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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第五十九話 行く手には難題がいっぱい


 想像をはるかに越える威力の合成ビーム。


 工業地帯を一直線にぶちぬいて伸びるその破壊の痕跡を、信じられずに二度見する。


 やっぱり見間違いじゃない。


「え……威力凄すぎじゃない?」


『そうですか? 投入されたリソースを考えると妥当だと思いますけど』


「妥当ってお前」


 マップが破壊されてるんだけど?!


『マップを破壊するぐらいなら、ミサイルやバズーカなどの大口径爆発武器でも可能です。そしてそれらは、ビーム兵器と比べてもはるかに装備負荷が小さいといえます。流石にマシンガンやライフルの汎用武器と比べれば重いですが、ENを大量に消費する事もありませんし』


「…………まあ、そうみたいだね……」


 言われて武器一覧を見るが、全く爆発物スキルツリーを伸ばしてない私で作れる範囲のものでさえ、初期ビームよりも軽いし消費ENも小さい。


『あれだけの負荷と引き換えに装備できる武器を、理論上同時使用できないものをむりやり同時運用して、あまつさえ不可解な爆発現象まで起こしているのですから、地形を変えるぐらいの威力がでないとむしろ意味がないのではないでしょうか?』


「そーいうものかなー……」


『といいますか、ショウさんのそのビーム兵器に対する熱意はどこから沸いてくるんです……?』


 おおう、AIにすら解せぬって顔をされてしまった。


 いや理屈はわかるんだけどこういうのは正気に戻ったら負けだ、気にしないったら気にしない。


 しかしそれより、機体の方はどうなんだ?


「うーん、オーバーヒートがヤバイのと、あとほかに問題は……」


『過剰なエネルギーのオーバーロードで回線や関節にも影響が出ていますね。接続を強化……というより、万が一の時には分離してダメージを軽減する機構を搭載した方がいいでしょう』


「だなあ、一発撃っただけでこのありさまとは」


 とりあえず、現状だと無茶苦茶手間暇かけて一発ぶちかまして終了の超巨大花火みたいなもんか。


 ただ可能性は感じる。メガフレームの性能もあって、戦闘力は悪くない。ビームを封印……いや、合体ビームさえ撃たなければ問題はないのか。


 せっかくのスペックを遣わずにいるのももったいない。


 幸いにして、まだ動けるし修理も効く範囲だ。一旦基地に戻って修理しよう。そのあとは……。


「……まあビーム兵器の試射は終わったし、ちょっと次のマップの様子が見たいんだ。少し付き合ってもらえるかな」


『喜んで!!』


 おぉう。反応いいね。








 というわけで、一度ホームに戻る。機体にダメージ受けた状態で新エリアに向かうのは無謀だからね。


 ……なのだが、戻ってきたところで新たな問題が発生した。


「エレベーターに入れない……」


 そう。メガフレーム二機を組み合わせた今の合体マシンザウルスは、プレイヤーの製造できる機体の範疇を越えてしまっている。それはつまり、エレベーターの中に入るサイズではない、という事なのだ。


 分離するしかないのだが、私の1号機は合体後、キャタピラを不要とパージしてしまったので自力で動けない。


 なので、仕方ないのでこうするしかない。


『それじゃ、押し込みますよ』


「たのむー」


 ジョイントを解除したあと、ずるぺたどすん、と地面に落ちた1号機を、2号機でぐいぐい押してもらう。


 幸いだったのが、2号機側のメガフレーム脚部のパワーは有り余って、機体を一機リフトに押し込むぐらい訳がない、という事だった。


 ただ、足で押し込むのが格闘判定になってるのか、HPがゴリゴリ減ってるんだけど……。


『せーの、せーの、あとすこし……てぃっ!』


「おわっ」


 リフトの床に落ちた衝撃で、機体がガタンと傾いた。一瞬ひやりとするが、なんとかHPは残ってる。


 やがてリフトは無事に稼働し、地下に向かい始めてほっとする。


 なんとかなった……けど、このHPだと1号機は今日はもう修理である。


「そんな訳だから、ごめん。被害が軽微な2号機を貸してもらうね」


『そんなー』


 ごめんね。約束を破るのは本意ではないんだけど仕方ないんだ……。


『うぅ……仕方ありません、機体を用意してくれたのはショウさんですから……でもでも、次は私にもお手伝いさせてくださいね!?』


「ああ、うん……」


 どうにも調子が狂うというか気まずい気分になる。


 運営の手で転がされてる気がするなあ……。


「それはともかく、出撃ー!」


 2号機で、再び広場に再出撃。さっきの今だからか、合成ビームによる派手な破壊痕はまだバリバリ残っている。溶け落ちたビームの軌道上の床が、まだグツグツ煮え立っているのを覗き込んで、視線を前に向ける。


 気になるのは、霧が消し飛んで見えるようになった工業地帯を取り囲む壁のようなもの。果たしてその向こうに何が広がっているのか。


 さっそく、機体を走らせてそちらに向かう。


「しかし……敵が出てこねーな」


 とんでもない熱量で破壊しつくされた工業地帯を歩く。ボスの後のエリアだから、敵のあまり出てこない安全地帯なんだろう。


 見た目がどれだけ派手でも、所詮ビームだ。そんな超威力が出ているとは考えづらいが……。


「いや、でもテレサが変な事いってたな。なんだったっけ」


 説明は聞いたが、科学的な話になってきてよくわからん。


 それにしても、凄まじい破壊の跡だ。ただ高出力のビームをぶっ放しただけでこうなったとは思わない、影響激化の効果もあるのだろうか?


「粉塵爆発みたいな事が起きたのかね……?」


 一応マシンガンを向けて警戒しつつ、壁際までやってくる。


 分厚い鉄の壁が、ロボットからみても見上げるほどの高さで、見渡す限り広がっている。工業地帯をすっぽり包み込んでいるんじゃないだろうか? あのマグマ帯の配管があるあたりが、壁がない唯一の空間だったんだろうか。


 この壁は外からくるものを防ぐためのものなのか、中から出ていくことを遮るものなのか。


 マップ的にはたぶん、どこかに正式な出口があるのだろうけど……。


「……ここから、出られそうだな」


 真正面の壁に開いた大穴。周辺はクレーターと化して陥没しているのに、壁はなんとか機体が通れるぐらいの穴が開いている程度の被害だ。いや、大穴開いてるから、十分すぎる被害がでてるんだけど……。


 アニメで、大口径ビームで要塞の隔壁を突き破るシーンとかあるけど、まさにこんな感じだ。


 さすがにもう熱はだいぶん下がってるみたいで、溶けた鉄が頭の上から降ってくる事はないだろう。


 恐る恐る壁を潜って、外に広がる光景に目を向けてみると……。


「一面の荒野か……」


 目の前に広がるのは、赤茶けた命無き荒野。


 砂に覆われた大地と、テーブルのような岩山を前に、私は今度も苦労しそうだな、とワクワクしながら操縦桿を握りしめた。






◆◆



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