折り返し
深夜にあれだけ電話がかかって着たことに気が付けなかったのはなぜだろう?と少し困惑した。
慣れないソファーで寝てしまったからなのか、僕は電話を折り返す事に躊躇いを感じてしまった。
だって、家族の事で警察署からの電話なんて…もう何となく予想がついてしまっているから。
心の底から自分の考えを否定して、そうであって欲しくないと思いながら警察署からの電話へ折り返し電話をかけた。
プルプル…プルプル プッ
「もしもし、金葛第一警察署です。」
『もしもし…あのっ…。っ。』
「はい?どうかされましたか?」
『家族の事で…………。電話もらったのでっ。』
「家族の事ですか?どちらからですかね。」
『町井さん?と名乗られてました。』
「町井ですか、交通安全課かな。少々お待ちください。」
『はい…。』
「~♪」「お電話代わりました。町井です。」
『あ、あの。冬美です。』
「冬美さんですか。折り返しありがとうございます。内容がお伝え辛いこともありまして…今から金葛第一警察署の方へ来ていただくことは可能でしょうか?ご家族本人であることも確認しないといけないので身分証明書もお持ちください。」
『家族であることの確認ですか…?』
「えぇ…。」
『っわかりました。今から向かいます。』
「警察署につきましたら、受付で町井に呼ばれたとお伝えくださるとスムーズです。よろしくお願いいたします。では、失礼します。」
『はい。失礼します。』
あぁ、やっぱり。もう、この先は逃げられない。
現実を受け止める準備をしないといけない。
体の脱力感、手足の痺れ、記憶が朦朧とする。
夢であってくれれば嬉しいのにな。
自分の家族が一瞬で居なくなってしまったって、ドラマのような話だ。
自分の身に起きたことなのにあたかも他人事のように感じる。
でも、まだ家族がどうなっているかは分からない。
0.1%でも望みがあるから、僕は警察署へ足を運ぶ。