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阪上くんと保田くん(新装版)  作者: 尾仲庵次
出会いと学生生活
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通学

 高校生活はのんびりとしたものだったと記憶している。

 中学時代と比べて通学時間は長くなっており決して朝の時間に余裕があるわけではなかったのだけど、不思議と中学の時よりも気持ちが楽だった。

 それもこれも中学時代にろくな思い出がないからなのかもしれないが、それに関しては本題から外れる話になるのでいつか話せる時が来たら話そうかと思っている。


 通学時間で言えば、中学の時は電車一駅分歩いていたので、やたら遠かった。

 田舎の学校に行っていたわけではない。

 ただ単に学区の端っこに住んでいたボクは歩いて15分のところに学校があるにもかかわらず、1時間もかけて通学しなければならなかったのだ。


 これに対して高校に関しても、通学時間は約1時間。

 ただ歩く時間はその半分行くか行かないかぐらいだった。

 あとはほとんど電車に乗っていたので、同じ1時間かかっていても、疲れは半分ぐらいですんだのだ。


 中学生活を思い出すと、高校生活は本当に時間がゆっくり流れているような感じだった。

 そして目にするものがすべて新鮮だった。

 当時は車の免許も持っていないから、世界が狭かったのである。

 自宅と学校の往復で、その近辺がボクの世界のすべてであり、電車に乗って違う街にある学校に行くなどという経験は生まれて初めてだった。


 最寄り駅から地下鉄に乗って戸塚まで。

 戸塚からJR東海道線、もしくは横須賀線で一駅。

 大船まで行く。


 この東海道線、もしくは横須賀線に乗るという行為が当時のボクにとってはなんだか遠くまできた感じがして楽しかったのを覚えている。


 東海道線は大船で降りずにずっと乗って行けば熱海まで行ける。

 特急『踊り子』号に乗れば下田まで行けるのだ。

 横須賀線に乗れば久里浜まで行ける。

 小学4年生から横浜育ちであるボクは京浜急行を使って何度も久里浜や三崎口まで行ったことがあったので、横須賀線に関しては終点がどこかというよりはどこを通って久里浜まで行くのかということの方が興味があった。

 それに加えて大船駅は、京浜東北線の終点であり、同時に湘南モノレールを使えば江の島まで行けるのだ。この湘南モノレールは吊り下げ式のモノレールでちょっと珍しいものらしい。


 電車の話しかしていないが、大船駅の横を流れる大きな柏尾川を覗き込むと、鯉が泳いでいた。

 さらにこの川は汽水域で、ボラも上がってきていた。


 実際には見たことがないのだけど、もしかしたらスズキやクロダイも上がってきていたかもしれない。当時はボラという魚は海の魚であると思い込んでいたから、川に上がってきているボラを見ては不思議な気持ちになったのを覚えている。

 そして相変わらず釣りが好きなボクはいつかはこの川の河口あたりまで行って釣りをしたいと思い、ワクワクしながら川沿いを歩き、学校まで通学していた。


 どれもこれも見るものすべて面白かった。

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