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第三話
朝起きると春の姿はなかった。
きっと仕事に出掛けたのだろう。
テーブルの上に置き手紙と5000円が置いてあった。
「仕事に行ってくるね!気を遣わず家にいて下さい。そのお金で何か食べて下さい」
亮は人生でこんなに人に優しくされたことないんじゃないか?と思いを巡らした。
春のお金に手をつけるのは申し訳なかったが、昨日からタバコが吸いたくて仕方なかった。
コンビニへタバコと必需品を買いに出た。コンビニでハイライトと弁当、求人雑誌などを買った。
外はもう冬の気配がした。
春のいない部屋に戻って、弁当を食べながら求人雑誌に目を通す。
俺の歳で未経験okはさすがになかった。
はやく自立するためにも、春をソープから辞めさせてあげるにも、まとまった金が必要なことくらいわかっていた。
その日の夜。
春は帰ってくると俺がもういないんじゃないかと思ってたらしい。
なんだか俺がいるだけで嬉しそうな春だった。
春のソープランドもクリスマスイベントみたいのをやるみたいで、大変なんだとか。
そういえば駅前やコンビニもクリスマス一色だったのを思い出した。
春の好きな冬がやってくる