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いつか終わるその日まで  作者: 在間 零夢
不死の旅路
17/17

幕裏 蛇足あるいはあらすじ

  

 5月1日。

 ゴールデンウィーク前半最後の日、午前十一時半頃。

 俺は休日なのに珍しく起きていた。

 普段なら昼過ぎまでグースカ安眠惰眠を貪っているので昼前に起きているのはかなり久しぶりだ。

 しかし健康的(?)に起きること成功した俺のしていることといったらとても不健全な18禁ゲーム。

 いや、そういうシーンはほとんどとばしてるから感覚的には小説を読んでいるのと変わらないけど。世の人はそれがわからないらしくエロゲーというだけで侮蔑したり軽蔑している。

 これは何にでも言えることだし、だからこそよく言われてることだけど――よく知りもしないくせにわかったように批判するのは間違いである。このフレーズは本当にそのとおりだと思う。・・・それと同時にそんなことを言ったら誰も何も言えなくなるとも思うけど・・・。

 ところで話は変わるが俺は小説でもエロゲーでも一度終った物語ものを無理やりにまた再開さ

せる後日談、所謂アフターストーリーというものは余計だと思ってる。終わりというものは続きが無いから終わりであって続いているのならそれは終わりではない。だからソレは余分であり蛇足なのだ。

 ・・・まぁその蛇足の入った所謂ファンディスクを普通に俺は買うけどな!余計だと思ってるだけで嫌いとは言ってない。

 閑話休題。

 だから今日この日掛かって来た電話で会話した内容・・・いや、もしかしたらここまでの――これからの事はすべて、これが小説なのだとしたら蛇足以外の何物でもないと思う。

 それでもいいと言ってくれる数奇な人だけ読むといい。

 こういう蛇足はきっとファンになった人しか楽しめないだろうから。



 

 ブブブブブッ!

「うおっ!?」

 びっくりした・・・。

 机の上に置いてある携帯がバイブになってるとビックリするよな・・・。しかもやってる物がやってる物だし?

 ブブブブブッ!ブブブブブッ!

 携帯はびっくりした俺を嘲うように鳴り続ける、どうやらメールじゃなくて電話らしい。

「まったく、誰だよ今いいとこなのに・・・」

 表示された名前をみる。

 ・・・ピ。

 さて・・・電話なんて掛かってこなかった、平和で平凡な午前ちゅ――。

 ブブブブブッ!

 ところで突然だが携帯でされるとウザいことっていうのうは数多く存在するけど、その最たるものは俺はワン切りだと思ってる。ただしただのワン切りではない・・・連続したワン切りだ。

 連続メールもウザいが連続ワン切りはその上を行く、なぜなら携帯は電話を最優先にするようになっているから。電話が掛かってきたらネットもメールもできくなる、これは果てしなくウザい。しかも連続で掛かってくるだけでもウザいのにさらにワン切り・・・これをやられると相手を殺したくなる。

 なぜこんな話を脈絡無くいきなり始めたのか・・・それは。

 ブ。ブ。ブ。ブ。ブ。ブ。

 今まさにやられてるんだよおぉ!!

 ウゼェ!ものすごくウゼェ!

 ブブブブブッ!――ピ!

「てめいいかげにしろ!!」

 しばらく続いたワン切りにキレていた俺は誘うように普通になった電話につい出てしまう。

 罠だと分かっていたのに。

「うふふ、まったくおまえはいつでも元気がいいなぁ。兄の声が聞こえたのがそんなにうれしいのかい?」

「だまれ。俺に兄なんて居ない。とく変態の兄など断じて存在しないっ!」

 怒鳴り声を物ともせずに平然と帰ってくるイケメンボイスにさらにイラッときた。

「嘘はいけないな。この遠視とおみ不在ふざい、あのときからおまえの――おまえ達の兄じゃなかったことなんて一度もないよ」

 ――今でも昨日のように思い出せるよ僕らが『家族』になったあの日を、おまえの言ったことをね。

 そんな風に不在は慈しむように言った。

「・・・このファミコンやろうが!」

「うふふふ。褒め言葉にしか聞こえないよ」

 ちなみファミコンとは某ゲーム会社の元祖家庭用ゲーム機ではなく、ファミリーコンプレックスの略。簡単に言えばシスコン、ブラコン、マザコン、ファザコン、すべてを兼ね備えた究極の家族大好き人間の称号。

