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11、ミニチュア・ピンシャー

☆加茂橋二郎サイド☆


アイツが歪み始めたのは...確かにレインの時期だった。

だがそれ以前から素質として歪んでいたのかもしれない。

そう思いながら俺は溜息を吐く。

それから俺は上着を着た。

そして俺は着替えたと思うメルのもとに向かう。


「どうですか?二郎さん」

「...それは...」


そこには可愛らしいスカートを身に着けたメルが居た。

だけど見せてもらったスカートとは何かが違う。

色合いといい模様といい。

俺は「?」を浮かべる。

するとメルは「これは新しく買った服です」と笑顔になる。

俺は「!」となった。


「新しいお洋服です。今日お披露目する為に持っていました」

「ああ。...そうなんだな」

「はい。可愛いですか?」

「可愛いな。...美少女だから、メルだから何でも似合う」

「えへへ。二郎さんお上手ですね」

「いや。...そういう訳でもないけど」

「二郎さんも格好良いですよ」

「俺はどうでも良いって。...いつも同じ様なもんだしな」


それからメルは俺に歩み寄って来る。

そして「行きましょうか」とメルは言った。

俺は「ああ。...行こうか」と話した。

外に出てから俺は玄関を閉める。


「その。二郎さん」

「?...ああ。どうした?」

「私...思ったんですけど」

「...ああ」

「もしかして過去から歪んでいたんじゃないですか?彼女は」

「それはつまり名木山の事か?」

「ですね。...もう会う事は無いでしょうけど。...なんというか初めから歪んでいたんじゃないかなって」

「...お前もそう思うのか」

「という事は二郎さんもですか?」

「まあな。前世で...アイツの家族は結婚式に一切出席が無かった」


その言葉に「!」となるメル。

それから「それはどういう意味ですか?」と聞く。

すると「正確に言えば結婚式は母親のみ出席していた」と回答する。


「...それは...」

「家族関係が破綻していたんじゃないかな」

「名木山の実家に行った事は...」

「...あるよ。だけど家族は良い人だった。父親も妹も居た」

「何が起こっていたんでしょうね」

「隠している、かな」


メルは「マジですか」と聞いてくる。

俺は「それ以外に考えられないな。...仲良さげだったしな」と言いながら歩く。

一緒に歩きながら「じゃあ破綻していたのを隠していたと?」と話す。

その言葉に頷いた。


「何かあるんじゃねーか」

「今もですか?」

「知らないな。....なんかもうどうでも良いって感じだ」

「...ですね」


それから歩いてから俺達はショッピングモールに来てみた。

このショッピングモールはまあそこそこデカい。

その為、若者のデートスポットになっている。

住んでいる所はクソ田舎で何もないしな。

俺は苦笑しながら店内を見渡した。

それからメルを見る。

メルは「最初にどこに行きましょうか」と迷っている。

俺はその言葉に「そうだな。...どうしようか」と思いながら歩いているとペットショップが見えた。


「メル。犬を見て行かないか」

「あ、良いですね!私、ワンちゃん好きです」

「俺は動物が全般的に好きだな。だけどその中でも犬が好きだな」

「そうですね♪」


俺はメルと一緒に最初のデートスポットとしてペットショップを訪問した。

それから混んでいる店内を見渡しながら犬と猫達のコーナーに行く。

そこに居た動物達に俺達は癒される。

子犬とか子猫とかが居た。

可愛い。

とにかく可愛らしい。


「将来、結婚したら飼いたいですね」

「...結婚を目標かよ!?」

「そうですよ?だって私達はもう結ばれたようなものです」

「だが...早いな」

「そうですか?アハハ」


それからメルはケージを見渡してからシュナウザーやパグを見ていた。

皆子犬であり凄く可愛らしい感じを見せていた。

俺はそんな動物達を見ながら「ペットショップは...命を売り買いするあまり良くない存在だけどでも可愛いよなぁ。身近でこうして見れるのは」と言いながら犬達や猫達を見ていた。


「ですね。私も聞いた事があります」

「ああ。その問題をか?」

「はい。飼育放棄が起きる原因だって...それをよく聞きました」

「そうなんだよな」

「...でも流石...物知りですね。二郎さんは。えへへ。流石は自慢の彼氏です」

「新聞読んだりしているだけだがな」


メルは「それでも凄いです。流石は二郎さんです」と俺に微笑んで言いながら立ち上がる。

それからメルは周りを見渡す。

するとショーウインドの先。

ミニチュア・ピンシャーという犬が居た。

物凄く小さく...つぶらな瞳で可愛らしい茶色の犬だった。

メルが目を輝かせる。

それから「可愛い!!!」と言った。


「可愛いな。確かに」

「この可愛さは人を惹きつけるでしょうね。可愛いです」

「オスだそうだな」

「30万円もするんですね。無理だけど可愛いな」


それからメルがショーケース内を見ているとお世話をしていた女性の店員さんがやって来た。

そして「彼、抱えてみますか?」と聞いてくる。

メルが「あ、是非!」と笑顔になった。

俺もその姿を見ながら柔和に笑みを浮かべる。

消毒をしてからショーケースに居たそのオスのミニピンが連れて来られる。

つぶらな瞳を向けてから俺達を見る。

店員さんにミニピンを渡されて抱えるメル。


「可愛いなぁ」

「だな。確かに」

「連れて帰りたい」

「まあ...そうなるよな」


そしてメルはミニピンに。

その姿を見ながら俺はメルに癒やされながら幸せなひとときを過ごす。

ミニピンに感謝しつつ、そのまま暫くミニピンを見ていた。

飼えないけど...彼はかけがえのない思い出をくれた。

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