのは痛い。
時間が経つと部活終わりのやつらが顔を出しにやって来て、腹が減っているのだろうパンやらを買って少し喋ったら帰っていく。
それから一時間も経つとバイトを終え家へ帰る。
最後は飯を食って風呂に入り寝る。
だいたいはこの毎日を繰り返している。
「今日はとてもいい日だった」
今日の感想を一行もしない程度でまとめ眠りにつく。
そう運が良すぎたのだ。何も起こらないなんてここ数年ではありえない。俺は運の悪さには定評がある。
やばい、こんなことを考えていたら余計寝付けなくなってくるが、結局は睡魔に負け眠りについた。
◻︎◻︎◻︎
そして、また朝が来る。今日もいつもと同じ様な1日が始まると思うとやる気が湧いてこない。こんな時ノーテンキなやつになりたいと思ったりもする。
支度を終えたのでいつもの道で登校する。変わることのない日常が本日もこの通り多少曇ってはいるが一年の中に多くある日の一つでしかない。
T字路に差し掛かった時、トラックの音がだんだんと大きくなってきたことに気がついた。みるとすぐそこまで来ている。こんなところで人生終わりたくない。変わらない日常を対して楽しんでいなかったからなのか?それとも他に何か。あ、思い当たることが一つあった、運の悪さなら誰にも負けない気がしなくもない。でも、大切な場面では大きな運を使えたりしなくもない、なら今この時その力を発揮しなければならないとかじゃないのか!
◻︎◻︎◻︎
俺の体には何かが起きた気配なしなかった。
だがしかし、あたりには大量の血が撒き散らされていることが分かる。
野次馬達がトラックの周りを取り囲んで、ケーサツに連絡したり、動画を撮っている人もいる。これから晒されんのかなと思ってしまった。それにしても田舎なのによくもこんなに人が集まるんだな。
ケーサツが来て死体を確認しに行ったがそこには何もなかったらしい。彼らの会話の雰囲気でだいたいは想像がつく。どうしてだ?こんなことってあり得るのか?俺には分からないこれからどうなるか、俺は死んで尚も現世に留まっているだけなのか見当もつかない。
◻︎◻︎◻︎
あたりは一度白色に包まれた。
すぐにそれは消え神殿のような見た目をした所に立っている。
パタパタと足音が聞こえてくる。影の中からは人と同じ姿をした女が出てきた。
「私の名は、、、呆気なく死んでしまった残念な人を導く存在を殺してここに居座る者よ」
「言っている意味が全然わからないのですが」
殺して居座る存在って一体なんだよ。
「まあ、そんなことは大した問題にはならないわ」
とそいつは言っている。
信用できるとは思えない。
「で、俺はどうするんだ?」
「生き返りたいとおもう?」
「は???」
「時間はないわよ、さーん、にー、いー」
「生き返りたい!」
言ってしまった。つい勢いに任せて何やってんだよ俺。
その答えを聞いたそいつは顔をキラキラさせて満面の笑みを見せている。その顔は逆に怖い。
「では、行くわよ!異世界へ!」
え、今異世界って言ったか?俺の憧れだあぁぁあ!!
空間は白く光りを放ち、俺たちはそこへ引き込まれるかのように足を踏み入れた。
この光は何処へとつながっているのか、俺が目を覚ますのはそれから少し経った後だった。
読んでいただきありがとうございました、今後は定期的に投稿をしていこうと思っているので読んでいただけると嬉しいです