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3 year  作者: MIKI ITO
3/6

家の光

玄関に入ると家族の靴は靴箱にあるだけで、とてもスッキリとしている。

やはり、まだ帰ってきていない。


リビングの方からチカチカとカラフルな光りが漏れている。

電源をONにしたまま家族は出掛けたようで、クリスマスツリーの電球が真っ暗なリビングを照らし続けていた。

クリスマスの飾付けも毎年のようにされていてパーティーの始まりを待ちわびているように感じた。


部屋の電気を点けて先ほど持ち帰ったケーキを僕は確認してみることにした。

急ぎ足で帰ってきたこともあり、箱の側面には生クリームが付いており形こそ悪くはないが少しだけ側面が掛けていた。

家族には気付かれないように箱の側面は綺麗に拭き取って冷蔵庫に戻しておこう。


そうしてるうちに時間は夜8時半頃になっていた。

そろそろ帰ってきてもおかしくはない…携帯を眺めるが家族から誰一人と着信も入っておらず、不安でたまらなくなってきた。


9時になっても連絡がこなければ、一度家族全員に連絡を入れてみよう。

不安と心配に押し潰されそうな僕は一度リビングのソファーに腰を掛けて気を紛らすためにテレビを点けた。




リポーター『えー、ただいまですねー、クリスマスイブで賑わう街で死傷事故が起こったようです。中継です。ご覧ください、あちら見えますでしょうか?建物の上から何らかの物が落下し、下を走行中だった車両数台に衝突した模様です。死亡が確認されているのは大人子供合わせて3名、身元の確認はまだ出来ていないと発表されています。消防と警察が今、その他の車両から死傷が出ていないか確認中です。今のところ軽症が6名、死亡が3名です。またなにか消防と警察から発表がありましたら、中継で繋ぎます。以上現場の古谷でした。』


テレビアナウンサー「現場の古谷さん、ありがとうございました。今も消防と警察で救助活動、そして死亡した3人の身元確認を行っています。また連絡が入り次第、直ぐ皆様にニュースでお伝え致します。」


ゲスト「お近くに住まわれている方、不安でしょうね…こんな事故があるといつ頭上から物が落ちてくるかわからないし平気で外なんて歩けませんね。」


テレビアナウンサー「そうですね…。この事故の原因が早く解明されて、安心して皆様が生活出来る様になることを祈っています。」

テレビアナウンサー「それでは、次のニュースです。」




僕は唖然とした。

中継で流れていた街、先ほどケーキを取りに行った街。

事故の騒然とする現場、いつも交通量の多い普通の道路。

押し潰され大破した車、毎日家族が誰かしら乗っている家の車。

………似ているだけで同じ車なんて全国、全世界に何万何千台とある。

さっきも事故に居合わせた時に僕は見たんだ。

確信は持てない…けど、絶対に違う。

死亡が3名だなんて父と母と弟なんて絶対にあり得ない。

今も帰りが遅いのは何か理由があるんだ。


不安が絶頂に達してしまった僕は父親の携帯に電話をかける。

(ただいまお繋ぎしています…。プップップッ…プッープッー)

でない…。またかける。

(ただいまお繋ぎしています…。プッープッープッー。)

何ででないんだと頭を抱えても理由はわからない。

母親と弟の携帯にかけるが繋がらなかった…。


嘘だ嘘だ嘘だ…何で誰もでないんだ、僕の電話を。

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