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帰路
帰りの道中は早く家に帰りたいとしか考えておらず、ふと我に返った僕はケーキの存在を蔑ろにしていた事に気付く。
ただ、事故を目撃したという事に戸惑いを感じていたのは僕自身の体が表現していた。
震える体が持っているケーキを揺らす。
悪寒が止まらないが、12月のとても寒い冬だから当たり前だとも思った。
震える体をよそに僕は家の通り道を曲がる。
そして、いつもと違う景色がそこに。
家の前に着くとガレージに駐車してある家の車は無かった。
いつも周りと同じように明るく灯っているのに今日の家はとても暗く入りづらい。
家族が誰もいない事は静けさが物語っている。
クリスマスイブだから、クラッカーを持って暗闇の中隠れていてるんだとあらぬ期待をしてみたが、到底あり得ない雰囲気。
恐る恐る家のドアのカギを開けて中に入る。