留守電
窓の外から鳥のさえずりが聴こえてくる。
何年ぶりだろう…こうして鳥の声に耳を傾けたのは。
いつもは慌ただしい朝を迎えているのに今日はとても静かだ。
寝慣れないリビングのソファーで一夜を明かしたので身体中が筋肉痛の様に痛く起き上がるのも面倒だったのでそのまま横になる。
昨夜、家族は帰って来なかったようだった。
携帯を眺めると昨日の夜につい電話してしまった親友の龍介からメールが入っていた。
(もう少ししたら、家でるから!待っとけよ。)
口は昔から悪いが面倒見のいい龍介とは小学校からずっと仲良しだ。
家もそんなに遠くなく徒歩でも15分圏内。
高校は流石に同じではないが家が近いこともあり今でも親交は厚く親友のままで居られるのだと思う。
そろそろ龍介が来る頃かと思い、玄関のカギを開けに行く途中に家の電話が光っていることに気づいた。
よくみると留守電が何件も入ってる。
知らない電話番号から何回も着信が着ているのをみて不思議に思うが昨夜家族が帰っていないことに関することだと直感で思った。
留守電を再生してみる。
イッケンメノルスバンデンワデス
ゴゼンニジゴジュウサンプン
「もしもしー、私警察署の者ですが、冬美さんのご自宅でお間違いないですかー?ご家族のことでお伝えしたいことがあります、早急に連絡をお願いします。」ピー
ニケンメノルスバンデンワデス
ゴゼンサンジニフン
「もしもしー、先ほどもご連絡致しました警察署の町井と申します、ご家族のことでお伝えしたいことがありますので早急に連絡をお願いします。」ピー
サンケンメノルスバンデンワデス
ゴセンサンジニジュウニフン
「警察署の町井です。留守番に気付かれましたら連絡をお願いします。」ピー
なんなんだ…警察署の町井?
家族のことで?
一体なにがあった…。
僕はなんとなく理解はしている。
受け止めるのが怖いだけだ。