―15― さらなる奥地へ……
鎧ノ大熊は全員倒れたが、密室に出口が出現することはなかった。
よく観察すると、気絶しただけでまだ死んでいない鎧ノ大熊が残っていた。
どうやら、ちゃんと殺さないと、この部屋からは出られないようだ。
なので、戦闘中に欠けたのか、落ちていた鎧ノ大熊の牙を拾う。
その牙を使って、まだ死んでいない鎧ノ大熊のとどめを刺していった。
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魔物の討伐を確認しました。
スキルポイントを獲得しました。
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なるほど、俺自身がとどめを刺せば、スキルポイントはもらえるらしい。
3体ほど、まだ息があった鎧ノ大熊がいたので、順々にとどめを刺していく。
すると、大きな地響きが鳴ったので見てみると、出口が出現していた。
これでやっとこの部屋から出られるようだ。
ちなに、スキルポイントはいくつになったんだ?
気になったので、ステータス画面を表示させた。
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所持スキルポイント:16
〈挑発Lv1〉
レベルアップに必要な残りスキルポイント:10
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一応、〈挑発〉のレベルを2にできるようだ。
だが、〈挑発〉のレベルをあげるメリットがよくわからないな。
まぁ、慌ててあげる必要もないし、レベル上げに関しては保留でいいだろう。
「あと、お腹が空いたな」
お腹をさすりながら、そんなことを思う。
一般的には、冒険者がダンジョンに入るときは、食料を持参するものだ。
だが、罰としてダンジョン奥地に追放された俺に食料なんか持たされるはずがない。
「これから、さらに移動することを考えると食事はとっておきたい」
あとは水分も補給もしなくてはいけない。
当てがないわけではない。
目の前には鎧ノ大熊の死体が。
肉を食えば腹は満たせるし、血を飲めば喉は潤せる。
魔物の肉そのものは、よく市場に出回っているので食べたことはあるんだが、火なんて用意してない現状、生で食べることになる。
流石に、生で食べるのは精神的にキツいな。
「とはいえ、食べないわけにもいかないか」
ということで鎧ノ大熊の牙を使って、どうにか解体しようとする。
肉が硬すぎるため、非常に時間がかった。
それでも、なんとか食べれるほどの大きさにする。
そして、噛み千切った。
「まずっ」
血の味がした。
あと、獣臭かった。
せめて火を使えれば、もっとマシなもんを食えたんだろうな。
◆
食事を済ませた後、後で食べる機会があるかもしれないということで解体したお肉をいくつか腰にぶら下げることにした。
そして、宝箱のある部屋から一歩外へ踏み出した。
部屋の外もダンジョンの通路が広がっていた。
迷路のように道がいくつか分岐しており、正直どっちに行けばいいのか見当もつかない。
「そもそも、俺ってダンジョンのどの辺りにいるんだろうな……」
奥地に飛ばされたってことしかわからない。
【カタロフダンジョン】はS級ダンジョンとして名高く誰にも攻略されたことがないため、最下層がどこにあるのか、わかっていない。
「ダンジョンを脱出するには、出口を目指すより、入口を目指したほうがいいよな」
ダンジョンは出口に行けば行くほど、出現する魔物が強くなっていく。
ならば、入り口に向かうほど、生存率はあがるわけだ。
「問題はどっちにいけば、入口に近づくのか見当もつかないってことだよな」
まぁ、場当たり的に進むしかないんだろうな。
そう思いながら、俺はダンジョン内を進んでいった。
第一章 ―完―