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12、破滅

☆名木山めぐみサイド☆


私は一体何をしているのか。

こんな真似をする筈ではなかった。

そう思いながら私はショッピングセンターに来た。

それは目の前の2人を追う為。

2人はつまり佐元さんと...二郎を追う為だった。


「...馬鹿なのか。私は」


そんな事を呟きながら私は壊れかかった心で追っていた。

市役所に助けてほしいと懇願する為に行ってみたがこの町の市役所は無能だ。

あれこれ言われ追い返された。

何故文句を言うのか分からないが。

市役所はあてにならないのか?

考えながら私は目の前のカップルを陰ながら追っていた。

だけど途中であほらしくなって止まる。


「暇人だな」


そう言いながら私は踵を返す。

それから帰宅する為にとぼとぼ歩き出す。

私は確かに落ちた事は落ちていた。

だがこの世界では真面目に生きようと思っていた。

もう寂しくはない。


「...幸せに。二郎」


私は歩き出すと人にぶつかった。

その事にぶつかった痛みで口元を覆う。

それからその人に「ごめんなさい」と言いながらまたよろよろと歩き出した。

そうして出口まで来た時。


「待て」


そう声がした。

私は「?」を浮かべて背後を見る。

そこに二郎が立っていた。

「やっぱりお前か」という感じで、だ。

その事に青ざめる私。


「...何をしている」

「...用事があったんだ。この場所に」

「それは真っ赤な嘘だな。いつから俺を追っていたんだ」

「...」


バレていたか。

私は足を止めて踵を返す。

それから二郎の顔を見てみる。

二郎は眉を顰めて私を見ている。


「私が何をしていようとも勝手でしょう?」

「そうだな。あくまで買い物目的なら。だけど俺達を追って来る、追うのは話が別だ」

「...そうだね。悪かったって思ってる」

「...話がある」

「私は話は無いよ」

「いや。俺がある。...お前、虐待を受けていたな。親から」


その言葉に私は見開く。

それから二郎の目を見据える。

そして「大丈夫。その事は。虐待されてないよ」と話した。


「この世界の親は良い人だから」

「...嘘を吐くな。お前...そのあざはなんだ」

「あざ?」

「足にあざが出来ている」


私は「!!!」となってから違和感のあった足を見る。

さっきまで無かった場所にあざがあった。

その紫色に腫れているあざを隠しながら「このあざは転んだんだんだ」と言い訳する。

さっき蹴られたのだけど。


「...そうか。なら良いけど。...お前、前世では親がどうして来なかったんだ。結婚式に」

「親?来たでしょ?親は」

「来てなかった。俺ははっきり覚えている。付き合って7年が経った時に迎えた結婚式。あの日母親しか来てなかっただろ」

「...」

「聞いたけど私立大学の教授らしいな。お前の父親は」

「...」

「そして妹は優秀だった。だけどお前は普通の高校生だった。その関係の問題か」


その言葉に私は「どうでも良い事だよ」と否定をした。

それから「制約はあるけど良い親だよ?」と言う。

私はあざを隠しながら返事をする。

すると二郎は「深堀はしないが...お前市役所とか相談したのか」と話した。


「...なんで?」

「それはもう行政とか警察に頼らないと解決しないぞ」

「...ご忠告はありがたいけど私は大丈夫。死なないし」

「そうか。なら良い」


それから二郎は踵を返す。

そして「お前がこんなんで死ぬと胸糞悪い。なんか」と言ってから店内に去って行く。

私はその言葉に涙を浮かべてから拭った。

そうして私は踵を返してから帰宅する。

家を出て行こう。

そう思いながら、だ。


☆加茂橋二郎サイド☆


メルを待たせてしまった。

俺は考えながらメルの元に戻る。

するとメルが手を振って待っていた。

俺は笑みを浮かべてから近付く。


「メル。すまないな」

「いえ。...大丈夫でした?名木山」

「...知らん。忠告はしたがあざがあった」

「やはり予想通りですかね」

「だろうな。...虐待か何かされているんじゃないか。この世界でも」


そう答えながら俺達は歩き出す。

それからメルと恋人繋ぎをしてから本屋に来てみた。

本屋ではメルは「やっぱり大きな本屋ですね」と言う。

俺がちょうど小説が好きと言ったからこうなったけど...メルにとっては退屈じゃなかろうか。


「メル。良いんだぞ。こんな無理しないで」

「いえ。私知りたいんですよ。彼氏が好きなものを」

「...俺は確かに小説は好きだが...」

「大丈夫です。教えて是非とも教えて下さい。貴方の事」


メルはニコニコしながら俺を見る。

俺はその言葉に「分かった」と返事をする。

それから俺は新刊売り場に向かう。

そして小説の新刊を見る。


「これは恋愛系だ。...だけど大人の恋愛だな」

「そうなんですね。...え、面白そう」

「ネット記事に書いてあった」

「新刊チェックってやつですか?」

「そうだな。...まあ新刊チェック。良さげな新刊を毎月探していてな」

「あはは。二郎さんはこまめです。格好良いです」

「それは格好良いのかな」


そんな感じで会話をしているとスマホがピコンと鳴った。

俺は「?」を浮かべてからレイン、メッセージアプリを開く。

そこに名木山めぐみと書かれたメッセージがあった。

俺はそのアカウント名に「...」となりながら読む。

アカウントを交換はしていたが...まさかこんな形で役に立つとはな。


(家出する)


その一言が書かれていた。

俺は訳が分からないまま(ああそうなのか)とだけ書いた。

それから返事をしてから画面を見ていると(ありがとう。今日は)とメッセージが来た。

そんな文章に(家出ってお前、どこに行くんだ)と聞く。

すると名木山は(ルーツを探す)と書いてきた。

意味が分からん。

ルーツってなんだ。


(何度も言っているが虐待されて死ぬのだけは止めてくれ。こんなもんで死なれたら胸糞悪い)

(大丈夫)


それから文章は来なくなった。

俺は溜息を吐きながらそのままスマホを閉じる。

そして俺はメルに向いた。

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