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9、生まれ変わっても

☆加茂橋二郎サイド☆


ラテアートを披露してから俺は一生懸命にラテを飲んでくれたメルを見る。

メルはコーヒーが苦手だという。

だけど二郎さんのコーヒーは飲みたいと全部飲んでくれた。

俺は申し訳ない感じでメルを見る。


それから時間が経ち...夜を迎えた。

母さんの手料理を食べてから俺達は分かれた。

そして俺は自室のベッドで横になり寝る事にする。

が...10分後。


きぃ


と音がしてドアが開いた。

俺は驚愕して暗い中でベッドを見る。

ドサッと何かが落ちる音がした。

それはメルだった。


「えへ」

「...あのなぁ。来るとは思ったけど」

「予測していたんですか。なら問題ないですね」

「大有りだこのアホンダラが。...エッチな事とかは禁止って言っただろ」

「エッチじゃないですしそれに二郎さんだって私にキスしましたよね。あれ問題では?」

「うぐ」


それからメルは俺の布団に潜り込んでくる。

そして俺は横を空けてからメルを迎える。

凄く良い香りがする。

何でうちの石鹸使っているのにこんな良さげな香りがするんだ。


「幸せだな」

「...何がだ?」

「私、二郎さんとこうして2人で居るのが好きです」

「...そうか」

「...二郎さん。聞いても良いですか。...名木山めぐみ。最初にどこで浮気を判断したんですか?」

「最初に浮気を疑ったのは彼女のメッセージアプリのレインだ。...レインの文章を見ていたんだが」

「そうだったんですね」

「ああ。...彼女は「浮気はしてない。私は...」と言ってたがもう信じられない」

「ですね。私も許しません」

「何を信じれば良いか分からなかったから自殺した」

「自殺する前に相談する相手は...ってもう良いか。...私、こうして好きな人に出会えたんですから」


メルは話を途中でほっぽりだしてから「えへへ」と俺に縋りつく。

それから俺に顔を押し付けた。

一気に吸い込む。

馬鹿な事をするんじゃない。


「えへ。良い匂い」

「オイ」

「本当に二郎さんって良い香りですね」

「それはお前だろ。...柑橘系の本当に良い香りだ」

「女の子の匂いします?」

「女の子どころか」


その言葉にメルはニコッと笑みを浮かべてから俺の腕に頭を乗せる。

それから「...私、自殺未遂をしてどこに行ったんでしょうね。前世では」と言う。

俺は「...分からない。...その時、幸春はショックを相当受けていたな」と答えてから天井を見上げる。

メルは「でしょうね」と答える。


「二郎さん」

「...なんだ?」

「お兄ちゃんにも前世の事を話してあげても良いですか」

「ああ。良いとは思うけど。アイツが納得するかな」

「納得とか納得しないとか良いんです。...大切な家族だから」

「!」


メルはそう言いながら「でもお兄ちゃんは家族ですからねぇ」とうんざりな顔をする。

俺はその言葉に「大切にしているんだな」と答える。

するとメルは「当たり前ですよ。兄妹ですもん」と答えてから「でも好きとかじゃないです。あくまで助け合っているだけですからね?」と俺を見る。

いやいや。

血縁なのに好きなったらやべーだろ。


「...お兄ちゃんが心配なんです」

「え?」

「お兄ちゃんに良さげな人が現れてほしいです」

「...そこまで心配しているんだな。心配する必要はないんじゃないか」

「そうですかねぇ?馬鹿属性ですから」

「最低だ」


メルは溜息を吐く。

それから「でもどっちにせよ私は...お兄ちゃんを尊敬はしています」と言う。

そして俺と同じ様に天井を見上げた。


「私が幼い頃、インフルになって高熱出した時もありえないぐらい必死に病院探してくれました」

「幸春らしくないな」

「...はい。でも私、その時は「本当にありがとう」って流石に言いましたよ」

「だろうな。そんな幸せな家族だからこうして良い子が出来たんだ」

「上手いですねぇパイセン」

「そうだな。お前の彼氏だし」


それから俺達は笑い合う。

そして俺は天井を見上げるのを止めてからメルを見る。

メルは俺を見つめる。

俺もメルを見る。

頭を撫でてやった。


「そろそろ寝ないか?」

「そうですね。...二郎さん」

「おやすみ」

「...あ、最後に質問して良いですか?」

「ああ」

「...散々聞きましたけど名木山めぐみに未練あるんですか?」

「無いな。気持ちは全てお前に塗り替えられたよ」


その言葉にメルは安心した様に目を閉じた。

それから寝てしまう。

俺はその姿に困惑しながら「...明日母さんに殺されるかもな」と苦笑いを浮かべて寝る。

そして翌日を迎える。



翌日になってから俺は横を見る。

メルはぐっすり眠っていた。

俺は伸びをしてから窓から外を見る。

良い日差しが差し込んでいた。

俺はその光景を見てから「メル」と声をかける。

メルは眠気眼を擦りながら「くぁ」と小さく欠伸をして起き上がる。


「おはようございます。二郎さん」

「おはようさん。...晴れたぞ」

「あ。本当ですね。...あ、そうだ」

「?」

「二郎さん。公園で遊びましょう」


なんでまた。

いきなりそうなる?

そう思いながら「待て。どういう事だ?」と聞く。

するとメルは「...大切なものを見せてあげたいんです」とウインクするメル。

俺は「?」となりながらメルの顔を見た。

メルは笑顔だった。

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