 つまりは変態。

 まぁそれはさておき。

「んで、何の用だよ。ただ雑談したいだけなら切るぞ・・・電源えんを」

「うふふ、まったくテレ屋だなぁ・・・。まぁこのまま延々雑談してたいところだけど、本題に入らせてっもらうよ」

 やっとか・・・、何でこう俺の周りは本題に入るまでの前フリが長い奴ばかりなんだ(おまえが言うな)。

「話というのは他でもない、おまえが原因で起きた今回の事件のことだ。危うく『内包研

究室ラボ』全体にバレる所だったんだ当然だろう?」

 ・・・そういや、『研究室ラボ』の二人組みにバレたから、事件に参加したんだったな・・・忘れてた。

「ていうかバレたのは俺が原因じゃねーよ。つかなんで知ってる・・・」

「うふふ。お兄ちゃんは何でも知っているのさ」

 キモイ。

 しかもちょうど俺がやってるゲームのヒロインの口癖を真似てきやがった・・・!一番好きなキャラだったのに・・・!

「それにおまえが原因なのは事件であってバレた云々は関係ないよ――失態を犯した咲夜ちゃんにはちゃんと罰を与えたしね――そもそもおまえ達は今回の事件ちゃんと分かってないし、知ってないだろう?」

 たしかに知らない。

 興味が無かったし、俺はただ殺したい奴を殺しただけだ。

 余分な情報は必要ない。

 意味なんか無い。

 関係も無い。

 殺人に――殺刃鬼おれにそんなものは必要が無い。

 だから知ろうともしなかった。

「これが小説だとしたらおまえは主人公失格だし語り部としても失格だ。いや、複線どころか物語の筋すら虫食いだらけじゃあ小説としても失格かな・・・?」

 まぁそうだろう。

 しかも降りた幕の後ろ側で語られたら観客どくしゃにとってはいい迷惑だろーな。

「うふふ。まぁ安心しなよ、これは現実だし現実はこんなものだ。何かか起きたとき、すべてを知ってから解決なんてほとんどない。大抵はいつの間にか幕が下りていて、その裏でようやく事実を知ることになるし、知らないままに終ることも少なくない」

「じゃあ俺が知らなかったところで――知ろうともしなかったところでべつにいいじゃねーか」

 よくあることでいつものことなんだから。

「いや、今回はおまえは・・・おまえだけは知っておかなきゃいけない――何せおまえが原因で起きた事件なんだから。でも安心しなよ、お前は悪くないしおまえに罪はない」

「いやいや何言ってんだよ。罪ならあるだろ、人殺してるぜ?」

「・・・・・・それとは別にということだよ、原因としての罪は無い、ということさ」

 ふーん、原因としての罪・・・ね。




それこそ・・・・いつもの・・・・ことだろうに・・・・・・




「それじゃあ今回の事件のあらすじを語り、おまえの罪の不在を証明しよう」

 ――うふふ、安心するといい、僕は神の不在すら証明するからね。


 そんなこと知ってるよ、俺の兄貴はこと情報に関しては頼りになるからな。

 ・・・調子に乗るから言ってやんねーけど。


 

「それじゃあまずは、今回僕達『家族』の明確な敵だった研究室ラボの二人組み――いや三人だったかな?――から語ろうか。

「今回、彼らは事件に便乗した形であり、また、不始末を片付けに来たのさ。彼らの目的はおまえが殺したモノ――脱走した不死者なのだから。

「彼ら研究室ラボにとって『死なない不具合』の彼は魅力的で都合のいい研究対象であり実験材料でありモルモットだったわけだ。そんなおいしいものを逃がすわけがない・・・まぁ逃げられてるけどね。

「そしておまえの街に不死者を追ってきて、咲夜がバレちゃったというわけさ。

「他にもおまえの街はいろいろ居すぎだからね、研究室ラボにとって正に宝箱であり玩具箱だ

からね。まぁそのおかげで報告を忘れてたみたいだから助かったわけだよ。

「うん?逃がしたのラボなんだから俺が原因じゃないだろって?うふふ、いやいやそんなことはないよ、不死者――彼もまた明確な目的があっておまえの街にやってきたんだから。ただ逃げるだけなら事件を起こす必要がないからね。

「というか、おまえ事件の発端を憶えてないだろう・・・。今回の事件は彼が街の人間達をおまえ達が死人しびとと呼んでいるモノにしたからだろう?

