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7、前世への嫉妬

俺は名木山めぐみと決別をするつもりだったのだが。

予想外の事態が起こり名木山を捨てれなくなった。

何が起こったかといえば彼女は。

名木山は前世を覚えていたのである。



「二郎さん」

「...?...ああ。どうした」

「今日は...まあ調子が悪いですね。お互いに」

「そりゃさっきあんな事があったからな」

「...二郎さんに1つお願いがあります」

「...?...なんだ?」

「家に行かせてもらえませんか」


その言葉に「朝来たじゃないか。...これ以上、何をするんだ?」と聞く。

するとメルは「確かに私、朝行きました。でも今回はその目的と違います」と俺を見上げてくる。

メルは「私...私の証を刻みたいんです」と言う。

俺は「?」を浮かべて立ち止まる。


「それはどういう?」

「あんな浮気女に負けたくないんです」

「...」

「だから私は...二郎さんの横に立てる女の子になりたい」

「だから何か残したいと?」

「はい。そういう事です」


それから「具体的に言うと私が二郎さんと結婚する世界を夢見て...私は二郎さんの事をもっと知りたいんです」と俺を見てくる。

俺は「...メル...」となる。

メルは「愛しているからこそです」と笑顔になる。


「だからこそ行かせてほしいです」

「成程な」

「はい。駄目でしょうか?」

「分かった。来たら良い」


そして俺はメルの頭を撫でる。

するとメルは恥ずかしそうにはにかんだ。

それから「ありがとうございます」と笑顔になる。

俺はその顔にメルと一緒に手を繋ぎ歩き出した。



俺達は家に帰ってから玄関を開ける。

そして室内に入るとメルが「えへ。二郎さんの香りがする」とニコニコした。

俺は「俺の香りってなんじゃそりゃ」と苦笑した。

メルはこっちに向いた。


「二郎さんの香りですよ。私、匂いフェチです」

「...変態じみた事を言うな...お前」

「何を言っているんですか。じゃあ嗅いでみます?私の香り」

「御冗談を」


するとメルはニヤッとして制服のブレザーを脱いだ。

それから俺に「この場所なんだか暑いですね」と言う。

オイ。


「えへへ。はい。ばさばさー」


メルは制服を思いっきり埃を出すみたいにバサバサする。

女の子の香りがしてきた。

メルの独特な柑橘系の香りだ。

俺は「オイこら。からかうな」と怒る。

するとメルはバサバサするのを止めてから「えへ。えっちですね♡」と言う。


「そんな事をしたら襲うぞ。お前」

「やってみます?」

「やらん」


するとメルは俺の下半身を見た。

「とは言っても下半身は正直ですね」と言う。

俺は「そりゃ俺だって男だしな」と答えた。

メルは「大人の香りですね」と俺に近付いて来る。


「メル?」

「なんだかエッチな気分になってきましたよ」

「駄目だっての。ガキには早い」


その言葉にメルはジト目になる。

それから「私は確かに子供っぽいですけどぉ。そんな事を言われるとムカつきますね」と今度はシャツを脱ぎ捨てた。

するとそこにあられもない姿のブラジャーを着けたメルが現れる。

大人系の紫のブラだった。

というかそういう問題ではない。


「あのな。メル...」


俺は捨ててあるブレザーを溜息交じりに拾い上げる。

それからメルに被せた。

メルは俺を見上げる。


「そういうのは早い。...それはな。...俺達の将来でやろう」

「...でも」

「知ってる。お前がなんでいきなりそんな事をしたのか」

「え?」

「名木山に負けたくないからだろ」

「...!」

「名木山に...取られるかもしれないって思ったからだろ」

「...そうですね」


メルは心配そうに俺を見る。

俺はその姿に「大丈夫だ。...俺は一途な奴しか見ない」と答える。

それから俺はメルの両頬を優しく包む。

そしてキスを交わした。


「大丈夫。俺はどこにもいかないよ。...でもこの問題は暫く続くとは思う」

「...二郎さん...」

「でも絶対に揺るがないし棄てない。君を」

「...はい!」


制服をまた着るメル。

それから「何しましょうか」と俺に向いてくる。

俺は「じゃあゲームでもすっか」と言ってからリビングのドアを開ける。

するとメルは「はい」と笑みを浮かべてから室内に入った。



俺という人間。

加茂橋二郎がなんで前世で彼女。

つまりメルと知り合いにならなかったかをこの場で語ってない。

俺は実は前世でもメルは知っている。

だけどメルは人間関係のストレスで自殺未遂を起こし...下半身不随になった。

そのリハビリの為にこの町を去ったのだ。

皮肉にもその時期に俺と名木山が結ばれつつあった。

僅かな誤差。


という事がある。


だからこうしてメルに違和感なく接近しているのはそれも理由があった。

つまり俺はメルの事を気にしているのだ。

だからこそ。



俺はゲームで遊ぶメルを見る。

参加型のテニスゲームだ。

メルにコテンパンにやられた。

だけど悪い気はしない。

俺は考えながら汗だくになったメルを見る。


「えへ。強いですね。二郎さんは」

「ああ。このゲームはやり込んでいるからな」

「そういう強い人間はモテますよ」

「既にお前にモテているけどな」

「さっすがは私の彼氏です」


メルはニコニコしながら俺を見てくる。

俺はその姿を見ながら柔和になる。

それから俺はゆっくり立ち上がってから「何か飲むか」と聞く。

するとメルは「はい。ジュース系有りますか?」と話す。

俺は「あるぞ。オレンジジュースだ」と答える。


「ありがとうございます」

「じゃあそれを入れるな?」


それから俺はメルにコップに入ったオレンジジュースを持って行き。

俺はコップに入った麦茶を飲んだ。

そして俺は一息ついていると俺にメルが寄り添って来た。

俺に甘えてくるメル。


「...前世で」

「?」

「前世で最悪だった分。私は...彼女と...奥さんとして貴方を助けます」

「...メル...」

「この身は貴方のものです」

「...」


俺は複雑な心境でメルを見る。

メルは俺の手を握りしめた。

それから口角を上げて俺を見てきた。

そして「お爺ちゃん、お婆ちゃんになるまで貴方の傍に居ます」と言った。

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