間章一
少女は長椅子に端座していた。街灯はわずかな光を放ち、それが彼女の白い肌を照らしている。
エリンが歩いてきて、彼女は外套を脱ぎ、静かに雫の肩にかけた。それから隣に座った。
「ねえ、エリン、先輩は…」
「彼はもう行ったよ、あっちの方に連れて行かれた。」
「うん。」
二人は言葉を交わさなかった。雲が散り、清らかな月光が地面に降り注いだ。
「雫、体調はどう?」エリンが静かに尋ねた。
「大丈夫。」雫は目を閉じた。
エリンは深いため息をついた。
「雫、帰ろう。」
「うん。」
二人は立ち上がり、一歩一歩、家の方向に向かって歩き出した。
ある無人の街道に、一つの街灯が微かな光を放っている。
二人の歩行者が街道の両端から向かい合って歩き、光の円の両端で立ち止まった。
そのうちの一人の白髪の歩行者が自分の髪を整え、もう一人はそれを鼻で笑った。
「本当に拙劣な偽装ですね、呉銘。」エリンの軽蔑的な声が響く。
「その言葉があなたの口から出るとは、皮肉ですね。」呉銘が答えた。
二人は沈黙した。
エリンがその沈黙を破った。
「本当に彼をそこに放置するつもりですか?」
「はい、これは司教様の決定です。」
「ふん、司教様ですか?それとも、あなた自身の決定でしょう。」
呉銘は何も言わず、ただ黙って相手を見つめていた。しばらくして、彼は低い声で言った。「雫の面倒を見てください。」
エリンは答えなかった。彼女の口元が少し上がった。
「前にも言ったように、私はその日までの世話しかできませんが、それで問題ありませんよね?」
「問題ありません。」呉銘が言った。
二人は再び沈黙した。
「それでは、私は行きます。さようなら。」今度は呉銘が最初に言った。ただの別れの言葉だった。
「さようなら。」エリンが答えた。
街灯が一瞬瞬き、次第に光を失った。再び明かりが点ったとき、街道には再び誰もいなくなっていた。
混沌、ただの混沌、単調でありながら複雑、喜びと恐怖が交錯する。
漆黒がこの地を覆い、虚無を飲み込み、四方に満ちている。ここは星の光も無く、温もりも無い穴の中。
しかし、ある日、この場所に宮殿が誕生した。その宮殿の主は光を降らせ、大地を鍛え、偉業を成し遂げた。
彼は時間の概念を与え、空間を創造し、彼の創り出したもの、すべてを観測した。
逝く者は斯くのごときかな、昼夜を舎かず
彼は目の前で迷っている少年を見て微笑んでいました
彼は少年の手を取り、言った。
「今、私は君の意志を感じた。君の願いを、私が叶えよう。」
鐘の音が夢の中から響き渡る。




