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異構isomerr  作者: 钟沛
炽天使篇
15/28

燃えるA  

 異構体は【天使】と対峙している。

 彼は鋭い牙をむき出しにし、顔を歪めて、大きな両拳を握りしめ、高濃度の異能がその中に集まり、薄暗い赤色の光を放っている。

【天使】は目の前のすべてを静かに見つめ、まったく動じることなく、燃え盛る炎が彼女の自己を焼き尽くし、彼女の本我と超我を完璧に融合させている。熱い炎は神聖な光輝を放ち、まるでパイプオルガンで奏でられる聖歌のように、安らぎを与える。

 異構体は猛獣のように相手に飛びかかり、次に一気に跳び上がり、まるで稲妻のように空を駆け抜けて、【天使】の胸に向かって力強く拳を振り下ろす。速度は速く、空気さえも震えるほどで、異構体の力は空気を圧縮し、無形の衝撃波となって広がる。【天使】はもはや避ける場所すらなく、「ドン!」という音が響き、異構体の拳は炎でできた盾に重くぶつかった。

 異構体はこれを見て、右拳を引き、すぐに左右の拳を素早く交互に振り下ろす。雷鳴のように拳を放つ度に、衝撃波が空気を引き裂き、風が鳴り響く。

 盾の表面は瞬時に強烈な赤色の光を放ち、激しい衝撃を受けて、亀裂が走り、不安定な光斑がちらつき始める。異構体は身体のすべての筋肉を引き締め、どの一撃も単なる打撃ではなく、長時間溜めてきた力が爆発するようなものだった。まるですべての障害物を引き裂こうとしているかのようだ。

 盾のエネルギーは激しく揺れ動き、光が点滅を繰り返し、異構体の圧力に耐えられない様子が見て取れる。異構体は勢いを増して、再度力を込めると、左拳を放ち、猛烈で正確に、まるで雷鳴のような勢いで盾の反対側を打ち砕いた。

「バン!」

 再び大きな音が響き、盾の表面が激しく震え、赤い異能波動が海のようにうねり、亀裂がさらに広がる。

 異構体の一撃一撃は盾に耐え難い衝撃を与え、亀裂はすぐに広がり、ほぼ盾全体に広がった。最後の一撃が訪れると、拳闘士は右拳を力強く振り下ろし、全身の力を込めて地面に向かって叩きつけた。

「パキッ!」

 耳をつんざくような音とともに、盾の異能バリアはついに耐えきれず、激しい光を放ちながら、ガラスのように崩れ、空中で光の粒子として消えていった。

 盾が破られた瞬間、【天使】の防御は完全に崩壊し、その身体はあの巨大な力に押し砕かれ、鉄筋とコンクリートを突き破り、百メートルの高空から地面へと落下していった。

「ドン!」

 地面はその突然の重撃で深い穴が開き、煙が立ち込める中、大きな怪物が暗赤色の光を放ちながら穴の中に立っているのが見える。異構体は頭を上げ、【天使】がいつの間にか空中で静止し、六枚の翼をゆっくりと広げ、傷一つなく立っているのを発見した。

【天使】は羽根を炎に変えて、異構体に向かって猛然と射出した。

 次々と火焰が天を裂いて、異構体の立つ場所に集まった。異構体は慌てて逃げるが、火炎はまるで生命を持っているかのように進行方向を変える。「ゴロン!」という音とともに、火炎は異構体の鎧を突き破り、その巨体を焼き尽くしていく。

【天使】は手を上げ、手のひらに星火を集め、次に火球を作った。【天使】は手首をひねり、炎の束を火竜のように放ち、異構体に向かって突進させる。

 異構体はそれを見て、焼けるような炎を無視して、血盆のような大きな口を開け、濃密な異能を凝縮して球にし、それがひび割れ、束のようなレーザー光線となって火龍と空中で衝突した。

