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阪上くんと保田くん(新装版)  作者: 尾仲庵次
出会いと学生生活

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鉄道研究部

 季節は夏。

 高校に入ってから初めての夏休みは何をして過ごしたかよく覚えていない。


 ボクの学生時代というのは特段目的意識もなく過ごすことが多かったので、基本的にはエアコンの効いた自宅のリビングで寝転がりながら、一日中、高校野球を見るか、そうでなければ図書館で本を読んでいるか、たまにお金があるときには釣りに行くかのどれかだったから、この事実だけをこうやって列挙するだけでもいかにボクが自堕落(じだらく)な生活を送っていたかが分かる。


 体格は肩幅が広く、筋力もそこそこあり、運動神経もそんなに悪くない。

 友人たちとたまに草野球などを楽しんでいたりもしたから、なにか体育会系の部活動に励んでも良かったのだろうけど、以前にもどこかで書いた記憶があるが精神論を振りかざされて、理不尽な怒られ方をする当時に体育会系の部活動には、自分は合わないということは分かっていたので、何かスポーツをしようとは一切思わなかった。


 そんなわけでこの頃の夏休みの思い出といえば……

 バルセロナ五輪で、当時、中学生だった岩崎恭子が金メダルを獲ったということぐらいだろうか。

 彼女が当時、中学2年生。

 かたやボクは高校1年。

 ほぼ同世代である。


 彼女は目がクリクリして可愛かったし、アスリートとしても人間として輝いていた。

 すごいなあ……と思うよりも、何か自分にないものを彼女はすべて持っているということでうらやましくもあって、すべての国民が喜んでいたこの快挙をボクは素直に喜べなかった記憶がある。


 そんな夏休みは無駄に過ごしていたからすぐに終わってしまった。


 秋風が吹く頃……と言いたいところだが、9月の初旬はまだ暑い日も続き、夏の名残が残る中、ボクは相変わらず帰宅部だった。

 実質、帰宅部だった友人は多く、そんなことを気にする必要もなかったのだけど、長い夏休みが終わってもなおボクは部活動というものに魅力を感じていた。


 そんな時に出会ったのが鉄道研究部なのである。


 ある日……

 授業が終わって、ボクがいつものように帰宅しようとしたら、保田くんが忙しそうにどこかに出かけようとしていた。

『忙しい?』

『ああ。部活でな』

『へえ。何やってるの?』

『鉄道研究部』

『おお。そうなんだ』

『じゃあ、オレはこれで……』

『ちょっ……ちょっと待ってくれ』

『なんだ?』

『あのさ』

『?』

『ボクもやりたい』

 こんなやり取りがあったのかなかったのか……

 やり取り自体は正確には覚えていないのだけど、この後、ボクは鉄道研究部に入部した。


 なんで鉄道研究部に入部したのか。


 もうなんでもいいから部活に入っておきたい……と思ったわけではない。

 仲の良い……と、もしかしたらボクが一方的に思っているだけの保田くんがいたから……というわけでもない。


 実はそれなりに鉄道には興味があったのだ。

 手持ちのお金がなかったので、電車に乗って遠くに行くなどの経験は到底できなかったのだけど、戸塚から大船までの一駅でも電車に乗るのは楽しかったし、大船駅で様々な特急車両を見るのも楽しかった。

 だから鉄道研究部……と聞いた瞬間、これは楽しそうだと思ったのである。

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