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颯太と唯物語  作者: 平川 鉄
20/22

第九章別れ、そして新生活編

唯が風邪をひいてから数日が経って三人は忙しくパンを作っていました。


「菜月そっちの方を唯はレジを頼む」


「わかったわ」


「わかりました」


忙しい時間帯も終わり三人で片付けをしてあがろうとした時に唯のスマホが鳴りました。


「すみません。ちょっと電話です」


唯はそう言って電話をとりました。そして何か大切な話をしてたみたいで電話が終わると

なぜか落ち込んだ表情になっていたのです。

颯太はそれが心配で声をかけましたそうすると唯から返って来た答えは驚くことだったのです。


「唯何かあったのか?」


「あ~、いや、たいしたことじゃないですよ。アパートの改装が明日には終わるみたいなんです」


「そうなのか。よかったじゃないかやっと普段通りの生活に戻れるな」


「そうですね・・・」


そのやり取りを見ていた菜月は何かに気づいたようですがあえてその場では何も言いませんでした。


そのまま次の日のお店が終わりそれぞれの場所へ戻る時が来たのです。

荷物を持って唯が颯太に話しかけました。


「それじゃあ、お世話になりました」


「こちらこそ。また明日仕事でな」


「はい」


それだけを言って二人は別れたのでしたが菜月は颯太に話しかけました。


「私は唯ちゃんをアパートまで送ってくるね」


「ああ、任せた」


菜月は唯の後を追いかけて颯太は二階へとあがっていったのです。

菜月は唯に追いついて声をかけました。


「唯ちゃん待って」


「菜月さんどうしたんですか?」


「ちょっと話をしたいと思ってね」


「話ですか」


「ねえ、唯ちゃん本当はアパートに戻りたくないんじゃないの?」


「な、何でそう思うんですか」


「これは私の勘みたいなものだけど颯ちゃんとの生活があなたにとってとても

楽しいものだったんじゃないのかな」


「それは・・・まあ、楽しかったですけど別れるのが嫌とかそんなことはなかったですよ」


「そうなのかな。なら、どうして昨日あんなに落ち込んでいたのかな?」


「落ち込んでなかったですよ。それよりもようやく一人になれて嬉しいくらいですよ」


唯はそう言って笑顔を作ってましたが菜月にはそれが無理をしているように見えたのです。


「無理しなくていいのよ。本当は別れるのがつらいのでしょ、だからそんなに無理してる」


「そ、そんなこと・・・」


「ねぇ、本当のあなたの気持ちを教えて強がらなくていいのよ」


そう言われて後唯はついに気持ちを抑えきれずに涙を流して答えました。


「だって、私が元のアパートに戻らなきゃ颯太さんに迷惑かけるし、

それに私がいたら彼の負担になるだけだからわがまま言っちゃ駄目なんですよ!」


「なるほどね。それがあなたの本音かでもそれって本当にそうなのかな」


「どういう意味ですか?」


「だってね前も言ったけど颯ちゃん唯ちゃんが家で暮らすようになってから

ずっと明るくなって話すようになったしあなたとの会話もなんだかんだ言いながら楽しんでるわよ」


「で、でも、そうだとしても私がわがまま言っていいってことにはなりませんよね」


「そうかな、颯ちゃんなら案外言ったとしても最後には仕方ないって言って許すと思うけどな」


「そうなんですか」


「そんなものだよ。だからさ、わがままいっちゃいなよ。

それに颯ちゃんといないとわからない感情があるんじゃないの?」


「そ、そんな感情なんてありませんよ」


「そうかな~。まあそれはいいとして気持ちは決まったかな?」


菜月がそう聞くと涙を流してた唯はいつの間にか泣き止んで本当の笑顔で答えたのです。


「はい!話を聞いてくれてありがとうございました。私やることがあるので行きますね!」


唯はアパートの方へと走っていったのでした。


それを見送った菜月は一人なった時に誰もいない道で聞こえないくらいの声で話しました。


「やれやれ、何とかなったかな。本当に手のかかる二人なんだからでも、だからかなあの時に颯ちゃんが気づかなかったのって鈍感にも程度があると思うんだけどな

まあ、唯ちゃんも気持ちに気づいてないみたいだし私にもまだチャンスはあるな~♪」


そういいながら菜月は自宅への道を帰っていきました。


それから少したってから颯太は自宅でパソコンをあつかっていました。


「今までできなかった事をやるかな」


そう言ってパソコンを動かしていましたがすぐにやめてしまったのです。


「楽しくないな。前はこんなことなかったのに夕飯でも作るか・・・」


部屋からるとリビングの広さに少し驚きました。


「こんなに広かったのか・・・。と、とりあえず夕飯をつくらないと・・・」


そう言ってキッチンに近づいたとき前のようにインターホンを連打する音が聞こえたのです。


「荷物は頼んでないしま、まさかな・・・」


不審に思いドアを開けるとそこには予想したとおり唯がたっていました。


「ゆ、唯なんでここにいるんだよ」


「それは、ここに住ませてもらおうと思ってきちゃいました」


「アパートはどうするんだよ」


「それは、もう引き払ってきちゃいました。ってわけでよろしくお願いしますね」


「何を勝手に話を進めてるんだよ。と言うかここで断ってたら行く所ないんだろ」


「その通りです」


「断る選択ないじゃん・・・。はぁ・・わかったよ」


「やった!これからよろしくお願いします颯太さん」


「こちらそと言いたい所だが条件がある」


「なんですか?」


「家事についてだがこれから一緒に住むなら一日に交代でするぞ」


颯太がそう提案すると唯はめんどくさそうに答えたのです。


「嫌ですよ。なんで私が夕飯とかを作ったり家事をしなきゃならないんですか」


「それくらいあたりまえだろ」


「気が向いたらしてあげますからそれでいいですよね」


「いいわけないだろ!」


「話は終わりでいいですね。私急いできたからお腹すきました早く夕飯を作ってください」


そういいながら唯は玄関からリビングへと歩いていきました。


颯太は話しかけならがら追いかけていったのです。



こうして二人の生活が始まったのでした。

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