―09― 〈体術〉を獲得しました
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スキル〈体術〉を獲得しました。
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〈体術〉を選択した瞬間、メッセージが表示される。
本当に手に入ったのか確認しようと、念のためステータス画面を開く。
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〈キスカ〉
スキル1:セーブ&リセット
スキル2:体術Lv1
スキル3:なし
スキル4:なし
スキル5:なし
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うん、ちゃんと表示されている。
一応、スキルの説明を確認してみようか。
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スキル:体術Lv1
武器を持っていない場合、もしくはリーチの短い武器を持っている場合に、効果が発動。
体術の才能を得る。
身体能力の一部強化。
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うん、想像通りの効果だ。
身体能力が強化されるってのがいいな。これなら、俺の攻撃力も強化されているはず。
「「グォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」」
鎧ノ大熊の雄叫びが聞こえた。
それじゃあ、始めようか。
◆
結果、開始3秒で死にました。
「くそぉおお!」
死に戻りした俺は言葉を吐き捨てる。
まぁ、わかっていたさ。
鎧ノ大熊の攻撃をよけるのは難しい。
それはLv1の〈体術〉スキルを得ても同じことだった。
〈体術〉のおかげで、多少動きが速くなり、攻撃力が強くなったとしても、Aランクの魔物の前では、焼け石に水だ。
「何回も挑戦するしかないよな」
一回目でうまくいくわけがないのはわかりきっていたことだ。
何回も挑戦しては、相手の動きを頭に入れて、最適な動きを模索していけば、いつかは光明が差すはずだ。
「よしっ」
と、口にして、気合いをいれる。
まず、最初に襲ってくる鎧ノ大熊の攻撃を回避することからだ。
◆
試行回数およそ315回目。
〈体術〉を選択して10体もの鎧ノ大熊相手に戦うこと5回目。
「これ、無理だろ……」
俺は、そう呟いていた。
何度も戦っているからか、鎧ノ大熊たちの攻撃パターンはある程度、読めるようになっていた。
特に最初の15秒までなら、どんな攻撃もかわすことできると自信をもって言える。
それに、攻撃するチャンスも何度かあった。
「死ねっ」
だから、全力のパンチを繰り出す。
ドンッ、と音が響く。
〈加速〉を選択していた頃に比べたら、攻撃力が増していることは肌で感じる。
だけど、鎧ノ大熊が何食わぬ顔で立っていた。
「ガゥッ!」
そして、俺に腕を振るう。
俺は死んでいた。
◆
「よしっ、別のスキルにしよう」
前回、〈加速〉にこだわり過ぎて、無駄に死にすぎたという経験がある。
まだ〈体術〉を選んで、5回しか戦っていないが、別のスキルを選ぶことにする。
感触としては、より〈体術〉を極めればもっと戦えるだろうと思っているが、別のスキルを試してみて、手応えがなければ、再び〈体術〉に戻ったっていい。
「その前に、まずはお前からだな」
最初の鎧ノ大熊に目を向ける。
もう何度もこの鎧ノ大熊を見ているせいか、妙に親近感がわいてくる。
まずは、こいつから逃げるところだ。
「さて、着いたはいいが、次はなにを選ぶべきか」
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以下のスキルから、獲得したいスキルを『1つ』選択してください。
Sランク
〈アイテムボックス〉〈回復力強化〉〈魔力回復力強化〉〈詠唱短縮〉〈加速〉〈隠密〉
Aランク
〈治癒魔術〉〈結界魔術〉〈火系統魔術〉〈水系統魔術〉〈風系統魔術〉〈土系統魔術〉〈錬金術〉〈使役魔術〉〈記憶力強化〉
Bランク
〈剣術〉〈弓術〉〈斧術〉〈槍術〉〈盾術〉〈体術〉〈ステータス偽装〉
Cランク
〈身体強化〉〈気配察知〉〈魔力生成〉〈火耐性〉〈水耐性〉〈風耐性〉〈土耐性〉〈毒耐性〉〈麻痺耐性〉〈呪い耐性〉
Dランク
〈鑑定〉〈挑発〉〈筋力強化〉〈耐久力強化〉〈敏捷強化〉〈体力強化〉〈視力強化〉〈聴覚強化〉
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「まぁ、順当にいけばCランクの〈身体強化〉か」
ということで選んでみる。
ついでに、スキルの説明を閲覧することにする。
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スキル:身体強化Lv1
身体能力を全体的に強化する。
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想像通りの文章が書いてあるな。
〈体術〉でも、身体能力を強化してくれる効果があったはずだが、具体的な違いまではわからない。
「「グォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」」
見ると、すでに鎧ノ大熊たちに囲まれていた。
ひとまず、やれるだけやってみようか。
そしたら、この〈身体強化〉ってスキルが有効なスキルなのかわかるようになるかもしれない。
そう決意した、5秒後――撲殺により死亡した。