「バン!」

 空から巨大な爆発音が響き渡り、煙が消えると、異構体と【天使】はそれぞれ反対側に立っている。

 怪物は依然としてその巨大で冷酷な異構体であり、体は高濃度の異能で凝固して、冷たい光沢を放っている。顔は恐ろしいほどに歪み、怒りと憎しみを内包しているように見え、その口からは低く響く咆哮が漏れ、まるでその音波が世界を揺るがすかのようだ。その巨大な体はまるで動く鋼鉄の山のようで、歩く度に大地が震え、空気中には破壊の気配が漂っている。機械の腕が振り回され、金属摩擦の耳障りな音が響き、衝撃が発生する度に、空気中に眩い火花と雷鳴が走る。

 そして、その対面に立つのは【天使】。彼女は神聖そのものであり、その容姿は目を向けることすらできないほどの光を放ち、全身が炎と光で造られているようだ。金色の炎の羽は高く広がり、扇ぐたびに天を揺るがす聖なる嵐が巻き起こり、純粋で雄大な力が四方に広がる。顔はまるで神の化身のようで、目には神聖な怒りと慈悲が宿り、その言葉は雷鳴のように轟き、周囲の空間すべてを震撼させる。

 戦闘が再び爆発的に始まり、天地が引き裂かれるようだ。怪物は高く跳び、太い腕を振り下ろし、あたりに滔滔たる勢いで、暴風雨のように【天使】に向かって襲いかかる。その攻撃は暴雪の中での雷鳴のようで、気圧は低く、空気はその咆哮の中で破裂しそうだ。しかし【天使】は軽やかにそれを避け、身軽に流れるように動き、燃える羽を広げた背中からは五彩の星光が閃き、怪物の攻撃範囲を瞬時に外れる。

 次の瞬間、彼女の手に集まった炎が刃となり、空気を切り裂く音は星間を引き裂くような轟音となった。

 怪物は怒りを爆発させ、再度猛攻を仕掛け、巨大な拳が空気を粉砕し、すべてを押し潰していく。しかし【天使】の目には神聖な怒りが燃え尽き、無限の光となり、周囲の空間はその神聖な力によって歪み、火と聖潔の香りが空気を満たす。彼女は刃を振るい、怪物の攻撃を一つ一つ防ぎ、【天使】の羽は風に揺れ、巻き起こった嵐は怪物の攻撃を瞬時にかき消し、空はその時裂けた。

 戦いの一瞬一瞬に破壊の気配が満ち、天地には破壊と再生の二重の力が充満している。怪物はその大爪を広げ、【天使】を引き裂こうとするが、【天使】はその神聖な力で、刃を振るい、怪物の鎧を打破し、その異能を浄化する。戦いは続き、怪物の体は次第に【天使】の神聖な炎によって侵食され、異能が四散し、神聖な浄化に抵抗することができなくなった。

「シュッ!」

 その瞬間、【天使】は利刃を突き出し、異構体の胸甲を貫通させた。彼女は腕を軽く動かし、異構体はそのまま真っ二つに裂け、地面に向かって落ちていった。

【天使】は止まることなく、その胸の中で無数の炎を凝集させ、それが光束となって異構体に射出される。異構体はその高濃度の異能と高温の攻撃を受けて、灰と化して消え去った。


2024年6月13日0:00

「うわー、ほんとに気持ちいい戦いだったわね。」

 茶色の髪の女性は高い場所に立ち、遠くから見守っていた。

「残念だね、鐘鳴くん、あんなに頑張ったのに、結局無惨にやられちゃった。」

 彼女は笑いながら言った。「あぁ、相手が【天使】だから仕方ないけど。」

「そろそろ私たちの出番だね。」

 漆黒の衣装を纏った男性が影から静かに言った。

「えー、そんなに焦ってるの?ああ、彼があなたの…」

「黙れ。」

「はいはい、わかりましたよ。じゃあ、行こうか。」

 二人の姿は燃える街の中で消えていった。

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