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不登校引きこもりJK妹(後編)

 クラスメートからの冷やかしの声。

 私と夏美は琴音が何故不登校になったのか。完全に理解した。非常に単純なことであった。


「おい、琴音―!いないのかよ(笑)」


 琴音はいじめを受けている。


「絶対に開けちゃダメだ!里美!」


「で、でも、それじゃ何も変わらないじゃないか!」


「わざわざ冷やかしに来るようなカスどもだぞ!話し相手になんかならない」


 私は拳を強く握りしめた。


「何なんだよ……」


 こう会話しているうちも玄関の扉はドンドンと鳴り、彼らは叫び続けている。


 その状況に母はひたすら真顔で見ていた。


「何だよおい(笑)また来てやるからなー!」


 親がいるにも関わらずこんなことやる輩は恐らく賢くはない。どうにでもなる。が。


 現在の琴音の精神状態はどうなってるであろう。


「琴音―!琴音―!」


 私が必死で呼びかけるが応答なし。

 私は不安になった。扉の向こうで死と生を血迷ってるかもしれない。もしや、首を吊るしてるかもしれない。


 私の体は震えていた。


「琴音はしょうがないなー。おばさんすいません」


 母は「?」と頭上に出ているような顔をした。


「ちょっと、扉、壊します」


「「へ?」」


バキッ!!!


 夏美は琴音の部屋の扉を蹴飛ばし、いとも簡単に破壊した。


 私は思わず目を丸くした。

 しかし、すぐに正気に戻って、琴音の様子を確認する。

 そこにはちょこんと体育座りをしている琴音の姿があった。


「琴音……」


「…………」


 返事はない。しかし、私は駆け寄り、また話しかける。


「琴音。大丈夫?」


 というと琴音は私に抱きついた。


「ごめん……。お姉ちゃん。私……。何にも言えなくて……。心配かけて……」


 琴音は涙をこぼした。


「琴音。確かに私は相談なんかできない駄目な姉かもしれない。ずーっとニートだったし、家事なんかも琴音よりできないし、ヘタレだし、でも」


 私は琴音の頭を撫でながら言った。


「こうゆう時くらい、良いお姉ちゃんでいさせてよ」


「うっううっ」


 琴音は私の胸で泣きまくった。


「こらこら、そんなに胸にうずくまっても、うずくまる胸がないよー」


 琴音がめいいっぱい泣いた後、私、母、琴音、あと夏美とで、家族会議することになった。


「あの、実空さん……。これ、私いります?」


 と夏美が気まずそうに話した。


「いる。めっちゃいる。」


 と琴音がキッパリ言い張った。


「あっそう……。まぁいいけど。仕事溜まってないし」


 夏美は帰ることを諦めた。


「ところで、琴音、何があったの?」


 と私が問いただすと、琴音は黙々と話し始めた。

 




 女子高生 実空琴音である私は友達にも恵まれ、比較的陽よりの生活が送れていたと思う。

 成績もそれなりに取れてたし、運動もできる。不自由ない生活だった。しかし、ある日違和感を覚えた。


「おはよー!」


 私は教室に入るなり元気よく挨拶をした。しかし、いつも帰ってくるはずの返事が帰ってこない。


「あ……あれ?」


 何やら皆コソコソ話しながら、冷たい視線で私を見ている。気分悪いなぁ……。


 そう言えば、気になることがもう一つあるのだ。クラス1のギャル。霧方美樹(きりかたみき)がここ最近来てないことだ。


 その二件の問題に少し悩まされ、ストレスが溜まった。


 ストレスが溜まっていたので、お姉ちゃんをパシリに使って家で菓子を貪った。


 そして、問題は数日後に発生する。


「なぁ、霧方が来なくなったのって実空が何かやったからだろ?」


 皆がいる前でいきなりそんなことをほざいたのは

超陽キャでクラスの人気者。黒岩龍斗であった。


「え?そんなわけないじゃん……」


「いや、学校中で噂になってるから」


「逆にお前知らなかったのかよー!」


 教室内で笑い声が響き渡る。

 カツカツと黒岩は私に近づいて言った。


「お前、気づいていただろ?皆の目線……。そうゆうことだよ。この学校にお前の場所はないんだよ」


「かえれーかえれー」


 ざ……残酷だ……。学校って。


 私はその場からすぐ逃げ出した。自然に流れていく涙を拭き取ってる暇なんてないくらい。


 そして、私は家に帰って、部屋に逃げた。




「こんな感じかな」


 と長々しい話が終わった。聞いただけでも嫌な話である。


「それにしても、その霧方ってなんで休んでたんだ?発端はそこからだろ?」


 と夏美が呟いた。


ピンポーン


 玄関のベルが鳴った。


「よく鳴るなー」


 私はせかせかと玄関に向かった。


「はーい」


「どうも、実空さんいらっしゃいますか?」


 そこには金髪ロングヘアーの少女がいた。


「あの……こんなこというのもあれですけど……」


「?」


「私も実空なんですよね」


 足を踏まれた。


 ふざけている場合かと。


「実空……いえ、琴音さん!すみません!私のせいで貴方がこんな目にあって……」


 彼女の名前は霧方美樹。どうやら彼女は琴音に謝りにここに来たようだ。

 琴音は土下座した美樹に寄り添って。


 そっと、頭を撫でた。


 仲直りかな……?




 事件概要


 完全なる被害者は実空と霧方。霧方がやむを得ない理由で休んでいる間、黒岩たちが身もふたもないデマを学校中に広めたことで実空が疑いをかけられることに。黒岩たちは実空のことをよくは思っていなかったようでこのトラブルを起こすことにしたようだ。

 後に霧方がすべてを学校側に報告したことで黒岩たちには停学処分が下された。


「ところで、霧方さんは何で休んでたの?」


 と琴音が尋ねた。


「漫画の〆切が近くて少し休んでたの。みんなには内緒にしてたんだけど私、学生漫画家やってるから」


「へー!代表作何?」


 と何故か夏美が興味津々に聞いた。


「えーっと……『学園純正ロマンス』っていう恋愛漫画」


「「「がっ!!」」」


「ねえ、千里、何その漫画?」


 と母が聞いてきた。


「コアな層に人気を集めて昨年アニメ化した人気漫画だよ」


 なんで、私の周りって天才が多いんだろう。肩身が狭くなる。




 結果。琴音は学校には行かないようだ。学校に少しトラウマを覚えてしまったようでもう行きたくないようだから、「無理していくようなところではない」というわけで退学手続きを済ませた。

 琴音はこれから自分で出来ることを探していくようだ。


 私の方は〆切にはとりあえず間に合う目処が立って息をついていた。




チャット内会話


ケンタロウ『いやーそろそろですね。冬のコミックマーケット』


ふうりん『やる気マックスファイヤーで仕上げましたよ』


ナマケモノ『下に同じ』


ケンタロウ『今回はどうです?一般参加組は回収完了次第みんなでまわるというのは』


アルカリ電池『いいねーそうゆうことしたいって思ってた』


みどそん『お金貯めとかないとー』


ご愛読ありがとうございます!

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