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TIPS 呪具


    †エリカ†


 エリカの屋敷はズイレンの北側。

 天上街と呼ばれる区画にあった。


 エリカの主、ソテイラもそこに住む。

 帰宅の旨を告げ、エリカは自室に戻った。

 ここでは人間奴隷も個室を持つ。


 破格の待遇と説明したのは嘘ではなかった。

 ソテイラは人間を大切にする。

 変わった天上人なのだ。


 エリカは、携帯していた銃やら爆弾やらの手入れをする。

 いずれもエリカが自作したものだ。


 本来、こうした武器はバサ皇国に存在しない。

 ソテイラが霊術を使って召喚するからだ。


 エリカは、その能力を直接見たことはない。

 奴隷の間では召喚術と呼ばれている。

 それは農業に関するものだったり、医術に関するものだったり、なんでもありだ。

 ソテイラは不思議な技術で作られた道具を、どこからともなく召喚する。

 そうしてやって来たものは呪具(スンパ)と呼ばれる。

 呪具(スンパ)はソテイラ自身にも使い方がわからない。

 解明するのが奴隷の仕事だ。


 ソテイラは呪具(スンパ)を政治に使う。

 彼にしか作れない便利な道具。

 有力者に献上するにはうってつけだった。


 だから、技術は一般には流出しない。

 と言うより、しようがない。


 仮に盗まれても構造を理解できる者がバサ皇国にはいないからだ。

 理解できるのはソテイラの奴隷だけ。

 奴隷が重宝される理由もそこにあった。


 ソテイラだけの技術は彼の地位を確固たるものとしている。

 今回の旅も献上品を渡すのが目的だ。

 本来は顔のつながらない領主の血族に賄賂を送った。


 エリカは呪具(スンパ)の使い方を説明するために同行した。

 それ以外の会話は禁じられるため、ソテイラが賄賂で何をしたいかはわからない。


 何にせよエリカには関係のないことだ。

 三食付きで好きに仕事ができるなら文句は言うまい。



 ……それに、今はもっと重要なことがあった。

 ジンが見せた、青い炎。

 あれは紛れもなく本物だった。


 驚きのあまり平常心をなくすところだった。

 かろうじて平静を保ったフリをしていたが、内心は疑問でいっぱいだった。


 なぜ霊術を人間が持っているのか。

 どういう経緯でジンが手にしたのか。

 それも、ただの霊術ではない。

 あの霊術は特別なのだ。


 エリカは話にしか聞いたことがないが、昔、とある人物が使っていた霊術と全く同じだからだ。

 そして、その人物は、たぶん、ジンも知る人物だ。



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