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阪上くんと保田くん(新装版)  作者: 尾仲庵次
出会いと学生生活
8/56

シュミレーションゲーム部

『部活、もう決めた?』

『いや……』

『じゃあ、うちの部に来ない?』

 竹下くんがそう言ったのは、部活動の希望用紙を出す期限の締め切りも過ぎた頃だった。


 部活動は全員が行わなければならないという学校の方針はあるものの、そんなものは無視する生徒が多く、実際は帰宅部が大半だったので、この締め切りもあってないようなものだった。


 ただそれでもボクはなんらかの部に所属したいとは思っていた。


 ……とは言うものの、やはり体育会系の部活は理不尽なことで苦しみそうだし、元来、性格がのんびりしていて、自分のペースを崩されたくないボクには合わないと思っていたので、選択肢からは外していた。

 野球やサッカーなどのスポーツは個人的に楽しむ分には構わないけど、誰かに何かを強制されながらやるのは嫌だったのだ。


 ボクのこういうところが社会に適合しない一つの要因なのかもしれない。

 この性格が災いして、仕事をいくつも変えてしまったのは随分後のこと。

 今はその話はしないことにする。


 竹下くんが誘ってくれたのは『シュミレーションゲーム部』


 ボクはこの部活がパソコンを使ってゲームをすることを活動内容にしたものだと思っていた。

 だから所属したい部のいくつかの中の一つに入っていた。


『おお。ちょうど興味があったんだよ』

『まじか! よし!! じゃあ入ろう!!!』

『おう!!』


 ボクは基本的にこういうノリに弱い。

 フレンドリーに来られると仲良くしたいと思って尻尾をはちきれんばかりに振って近づいていく犬のように喜んでこういうノリについていってしまう。


 要は人懐こい性格なのだ。


『阪上くんは人懐こいから、ちょっと人を疑うことを覚えた方がいい』


 これは就職して数年経ったあとにいろんな人から言われた言葉である。

 確かにあまり人を信じすぎるのも良くない。

 別に『世の中すべてが悪人だ』とは思わないけど、声をかけてくる人間の中には悪意はないもののこちらの思惑とは外れたことを言ってくる場合もあるのだ。

 だから、人が言うことをすべて鵜呑みにするのではなく、自分の想定から外れたこともあり得ると思って付き合えば、実際そういうことがあっても感情をかき乱されることはない。


 まあ、これも社会に出てから分かったことでこの頃はそんなことは分からないから、『こんなボクに声をかけてくれるなんて!』と思って大喜びでシュミレーションゲーム部に入部したのを覚えている。


 ただ……

 残念なことにシュミレーションゲーム部はボクが思ったような活動内容の部活ではなかった。

 パソコンなどほとんど使わない。


 ゲームと言えばテレビゲーム。

 そんなイメージを持っていたボクは、シュミレーションゲーム部のゲームの内容に驚いた。

 基本的に使うのは紙と筆記用具。

 そしてあらゆる種類のダイス……要はサイコロである。


 そう。

 シュミレーションゲーム部とはTRPG……つまりテーブルトーク・ロール・プレイング・ゲームを主な活動内容とする部だったのである。

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