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いつか終わるその日まで  作者: 在間 零夢
不死の旅路
10/17

第三幕 逢引はラジオの後に

 ――キーンコーン、カーンコーン。

 三時限目が始まるチャイムが鳴る。

 俺は一人屋上で黄昏ていた、所謂サボり。

 何でかは知らないけど俺は偶に一人になりたくなるときがある――いやそんなのは誰にでもあることかもしれないけど――ただ俺のはそれがちょっと人より多くて強い。周りのやつらはこの俺の性質を孤独病とか揶揄っている。

 病。なるほど言いえて妙だ、これはたしかに病気なんだろう。ただし不治の病だけどな、なにせ病み付きになるから。

 とそんなくだらない、どこかの誰かが戯言だけどね、とか言いそうなことを(それこそ正に戯言だ)考えながら、ぼーと空を見上げている。太陽が眩しい・・・。

 寝ようと思ってくだらない空想や考え事をしてたんだけど・・・、ダメだ太陽が眩しくて寝れない・・・。

 ――ギイィ

 寝るのを諦め本でも読もうと制服のポケットからライトノベルを取り出そうとしたところでドアの開く音が聞こえ、不思議に思いながらそちらを向く。

「孤独病のところ悪いわね」

 そう言いながらまず咲夜が出てきてその後ろから識が無言で出てくる。

 めずらしい。

 俺が孤独病を発症してるときは雫や真夜でさえ俺の傍には来ないのに、いやむしろあの二人だからこそ来ないのか?まぁどちらにせよ俺が発症中は誰も俺に近寄らないのが暗黙の了解のはずなんだけど。

「何・・・?」

 自分でも分かるほど不機嫌な声が出た。

「それは俺も訊きたいな。いきなりこんなところに連れてこられたんだ、ここに刃がいなくてなおかつ夕暮れ時だったら告白一択なんだがな」

 いつもどうり皮肉げに言う識。

「・・・あら珍しく鋭いじゃない」

 ・・・え?告白なの?ってーか俺見届け人?まぁ幼馴染同士が結ばれんのは・・・ちょっと複雑だけど一応祝福してやろう。

「・・・え?マジ?」

「マジよ。冗談でこんなこと言えないわ」

 目を見開いて、冗談だろ?と顔に書き聞き返す識、咲夜は苦虫を噛み潰したように言う。まるで本当は言いたくないというように。

 その顔を見て俺と識は勘違いしていることに気づく。良く見ると目が少しだけ笑ってる。

 紛らわしいんだよ!

「・・・私の正体がバレたわ。たぶん刃の正体ももうバレてる」

 ――誰に?アリアか?

 俺は起き上がり、ちゃんと話を聞く体勢をとる。

「誰にだ?というか始末しなかったのか?」

 俺が訊こうとしたことを識が先回りして訊く。いや識も疑問なんだろう、なんせこの話が本当なら協定違反だ、『家族』全員の問題になる。

内包研究室ラボの二人組み、昨日刃が殺してた死人を送り込んだやつよ」

「ラボ・・・?てか見てたのか?」

 ラボってーとあれだな、マッドなやつ等の集まり。差別、区別、節操が無い、狂ってるほど知識欲が高すぎる、人間と人外が、科学と魔術が交じり合ってる、組織と呼べないような組織。

「ええ、そのときに捕まえて尋問しようとしたんだけど――」

「なるほど。そのときにバレたってことか」

「・・・そのとうりよ」

「「「・・・・・・」」」

 咲夜の肯定によって場が沈黙する。

 俺達『家族』が結んだ協定は一つ俺達の正体――忌名の生き残りだということを誰にも――ほぼ絶対に信用できるモノ以外――知られないというものだ。

 忌名。忌み嫌われてる家、奇数は人間で偶数は人外と人間の混血の家。

 裏側もしくは陰世かげよとも言われている、血で血を洗い、殺気砥ぎ殺意を指針にして殺しあう。そんな世界でもっとも忌み嫌われ畏怖され恐怖された家の名だ。

 ソレは全部で十二と二名。序列――序列といってもほとんど意味が無いけど――の上から順に、殺条さいじょう月乃つきの式裂しきざき神檻かみおり陽廻ひまわり夢幻むげん七月ななつき朱森あかもり罪斬つみきり天野あまの遠視とおみ時乃宮ときのみや、そして忌名からさえも忌み嫌われ序外された風切かざきり、最後に俺はよく知らないけど番外位の名があるらしい。

