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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第六十三話 コラテラルダメージ



 辻斬りギルドの本拠地目掛けて放たれた合成ビーム。


 それは刹那の内に戦場を横断して、基地の燃料庫へと突き刺さった。


 間に挟まれる、ほんの刹那の沈黙の後に……視界を、真っ白な閃光が満たした。


 ホワイトアウトするモニター。映像が復帰した時には、基地があった所には真っ黒なキノコ雲がもくもくと吹きあがっている。


 遅れてやってきた衝撃波が機体をガタガタと震わせた。


 灼熱に燃えるビーム砲を待機位置に戻しながら、私は戦果を確認する。


「よし。敵拠点と、そこに詰めてた後詰めはこれで全滅だろう」


 基地のあった場所は完全にクレーターと化している。合成ビーム単体ではたかがしれているので、燃料だか動力炉だかの誘爆を狙ったのだがそれが完全に決まった形だ。


 流石に武器ではない大爆発は額面通りのダメージが入った筈。これで機体が無事だったら流石にクソゲー極まる所だが、そうはならなくて安心である。


 見れば爆発地点の周囲に展開していた、辻斬り&企業ギルド合同軍も爆発に巻き込まれてかなりの被害が出ている。無事だった機体も、突然の衝撃に何が何やら、といった感じで動きに精細をかいていた。


 ……まあ、その。


 カチコミ中立ギルドにもちょっと被害が出ちゃったみたいだけど。


 メンゴ。コラテラルコラテラル……とはいかないかな。


「……声明を出すのはやめとくかな」


 このゲームは撃破された時に出るのはプレイヤー名じゃなくて機体名だから、黙っていればバレないし。


「あ、でも今のこの機体、1号機と2号機が合体しているんだけど表示されるのはどっちの名前だ? 攻撃も合成ビームだし……おっと」


 ちょっとした疑問に首をかしげていると、コクピットにロックオン警報が響いた。


 爆発の衝撃から立ち直ったギルド連合軍が、こっちにむけて発砲してきているらしい。降り注ぐ無数のライフル弾に、ミサイルやバズーカの弾も混じっている。いくらメガフレームが頑丈でもこれだけの火力を浴びたら爆発四散は必至だが……。


「ほいほい、斥力場障壁展開~」


 不可視の防壁を展開してそれらを防ぐ。バズーカ弾頭の爆発だけはちょっとひやりとしたが、実際には機体は小動もせずに爆発を凌ぎきった。あ、バズーカってのは製品名だから、この場合はロケット砲弾とか言うのが正しいのか?


 どっちでもいいか。


「ふふん、その程度の攻撃で斥力場を破れると思うなよ。……ってか、サブエネルギーの回復が妙に早いな。この感じだと冷却完了までずっと展開できそうだ」


 ジリジリ、と減っていくサブエネルギー残量を見て、ざっと頭の中で効果時間を計算。余裕だね。


 それだけ2本のビームの放熱がでかいのか、あるいは2機合体している事で熱エネルギー再転換の効率も倍になっているのか。多分両方かな。


 防壁を展開しているのは正面だけなので、敵に回り込まれて側面を狙われたらアウトなのだが、まだ敵とこちらには距離があるし、何よりこの機を逃さずに中立プレイヤー軍が猛攻撃を開始した。敵さんはこっちが気になるけどそちらの対処もしなくちゃいけない、となって、見るからに統制が乱れている。


 それでも、3機ばかり正体不明機を討ち取る名誉に目が眩んだのか、こっちにスラスターで飛んできている。まあ悪くない判断だ、早急にこっちを排除できれば本来の相手に集中できるからね。


 だけど……。


「そんな簡単に排除できると思われるのも、心外だなあ?」


『ガゴォオオ!』


 ぽちっとな、とスイッチを押し込むと、あらかじめ設定してあった音声が同時に再生される。無料音声:ティラノサウルスが響き渡り、機体背面に装備されたロケットブースターが炎を吹く。


 同時に、機体を全力で疾走させる。


「将来的にはプラズマビーム砲をジェットエンジンと併用させたいなー」


 そんな願望をつぶやきながら、目の前に接近してきた敵目掛けて突進!


 長距離ジャンプでサブエネルギーを大量消費したのだろう、敵はスラスター回避ではなく迎撃を選んだようだが、それは悪手だ。やはり判断力が落ちているな。


 だって、見た目ではわからないかもしれないが、コイツはずっと斥力場装甲を展開している。


 不可視の防壁がささいな衝撃だけをのこして迎撃を打ち消し、そのまま頭突きが敵機体に叩き込まれる。あらゆる物を粉砕する斥力場を、機体質量と勢いにものを言わせて叩き込むと、多分ハイスペックだったであろう敵機はネジ単位で粉微塵になった。


 ごめんね!


