TIPS 二人の関係
†カル†
「あの二人、仲がいいのね」
エリカがため息を付きながら言った。
視線の先にはジンとヒヌカがいた。
「結婚の約束をしてるんだもん、当然だよ」
その現場にカルは立ち会った。
ジンの村では切り株で愛を誓う。
二人が花を置いたら、永遠の約束になるのだ。
「エリカってさ、ジンのこと好きなの?」
思い切って聞いてみた。
エリカは想像以上に驚いていた。
「……あたしが? どうして?」
「なんとなく、かな」
「そう言う、カルはどうなのよ?」
「好きだよ。でも、エリカが思ってる好きとは違うかも」
「どう違うの?」
「忍びの好き、かな」
「……なにそれ?」
「うーんとね、」
自分でもうまく説明できない。
主君に対する忠誠。
仲間に対する気持ち。
どちらも近いようで違う。
「命を懸けてもいいと思える人だってことかな」
「あの野郎、……こんなにかわいいカルにそこまで言わせるなんて……」
エリカが殺意をみなぎらせる。
なんだか怖い。
「でも、あたしも似てるかも」
「やっぱり、……好き、なの?」
「違うわ。思い出すの。あの二人を」
セイジとミキのことを。
エリカは言った。
あの二人は、……エリカの大切な人たちだった。
二人は愛し合っていた。
けれど、その愛は天上人に引き裂かれそうになった。
遊戯のために人間を殺す。
その遊びが何を壊すか、天上人は知らない。
救ったのはジンだった。
「恩返しってこと?」
「違う違う。ただ、守りたいって思うだけ」
「あ」
セイジとミキ。
ジンとヒヌカ。
……エリカはあの二人に重ねているのだ。
「一度目は守れなかったから。でも、今度は守りたいの」
「ふふ、幸せになってもらいたいね」
「そうね。……そして、あたしたちも同じくらい幸せになりましょ?」
「え、え、エリカ、顔が怖いよ!? な、なんで、手を握るの!? 変じゃない!?」
「変じゃないわよ? ウフフ」
「わ、わ、わ――――――っ!!」