破れている小説「破綻」
夫婦で知り合った経緯などの思惑とは??
いったい、この夫婦の絆って何だろう??
【小説作品】破れている小説
DEAR 大槻 愛( おおつき あい) さま
あなたのことが好きです。
だから夜の9時にいつも場所で待ってます。
9時は遅いかもしれないけれども、
都合のいい時間なら来て下さい。
上原要
何これ・・・。
私、上原さんのこと好きだよ。
でも、どうして恋してるってわかったのかしら。
上原さんは恋じゃないって言ってたのに・・・。
どうしてなのよ、どうして私が思ってることを
上原さんは分かってしまったのよ。
「愛ちゃん、上原さんに告白されたんだよ。
思いをぶつけてきたら・・・好きだったんでしょ」
私が意地を張って、上原さんには冷たくしていた。
イヤだー、冷たくしていたなんて思っていないよ。
だから上原さんがこのような手紙を置き忘れたんだわ。
勘違いもほどほどにして欲しい。
ちょっと愛にとって、考え過ぎなのである。
要は愛のことが好きなのである。
それを愛が感じなければ、要の運命は変えられない。
思いっきりこの手紙を見た時、泣いてしまった。
私が、大槻愛、24歳のOLです。
自己紹介遅過ぎる。この手紙を見て自己紹介するまで
何分かかったのか知ってる?5分だよ5分。
それで要は、夜の9時にいつもの場所って、
まさかあの事業所の前ってこと・・・??
「愛、行ってきなよ。あんたの好きな人は
上原さんでしょ。
早くもたもたしていないで行ってきなよ」
駆け足で愛は、要のところに猛ダッシュした。
夜の9時のチャイムが鳴ると同時に、事業所の要さんが
「愛さん、僕は君のことが好きだった。
結婚してくれ」と急かされた。
そう。
愛と要は婚約指輪をこの日に貰った。
DEAR 上原 要( うえはら かなめ) さま
あなたのことが嫌いです。
でも、浮気なんてするなよ。
いつもの9時のところで待ってるわ
大槻 愛
え?何があったの?
今、何時だと思ってるの?
かなめぇー、早く仕事しろよ。
「ひぇー怖い怖い怖い怖い」
ざけんなよ。愛っていつからこんな鬼嫁になったんだよ。
座布団の上で寝ててもいいだろ。
すぐ怒るんだもん。
それが愛の気性だった。
あんなに優しき嫁が、いつの間にか鬼嫁になっとった。
いったい、空白の日数、年数にいったいなにが
あったと言うのだろうか。
空白の破れた小説、事業所の日記帳がどこかで
破れていたのだ。
・・・。
誰が破ったの・・・。
いや、僕知らないよ。
どこで破れたのかも分からない。
この日記帳を見るだけでは、私達が何してたのか
わからないわね。
オーホッホッホッ。
5年ぐらいの日記帳が破れていたの。
誰が破ったのかは、今のわ・た・し(笑)
犯人はわ・た・し(笑)
愛の怖い顔が不気味だった。
要は思った。
こんな怖い嫁と俺、結婚してたのかって凄く泣いた。
それが悪夢の日記帳だったと言うことです。
破れた日記帳・・・。
敗れた小説・・・。
君の存在が愛し過ぎて、また破れる。
はははっ。
愛さま、恐るべしっラブラブ!
今日は月に帰って要に押し善きよ!
by 上原碧桜
1982年5月、岐阜の生まれ。上原碧桜。
私の小説作品は、これのほかに、「快速名古屋行きは永遠に・・・」、「オリンピックの卵?
猛烈な姉妹」、「明日のユリナ」があります。
Office系のフリーソフト、Wordで小説ファイルを作成し、独創的な小説を描き始める。