13、名木山一家
それから俺達は本屋で本を購入してから館内を巡ってから。
生搾りジュースというものがあったので飲んだ。
メルはニコニコしながら俺をずっと見ていた。
俺はその姿に笑みを浮かべる。
そして時間はドンドン過ぎていった。
「そろそろ帰りますか」
メルがそう話した。
俺は「...お前は満足したか?」と聞く。
するとメルは「はい。満足。いえ堪能しました!」と笑顔になってから俺を見る。
俺は「そうか」と言いながらメルに笑みを浮かべた。
「じゃあ帰るか」
「そうですね」
それから帰宅の為に俺達は出口を出る。
そして歩き出した。
その際にメルが「あの。二郎さん」と言った。
俺は「?」を浮かべてからメルを見る。
「その。もし良かったらなんですがまたデートして下さい」
「ああ。それは構わないぞ。幾らでもしよう」
「ですね。ありがとうございます」
そして俺達は微笑みあいながら静かに見つめ合う。
するとメルは手を握ってきた。
俺もメルの手を握り返す。
それから俺達はニコッとした。
☆
それから俺達は解散してから家に帰る。
メルも今日は家に帰宅した。
俺はそんなメルを見送ってから部屋を見渡す。
今日は楽しかったな。
そう考えながら俺は購入した本を見る。
購入した本は大切な記念になった。
「よし」
その様に意気込み俺は天井を見上げるのを止め。
メルとの距離が縮まった事に歓喜しつつ俺は勉強をする。
すると机に置いていたスマホが震えた。
スマホを持って確認すると...名木山からだった。
俺は「?」を浮かべてから眉を顰める。
そして開くと...そこに名木山から(ゴメン。忙しい時に)とメッセージが入っていた。
なんだってんだ。
そう考えながら俺は(何の用事だ)と打ち込む。
(名木山紫紋が私を探していて...)
(名木山紫紋...ああ。お前の妹か)
(...逃げてる)
(名木山紫紋がなんでお前を探しているんだ?)
(逃げた事の腹いせみたいだけど)
俺はその言葉に(成程な)と書く。
それから俺は(それで。俺にどうしてほしいんだ)と言う。
すると(...貴方の家にも行くかもしれないって話)と書いてきた。
その言葉に(なんで俺の自宅の住所を知っているんだ?)と打って送信する。
(奴は。紫紋は多分私達の過去を知っている)
そんな言葉に俺は見開く。
そのメッセージに俺は(なんでそれが言える?)と聞いた。
すると名木山は(ありとあらゆる行動、行為が私の邪魔をしているから)と書いてきた。
俺は(そうなんだな)と返事を書く。
(私は...奴は異常だと思ってる)
(まあな。お前の妹だし異常だろうな)
(ゴメン。そういう事だから)
(...分かった。気を付ける)
それから俺は(もう良いか)と書く。
すると(うん。ありがとう)と返事が来た。
そして名木山は(感謝してる)と書いてきた。
(お前今どこに居る?)
(私の居場所は教えられない)
そして名木山から返事は無くなった。
なんなんだコイツ。
しかし名木山紫紋か。
何を考えて動いているのか...。
そう思っていた矢先だった。
ピンポーンと音が聴こえてきた。
何だよ。
「?」
インターフォンを覗くとそこに見た事がある女子が居た。
まさにその通り名木山紫紋だった。
コイツ...マジに来るとは。
そう思いながら玄関のドアをゆっくり開く。
すると「こんにちは」と満面の笑みを浮かべた少女が居た。
「...」
ポニテにしている少女。
そして元気ハツラツした顔。
八重歯の生えた口元。
アイツとは正反対に近い性格の少女。
間違いなく名木山紫紋だった。
「...誰だ」
「初めまして。こんにちは!名木山紫紋...っていうかあの人から聞いてませんかね?」
「...お前、初めまして、じゃないだろ。初めましては初めて会う人が言う言葉だ。...俺達の間柄はそんなんじゃないだろうが」
「どういう意味ですか?」
「言葉通りの意味だが?」
その言葉に「アハハ。意味が分からないですね」とニコニコする名木山紫紋。
俺は「そうか。まあどっちでも構わないが。お前何しに来た」と名木山紫紋に聞く。
すると名木山紫紋は「おねーちゃんの行方知りません?」と聞いてきた。
俺は言葉に眉をピクッと動かしてから「知らない」と否定をしてから名木山紫紋を見る。
名木山紫紋は「うーん。そうですか?」と悩ましいという感じの顔をする。
その姿に眉をまた寄せる。
「第一先ず俺と名木山めぐみの仲の悪さを知っているだろう」
「そうですか?私にはそんな感じに見えませんでした」
「...そうか。なら教えてやる。俺は名木山めぐみとは関係性があまり良くない。だから行方は分からない」
「分かりました」
それから名木山紫紋は俺に笑顔を見せながら踵を返す。
俺はその姿に「...」となりながら名木山紫紋を見つめる。
名木山紫紋は頷いてからクルッと翻しながら「では分かりました。おねーちゃんを探しているのでこれにて失礼しますね」と言った。
俺は無言で睨む。
「あ、それから。名木山めぐみから色々言われても信じないであげて下さい。あの人、混乱していると思います。家族があの子を引き戻さないとです♪」
「...お前の事は最悪と認識している」
「最悪?やだな。私は最悪じゃないです」
ニコッと笑顔を浮かべる名木山紫紋。
俺は「...だったら良いがな。警察沙汰は止めとけよ」と釘を刺す。
すると名木山紫紋は「はい♪」と満面の笑みを浮かべた。
死の笑みに見えた。
死神が笑っているかの様な。