 この十二と二名の内十名が十三年前何者かによって滅亡、一族郎党皆殺しにされた――とおおやけではそうなっている――が俺の苗字からも分かるとうり生きの残りがいる、というか『家族』の半数は生き残りだ。

 そして引き取られて苗字が変わっているが――むしろ苗字が変わってないのはたぶん俺だけ――この二人も生き残り。

 俺達『家族』は生き残りがいると周りにバレたら犯人が殺しに来るかもしれない。そうじゃなくても忌名は嫌われているからどういう扱いをされるか分からない。だからこそ正体を隠すことにした、その為の協定ルールだ。

 その協定が破られた・・・さてどうするかね・・・?

研究室ラボか・・・ギリギリ最悪じゃないてとこか」

 識が沈黙を破るようにして話し出す。それを俺達は識に目を向け聞く。

研究室ラボなら俺達のことを公にしようとは思わないからな・・・精々総力を上げて捕獲しようとしてくるだろう」

 内包研究室ラボは組織より個人を優先する組織だからな。手柄は独り占めしたいだろう。

 十分悪いけど・・・たしかに最悪ではない次悪ではあるだろうけど。

「それにもしかしたら本部、本拠地に伝えず自分達だけで捕まえようとしてくるかもしれない」

 そう言って、分かってるな?と咲夜の方を識は見る。

「・・・分かってるわよ。どちらにせよ何にせよあの二人は必ず殺すわ」

 罰が悪そうに、だけどその目には殺意を宿しながら咲夜は答える。

「ま、ここまで来たらおまえだけの失態ではあっても、お前だけの問題じゃなくなったからな。見かけたら殺しとくよ」

 俺も困るからな。

「いや、おまえの問題でもあるんだから探し出して殺せよ」

「ダルイから遠慮するぜ。・・・まー何にせよ特徴教えろ」

 どんな奴かわかんなきゃ手当たり次第にそれっぽい奴殺していくしかないからな。

「それもそうね・・・。特徴は――」

 キーンコーン、カーンコーン

「――とまぁこんなところね」

 咲夜に特徴を聞き終えたところでちょうど良くチャイムが鳴る。

「オケー、見かけたら殺しとく。ちょうど授業も終わったことだし教室戻ろうぜ」

 だから探せよ、という識のツッコミをスルーして校舎に戻る。

 ドアを開けたときふと思いつき振り返る、俺がいきなり振り向いたからをどうした?と不思議そうな顔をしている二人に。

「今日お昼ラジオやるから識は部室集合」

 頼みたいこともあるしな。

 そう言って校舎の中に入っていった。





 昼休み。

 俺達部活メンバーは部室で校内放送をジャックしていた。

 マイクは四つ、それぞれの席にそれぞれの昼飯と一緒に置いてある。ちなみに俺の前に雫その隣に識その前に真という感じの席になっている。

「・・・オーケー!ジャック完了システムオールグリーン!いつでも始められるぜ?」

 準備のために席を離れていた真がそういいながらテンション高めに戻ってくる。

「んじゃ・・・始めますか!!」

 俺のテンションも十分高いけどな!

「始めるのはかまわないが、べつに、全校生徒を魅了してもかまわんのだろう?」

「・・・さぁ始めましょう、肺活量は十分かしら?」

 訂正、みんなテンションおかしいです!