 そしてそのまま体格差にものを言わせてもう一機を踏みつぶす。一撃では流石に仕留めきれなくて手持ち武器の反撃を許しそうになったので、マシンガンでトドメ。


 んでもって背後、回り込んで不意を打とうとしていた相手に、尻尾を振って叩きつける。テールバランサーには保護用の斥力場発生装置が取り付けられている、それを一瞬だけ機動して叩きつけると、直撃を食らった敵の上半身は粉微塵に砕け散った。


「よし」


 さくっと仕留めた三機の遊撃機の残骸を見下ろして、満足に浸る。


 いやあデカイってのはいいね。歩幅がでかいと早いしパワーもある。質量があるから当たり負けもしないし、当然耐久も高い。伊達に合体している訳ではないのだ。そもそも、私に合わせて調整を繰り返した専用機だしね。


 さらにいえば、私だっていっぱしのゲーマーだ。動揺で判断が鈍ってる相手にそうそう簡単に打ち取られはしないぞ。


 まあその合体機体でもちょっとでも油断すると反動で吹っ飛ぶ合成ビームはなんなんだろうね……?


 機体の各種ステータスは相変わらずレッドよりのイエローだが、それは今の戦闘によるものではなく、2発の合成ビーム発射によるものだ。反動を抑え込んだ各種関節には自然回復しないレベルの負荷が溜まっているし、機体のラジエーターは悲鳴を上げてる。熱エネルギー再転換スキルがフル稼働しているというのは、まあそういう事だ。


 ビーム砲の砲身も、一応額面通りに受け取るなら冷却は終わっているようだけど、同時に砲身の耐久数値が危険域を訴えている。1発や2発でこんな事になるはずはないから、合成ビームの負担がそれだけ大きいという事だろう。


 こりゃあテレサの言う通り、あと一発が限度だろうな。


 のそのそと高台から顔を出して、戦場を確認する。


「おぉう、乱戦だ……」


 見れば、中立プレイヤーが敵陣地に食い込んで、辻斬り・企業ギルド問わずの大乱戦にもちこんでいる。こうなってしまうと数の有利も何もない。数で勝るギルド側は同士討ちを恐れて発砲を自粛、接近戦をしかけるしかないけど、カチコミ側は回り全部が敵見たいなもんだから何の制限もない。


 派手に暴れて討ち死にしていくカチコミ軍。その華やかな死にざまを眺めていると、不意にそのうちの一機と視線があった気がする。


 そして。


「……手を振られた……」


 エモーションで腕を振るカチコミ軍。一手の不足が即敗北につながる極限状態で、まさかアピールとかフレンドシップという訳ではあるまい。


 あれは、多分。


「OK。もろとも撃てって事ね」


 いいだろう。


 その花道、精々派手に彩ってやるさ。


 分離していた砲身を再結合。最後の合成ビームの発射体勢に入る。


 途端、モニターには無数の警告が表示されるが、全て無視、スキップ。最後の一発を放つ事だけに集中する。


 危険な輝きを放ち始めたこちらに気が付いたのだろう、企業ギルド軍の一派がこちらに攻撃してきたが、全て斥力場障壁で弾き返す。


 照準は、敵陣背面。こちらから見て左側の集団をロックオンする。


「……発射!」


『ガルゴォオオ!!』


 最後の一発。


 最大出力の合成ビームが、敵陣にぶち込まれる。虹色の光の中に消えていく敵の機体のシルエット……だがまだだ。


「ロケットブースター、点火!」


 背面の機動用ブースターを真横に向けて、最大噴射。それによって発射体勢のまま、機体が右に向かって旋回する。それによって、ビームが扇状に展開……薙ぎ払われた閃光が、中立ギルドごと企業ギルド軍を飲み込んでいく。


 モニタには、目で追えないほどの勢いで敵の撃破報告が飛び込んでくる。


 くふふふ、ビームの威力が低くても乱戦で消耗した機体にトドメを刺すのなんて造作もないわ。ハイエナでごめんね。


 そして数秒の照射が終わり、戦場を照らしていた七色の輝きが消えていく。


 どうなったか、戦場を確認したいところだが……残念ながら、こちらはそれどころではない。


「爆発、爆発する! 分離、分離!!」


 コクピットに鳴り響くアラートに、緊急スイッチを叩きつける。


 合体ジョイントに仕込まれた炸裂ボルトが起動して、上半身を強制分離。同時に、内側からやばげに光を放って今にも爆発しそうなビーム砲も両肩から分離。身軽になった1号機で、履帯を全力で回してその場から逃げ出す。


「うぉおお、退避ー!」


 高台から飛び出して、背後の岩山に開けたトンネルに向かう。


 すっかり冷えた黒い大穴に飛び込んだ直後。背後で地響きのような大爆発が起きた。


 限界を迎えたフォトンビーム砲、そしてプラズマビーム砲の爆発だ。特に後者は、これまでで最大クラスのモデルだし、爆発力も一際……いや、もしかしたらフォトンビーム砲を巻き込んで、合成ビームの大爆発になってない?


「……あれ? やばくない?」


 うっかり失念していたその可能性に、ひやりと頬を汗が伝う。


 地響きはなかなか消えない。


 ぐらぐらと足元が揺れて……見れば、パラパラと天井から石が降ってきている。


「え、あ? 崩れ……」


 咄嗟に見上げた先。真っ暗な闇の中、妙に圧力を感じる“黒”がすぐ上まで迫ってきているような気がした。




 プレイヤー:ショウ、DEAD。


 死因:圧死。






◆◆



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― 新着の感想 ―
悪辣なプレイヤーを爆砕焼殺して最後に洞窟ごと崩落して消えたぁ!?これはイベントボス。
その手を振るのはホントにモロとも撃てだったのか、、、 でも、まぁ、結果オーライ
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