15、闇の世界
良い事なのか悪い事なのか。
それは分からないが名木山めぐみの株が上がった気がする。
俺は思いながら名木山の父親が去ってから教室で授業を受ける。
そして授業が終わってから俺は立ち上がり飲み物を買いに行こうとした。
すると名木山めぐみからメッセージで連絡があった。
(父親が探してるみたいだね)
という感じに。
俺は(ああ。だな。今お前どこに居る)と聞く。
すると名木山は(今私は叔母さんの家に居る)と書いてきた。
俺は(そうか)と返事をする。
そして(お前転校するってな)と書いた。
名木山は(私が決めたんだ)と記載をしてくる。
(やはりお前が決めたんだな)
(うん。私は貴方達から離れなければならない)
(そう決心しただけでも凄いと思う。誇りに思いな)
(そうかな。私は...もうこれ以上は迷惑をかけられないと思っただけだよ)
(昔のお前なら認めない)
その言葉に名木山は黙る。
俺は追加で教室を出ながら(だが)と打つ。
それから(お前を多少は見てみる事にする)と書いた。
名木山は(それは...)と書いてくる。
俺はその言葉に(だが勘違いはするな。お前を許さないから)と書き込む。
(でもそう言ってもらえて嬉しいよ)
それから(どうなるか分からんが。一先ずは...様子を見る)と書いてから送信した。
すると名木山は(それだけでも充分。だけど私は死すべき存在だからそんなに念入りにしなくて良い)と書いてきた。
俺はスマホから視線を外してから自動販売機を見てから甘いコーヒーを買った。
俺は名木山に(じゃあ)とメッセージを送りスマホを閉じた。
そして俺はスマホをポケットに入れた。
「二郎さん」
「ああ。メルか」
「はい。メルです。先輩達に聞いたらこの場所だって話だったので来ました」
「...そうなんだな」
その様に会話をしながら居るとメルが近付いて来た。
それから座り俺に寄り添って来る。
俺はその姿を見ながら「メル。すまないな」と言う。
メルは「何がですか?」と話す。
俺は顔をゆっくり上げた。
「...こんな真似をするのは如何なものかとは思うが名木山を利用しようと思う」
言葉にメルは「ですか。でも二郎さんが決めたのならそれに従います」と話した。
俺は人を利用するのは如何なものかとは思ってはいる。
だがこのままでは安全が確認出来ない。
ならば名木山にはこのまま平和の為に犠牲になってもらう必要性があると思う。
あまりそういうのは良くないとは思うが。
だが仕方が無い。
俺は缶コーヒーを手元に自動販売機を見る。
「私は多少は犠牲になってもらうのはアリだと思います」
「...」
「二郎さんは今までが甘すぎですから」
「やはりそう思うか?」
「なんだかもどかしかったです。二郎さんがどっちにも転ばないのが、です」
「...いや。まあな」
「私も彼女を犠牲にするしか平和は担保されないかと」
「鬼畜かもしれないがな」
「多少は利用してもバチは当たりません。私は絶対にそう思います。平和とは犠牲の上で成り立ちますから」
そんな言葉に俺は「...だな」と返事をした。
それから「となるとこう決めた以上は彼女に接近しないとな」と尻を叩いてから埃を取り除く。
俺は多少は鬼になろう。
でないと...話にはならないだろうしな。
幸春やクラスメイト。
何よりメルの為に。
☆
俺達はチャイムが鳴ってから教室に戻る。
それから俺は授業を受けてから俺はアイツ。
つまり名木山にメッセージを送った。
具体的に彼女を殺すとかじゃない。
あくまで平和の為に多少利用するぐらいだ。
(会いたい?)
(ああ。お前に会って意見交換がしたい)
(私は良いよ。ありがとう)
(そんな事を言うな)
そんな感じで足を組みながらメッセージ。
すると名木山は(どうしてまた)と書いてくる。
俺は「...」となりながらメッセージを見る。
まさかコイツに直に「利用する」とは言えまい。
上手い事、コイツから情報を聞き出さないと。
(まあ...一先ず会わないか)
(...そうしたいのはやまやまだけど叔母さんの家に父親が来てね...それで家から出れない)
(ああ。そうなんだな。母親と妹はどうしているんだ?)
(紫紋は普通通り。母親は黙らされてる)
やはりか。
そう考えながら俺は(じゃあまた今度会わないか)と書く。
(お前の今後の事も話したいんだ)とも書き込む。
すると名木山は(ああ、父親の件だね)と記載してきた。
(そうだな。今回の騒動でお前の父親はSNSに晒されたぞ。多分だが。だから話がしたいんだ)
そう書くと名木山は(分かった。今度時間取る)と書いてきた。
すまないな名木山。
お前を犠牲にしなくては話が進まない。
だからお前には犠牲になってもらう。
そう思いながら俺はスマホを持ったまま立ち上がる。
それからトイレに向かう為に名木山に挨拶をした。
そして俺は少しだけ目を尖らせた。
平和の為に犠牲になってもらう。
☆名木山めぐみサイド☆
恐らくだけど二郎は私を出汁にしようとしている。
それで私を犠牲にしようとしている。
まあそれならそれでも構わない。
私は...。
「...」
私はスマホを閉じる。
それから窓から空を見上げる。
どうしたものか。
そう考えながら薄暗い闇を見ていた。