 んじゃ一応忠告しておこう!えー・・・今から始まるラジオなんですが、基本みんなテンションがおかしいため、著しくキャラ崩壊などがあります、それが嫌な人は読み飛ばしてください。

 ・・・ん?なんだ今のは?なんか変な電波が来た。

 んじゃ、レディ――キュウ!!


 ~~♪~~♪(オープニングテーマ)

刃『はい!みなさんこんにちわ~!」

みんな『こんにちわー!』

真『不定期突発型ゲリララジオ!――星降る昼にラジオに乗せて――のお時間がやってまいりました!!』

識『このラジオは俺達の気力とやる気と都合が合ったとき放送される』

雫『・・・学校非公式のラジオ。今なら生放送で現行犯だからせいぜいがんばって捕まえてみなさい?風紀委員さん?』

刃『というわけで始まったこのラジオ、今年は今回で二回目だっけ?』

雫『・・・そう。前回から二週間と三日と12時間46分23秒ぶり』

刃『細か!?』

雫『・・・嘘だけど』

刃『嘘かよ!』

識『いや、二週間ぶりなの本当だけどな』

真『んなことより、今回二回目だから新入生とか聴き逃してる奴いるんじゃね?』

雫『・・・確かに』

刃『んじゃこのラジオのこと説明するか?』

識『別に説明が必要なほど高尚な事じゃないだろう?どうせ俺達の暇つぶしだ』

真『それを言ったら元も子もないでしょ!!』

雫『・・・でもそれが事実』

真『そうだけどさ!?そんなこと言ったらリスナーいなくなるだろ!?』

刃『いやこれ全校放送ジャックしてるから聴くのは強制だぜ?リスナーの心配は要らない』

真『だからこそせめてそんなことは言っちゃダメだろ!』

真以外『・・・俺(私)達が面白けりゃいーんだよ』

真『最悪だー!!!!』

刃『とまぁバカでオチたところでそろそろ次いくぜ。今回は、あなたの質問一刀両断!のコーナー!ではいってみよう!』

真『誰がバカだ!』

識『んじゃ栄えある(?)一通目は?』

真『お願いだからスルーしないで!?』

雫『・・・一通目はラジオネーム炉離魂白鳥ロリコンはくちょうさんから「最近二次元にしか可愛い子がいないと悟りました。こんな俺でも、大丈夫か?」・・・え?』

刃『あー、それちょっと分かる。大丈夫だ、問題無――づあ!?ちょ・・・し、雫さん?足踏まないでもらませんか?』

雫『・・・(あとでHDの中身一部消しておこう)プイ』

真『分かる!分かるぞ!!だが現実の女子も自分へ反応はつらいが可愛いぞ!とりあえず我が学年の美少女四天王ビーナス・クワットロを見るといい。しかし名前からして君はアレなんだな?いい趣味をしている、おすすめがいくつもあるからあとで来るといい。一緒に二次元への扉を開こうじゃなかか!!!!』

識『キモイから次ぎにいくか。ラジオネーム白鳥不養生さんから「鼻水とくしゃみが止まらないんだけど」・・・また白鳥か』

刃『医者行けよ!?』

雫『・・・家で暖かくして寝てください』

真『俺ちょっと風邪気味だから雫ちゃん看病してくれない?』

雫『・・・わかったすぐ楽にしてあげる。・・・ふふふ』

真『や、やっぱ遠慮しときまーす。えー次はラジオネーム白鳥見参さんから「本を買ってたら、本を置くところが無くなっちゃったYO!本棚買わなくちゃだけど置くところがないZE!でも新刊は毎月いっぱい出るSHI!これ以上は自分の置き場が無くなっちゃうYO!」・・・なんだこの学校!?白鳥ブームなの!?つか喋り方が果てしなくうぜぇ!』