「――ああ、そうそうあの人外に正式名称なんてものは存在しないが、研究室ラボ死人モドキと呼んでいたよ。僕もこっちの方が正しいと思ってる、あれは正に擬きだ。人間擬き、死体擬き、不死擬き――不具合擬き。滑稽で哀れななりそこないだよ。

「まぁそれはさておき。

「彼の目的は僕よりも実際に殺しあって――『終らせた《ころした》』おまえの方が知ってるんじゃないか?・・・そう――死ぬことだ。結局叶うことはなかったみたいだけどね。

「彼は死ぬために街に来た。

「『死なされ(ころされ)』に来た。

「何故そんなことを思ったか。ソレはここで語るべきじゃないし僕が語るべきじゃないから省略するよ。

「ともあれ彼は死にに来た。

「     死に場所ではなく。

「       死因を求めてやってきた。

「その方法が――厳密には違うけど――死人モドキの作成、撒布というわけさ。

「どういうことかわからないって?まったく、せっかちな男は嫌われるよ、僕は好きだけど。『家族』を嫌うわけ無いじゃないか。

「アレは挑発だよ、吸血姫――世界の愛娘たるアリア・クレセントに対してのね。

「そして彼女に『死』を与えてもらおうと思ったんだろう、藁にもすがる想いでね。

「あの死人もどきは吸血鬼が作る奴隷によく似ている。だからこそおまえの街にいる教会のシスターは吸血姫を最初容疑者として追っていたのだから。

「そしてほかの吸血鬼に対してはあまり有効ではないが――アリア・クレセントに対してはかなり有効な挑発になる。

「アリア・クレセントには様々な通り名、二つ名があるがそのうちの一つに『同族殺し』というものがある。その名とともに彼女は眷属を作らない、奴隷すら作らない吸血鬼としてそれなりにしられている。

「そんな彼女が、手当たりしだい見境なしにやっている、という疑いが掛けられるのは我慢ならないだろう――本来ならね。




「でも彼女は我慢した。




「おまえに会うことの方がよっぽど大事だったんだろうね。

「というかおまえは子供の頃から何をやってるだよ・・・。咲夜ちゃんから聞いたよ、そのうち刺されるんじゃないか?

「相手が。

「まぁ妹に手を出さなければ僕はどうでもいいけどね。むしろ応援するよ。

「・・・おっと、話がずれたな。どこまで語ったかな?・・・そうそう吸血姫はおまえに会うのがなにより大事ということだったな。

「うん?そこはズレてないよ。むしろ今回の肝だ、なにせこれがきっかけだからね。

「知っているとは思うけどアリア・クレセントおまえに会いに来たんだ。幼い頃に契約を交わしたお前に。

「――そうソレが原因。おまえが彼女とトモダチになってしまったのが原因なんだ。

「今回の事件はまるで鬼ごっこだよ。

「アリアはおまえを追いかけ、それを不死者が追いかけ、さらにそれを追いかけたのが『内包研究室ラボ』、そして俺達『家族』が探す。

「おまえは中心には居なかったが――それでも引き寄せたのはおまえなんだ。

「しかし、どううだろう?幼い頃にトモダチを作るのは罪じゃないだろう?

「『家族』を作るのが罪じゃないように。

「だから今回もおまえは悪くない。

「他の誰がなんと言おうと――おまえがなんて思おうと、




「お前は悪くない。




「俺が――『家族』が保障するし証明するし、肯定しよう」



 おまえの罪の不在を証明するよ。

 そう言って不在は語り終えた。

 まったく持ってお節介である・・・勝手なことばかりいいやがって。・・・まぁでも家族だからしゃーないか。

「うん、だから妹達と弟達――もちろんおまえもいれて――の入浴写真を撮ってきてくれないか?だいじょうぶ!おまえに罪はないから!あとちゃんと盗撮ポイント調べてあるか――」

 ピッ!

 ・・・やっぱり俺に兄なんていない。少なくとも変態の兄貴はいない。

 携帯の電源を切り、ふと時計を見る12時半過ぎを長い針と短い針が刺し、秒針が歩くように時を刻んでいる。

 ・・・そろそろ来るかな?

 今日は雫とちょっとした買い物行く約束をしている。俺が早起きしたのは決してエロゲをやるためじゃないし、ましてや変態と話すためじゃない。

 ピンポーン。

 と珍しくインターホンが鳴る。鳴らした相手は誰かわかっている。

 さてお姫様にエスコートされて出かけますかね。

 ――死ぬことが出来る俺は生きることを楽しまなきゃいけない。

 鞄を持ち玄関を開ける。

 ――いつか終るその日まで。。

 ――俺は月と――先に旅を終えたどこかの先達にそう誓った。














             

〈続かない〉


完結ではありません

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