8、愛を叫んで
☆佐元メルサイド☆
私の名前は佐元メル。
メルって名前はお気に入りの名前だ。
この名前を付けてくれた家族には感謝している。
そんな私だが好きな人が居る。
私の一つ年上の先輩。
名前を加茂橋二郎さんという。
大切な私の彼氏。
それから私が永遠を誓いあった人。
二郎さんには複雑な過去がある。
いや。
過去じゃなくて前世かもしれない。
普通の人なら「なにそれw」とか言いそうだけど。
私は二郎さんを信じている。
だから私は二郎さんの前世があるものと思っている。
それは確信に変わった。
「メル」
「はい。二郎さん」
「...お前は本気で前世を信じるのか?」
「私が自殺未遂を起こした世界線ですね?」
「ああ」
「私は信じますよ。だってあの人と一緒に嘘を吐いているとは思えませんし」
その様に話した私。
それから二郎さんに寄り添う。
すると二郎さんは私の頭に触れた。
そして撫でてくる。
「ありがとう。メル」
「いえいえ。私は当たり前の考えを今述べているだけです」
私は頭に添えられた二郎さんの手を取る。
それから自らの頬に添えた。
そして二郎さんを見る。
二郎さんは私を見ながら柔和になる。
私はその姿に笑みを浮かべてから静かに寄り添う。
時は過ぎていく。
だけど。
「...そろそろ帰らないと」
名残惜しいな。
そう考えながら居ると「なあ」と言われた。
私は「?」を浮かべてから二郎さんを見てみる。
二郎さんは私を見てから口元をゆっくり隠す仕草をする。
それから意を決した様に顔を上げた。
「泊まらないか?」
そう二郎さんに言われた。
私は驚きながら二郎さんを見る。
二郎さんは「あ、いや。すまない」と眉を顰めた。
それから首を振った。
私は胸がバクバク跳ねる。
それからつい言ってしまった。
明日が休みだから。
「...良いですよ」
その様に回答してしまった。
男の子の家に泊まるなんて...。
だけど二郎さんの顔が寂しそうに見えた。
放って置けない気がする。
「じゃあ家からお泊まりの道具とか持って来ます」
「すまない。馬鹿な事を口にしたな」
「私は構いません。だって貴方は彼氏です。私は彼女ですから」
「とは言っても年頃の男女だし...」
「でも二郎さんは高校生じゃないです」
「今は高校生だが...」
「30歳まで生きた。だったら私の事を守ってくれますよ」
そう答えながら私はニコニコした。
それから私は立ち上がり「急いで準備してきますね」と笑顔になってから二郎さんを見る。
二郎さんは「...すまない」と返事をしていた。
私は首を振ってから「大丈夫です」とまた笑顔になった。
☆
家族に許可を。
二郎さんは親に許可を。
私は二郎さんの家にお泊りをそのままする事になった。
親からの条件として変な事はしないとなった。
私は頷きながら二郎さんの家に入った。
「二郎さん。今日は1日イチャイチャ出来ますね」
「...そうだな。確かにな」
「えへへ。嬉しいです」
それから私はお洋服を見せた。
お気に入りのお洋服だ。
パジャマもお気に入りである。
私の...大切な服を見てもらいたい。
「メル。すまないな」
「何がですか?」
「完全に俺のわがままだよな。最低だ」
「何を言っているんですか?私達はやがては一緒に暮らすんですから」
「まあそうだけどさ。まだ早いだろ」
「今はその予行練習ですよ。アハハ」
そして私はお洋服を合わせる。
二郎さんは褒めながら私の洋服を見てくれた。
私は嬉しくなる。
それから私は「二郎さんはどんな服が好きですか?」と聞いた。
すると二郎さんは「そうだな...俺はメルならなんでも似合いそうだが。少し贅沢を言うならメルにはスカートが似合いそうだ」と回答してくれた。
私は「ありがとうございます」と恥じらう。
手に取ったスカートを見せた。
「チェック柄です。私のお気に入りです」
「可愛いじゃないか」
「えへへ。お褒めに預かり光栄です」
「まあ俺の可愛い彼女にはなんでも似合いそうな気はするがな」
「そうですか?」
「ああ」
私はその姿に「じゃあ」と聞いた。
それから「名木山先輩より可愛いですか?」と話す。
見開く二郎さん。
少し迷いながらも「俺はお前しか見てない」と答えた。
そして私をジッと見てくる。
私に近付いて来た。
「メル。顔を上げて」
そして私達は軽いキスを交わした。
本当に軽いキスだがそれは愛に溢れていた。
私は赤くなりながらはにかむ。
それから満面の笑顔を浮かべた。
「私、貴方を好きになって良かった」
「...俺もだ。メルを好きになって良かった」
それから私達は抱き合う。
そしておでこをくっつけあった。
また心に決めた。
私は...二郎さんと死にたい。
この世界では二郎さんを守り抜いてみせる、と。
二郎さんだけしか見ない。
ただひたすらにそう思いながら二郎さんを愛おしく見つめた。
☆
私はお風呂を借りた。
そして入浴してから二郎さんの居るリビングに向かう。
二郎さんは何かを作っていた。
それはホットラテみたいなものを。
「ああ。メル。丁度良かった」
「これはなんですか?」
「ラテアートだな。こういうのは得意なんだよ」
「ラテアート!」
可愛い猫がラテにデザインされていた。
私はそのラテに「可愛い...」と言う。
二郎さんは「じゃあ飲もうか」と話した。
その言葉に「嫌です。今は飲みたくないです」と口をゆっくり膨らませた。
「メル?」
「可愛いですから」
「可愛いからか...成程な」
「はい。だから暫くは」
「...分かった。ありがとうな」
それから私はスマホを取り出してからラテを写真に収める。
とっても可愛い私の彼氏が作ったラテアートを。
そして私はニコニコした。
幸せだな私。
とても幸せ者だ。