識『いや片付けろよ』

刃『いや、分かるぜ?掃除ってめんどいよな・・・。それに俺も毎月新刊買うから非常に良く分かる』

識『嘘を吐け、お前は雫に掃除してもらってるだろうが』

刃『いや、そうなんだけどな・・・それでも本は増えていくわけだ。・・・そろそろ本棚の限界がきてるんだよな』

雫『・・・刃、立花うちが今本棚の試作品のテスター募集してるんだけど・・・いる?』

刃『マジか!?助かるぜ!』

雫『・・・ついでに模様替えのアドバイスだ

けしてあげる』

刃『アドバイスだけかよ・・・いや助かるけど』

雫『・・・あたりまえ、女の子に重いもの持たせる気?甘えない』

刃『手厳しいな』

雫『・・・代わりに終わったら美味しい物作ってあげる』

刃『んなこと言われたら頑張るしかねーじゃねーか!』

識『・・・胸焼けしそうだ。ケーキとかの変わりにこいつらの会話聴いたらいいんじゃないか?肥る心配も要らずに甘いものを摂取できるぞ』

真『今ならこの願いが叶う気がする!リア充爆発しろ!!!!』

刃『なんかすごい殺気を感じるけど気にせず最後のメールいくぜ!ラジオネーム白鳥座の乙女さんから「先輩達の部活って結局何が目的なんですか?」・・・最後まで白鳥・・・だと!?』

真『後輩ちゃんか、あとで2―Cまでまで来てくれれば手取り足取り腰取り濃密に教えたげるぜ?・・・ぐへへ』

識『ラジオにお便りくれたんだから今答えろよ』

刃『つか俺、ぐへへってリアルに笑う奴初めて見た・・・。予想以上にキモイな』

真『キモイと言うなぁ!!』

雫『・・・だから真は彼女ができない!』

真『ぐはっ!?・・・悔しい!でも気持ちいい!?』

真以外『・・・ダメだコイツ』

雫『・・・変態は放って置いて・・・。部活内容だったっけ?ぶっちゃけそんなものない』

刃『本当にぶっちゃけたな!?」

雫『・・・だってただの暇つぶし』

刃『たしかにそうだけどさぁ!もっとオブラートに包もうよ!?』

識『オブラートに包んだところでやっていることはただの学校荒らしだからな。しかも部活は部活でも非公式ときている。・・・普通の不良の方がまだマシなんじゃないか?』

刃『そうかもしれないけどさぁ!』

真『でもみんなけっこうなんだかんだ言って楽しんでるからいいんじゃね?』

雫『・・・風紀委員の人達も私達との追いかけっこ、絶対楽しんでるからね』

識『むしろ俺達は自分達が楽しければそれでいいけどな』

刃『捕まったら停学だけどな』

雫『・・・正にデット・オア・アライ部』

刃『とまぁそんなこんなでお時間が迫ってきちまったわけだが・・・』

雫『・・・スルーされた』

真『あん?終わりじゃないのか?』

刃『今回はもちっとだけ続くんじゃ』

識『そういってなかなか終わらないとかやめてくれよ?』

刃『あー大丈夫大丈夫。お知らせが有るだけだから』

雫『・・・お知らせ?』

刃『そう、お知らせ。深夜遊びまわってる奴らに対してあるわけです、・・・この学校に表向き公的には居ないとなっているらしいので必要ないかもしれないけど』

識『嫌味な言い方だな』

刃『そんないないはずの皆さんに忠告です。しばらく夜遊びは控えた方がいいぜ?ちょっとヤバイ奴らとヤバイモノが出回ってるからな』

真『いないはずなのに何でお前がそんなアレな情報知ってんだよ!?』

刃『んー?じょうほうやさんに教えてもらって「忠告しといて」って依頼されたから。つーわけで言ったからな?これ聴いてどうするかは自己責任。猫が殺されても、戻って来れなくなっても、・・・しらねーぜ?』

雫『・・・・・・というわけで。お相手はアライ部所属、月姫こと立花 雫と』

識『天野 識と』

刃『風切 刃と』

真『なんか釈然としないけど。杉――」

刃『他一名でお送りしました』

真『ちょ!?』

真以外『・・・それではまたいつか――星降る昼に会いましょう』

真『俺まだ言ってねーーーー!!!!』

 ブツンッ 

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