表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/176

―11― 討伐を確認しました

「「グォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」」

「うるさいな」


 鎧ノ大熊(バグベア)たちの雄叫びに対し、そう独りごちる。

 毎回この雄叫びを聞かされるせいで、正直聞き飽きてしまった。


〈筋力強化〉を選んだ初めての戦闘。

 試行回数は345回目とかかな?

 正直、なんとなくでしか数えてないので、実際の回数とはズレているに違いない。


 まずはしゃがんで、攻撃を回避する。

 それから俺は鎧ノ大熊(バグベア)たち猛攻を避け続ける。

 スキルによる敏捷の強化がないせいで、いつもより体は重たく感じる。

 それでも全く戦えないかっていうと、そうでもない。

 動きを読んで、それに合わせてからだを動かす。

 それがギリギリな回避だとしても、当たらなければ同じだ。


 そして、鎧ノ大熊(バグベア)の大ぶりの攻撃を寸前でかわした俺は、拳を鎧ノ大熊(バグベア)のお腹に叩き込む。

 ドンッ、と大きな音がなる。


「うん、いつもより手応えがある」


〈体術〉や〈身体強化〉で強化された筋力を10だと仮定すると、〈筋力強化〉で得た筋力は12ぐらいだろうか。

 たかが1.2倍だと思われるかもしれないが、十分大きな差だ。


 選ぶべきスキルが決まったな。

 俺は〈筋力強化〉で、この部屋を脱出する。





 試行回数、およそ360回目。


 俺は迷いなく〈筋力強化〉を選ぶ。


「「グォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!」」


 いつもの雄叫び。

 何度も見た光景。

 この部屋で俺は何度も死んでいる。

 それでも、俺は復讐のために、何度も挑み続ける。


 10体の鎧ノ大熊(バグベア)に囲われている。

 何度も見ているせいか、個体ごとにわずかに顔の形が違うことに気がつく。今なら、鎧ノ大熊(バグベア)ごと識別することも可能だ。

 だから、A、B、C……と単純なものだが、名前もつけてやった。

 具体的な名前はあえてつけない。

 だって、殺す対象にペットのような名前をつけるのはおかしいだろ。


 最初は、鎧ノ大熊(バグベア)Aと鎧ノ大熊(バグベア)Bが、俺に左右から挟むように突撃してくる。

 ギリギリまで引きつけて、直前に横にステップする。

 すると、目の前に鎧ノ大熊(バグベア)Aの顔がやってくる。

 それを全力で殴る。


「ガウッ!」


 鎧ノ大熊(バグベア)Aが呻き声をあげながら、後ろによろめく。

 とはいえ、気にしている余裕はない。

 0.5秒後、鎧ノ大熊(バグベア)Bが後ろから切り裂こうと攻撃してくるから、前へステップ。

 そのステップの勢い利用して、鎧ノ大熊(バグベア)Aにさらに追い打ちをかけるように攻撃。


 0.2秒後、鎧ノ大熊(バグベア)Cが横から攻撃してくる。

 これはしゃがめば回避できる。

 そして、しゃがんだと同時に、体を捻るように跳び、そのまま鎧ノ大熊(バグベア)Aに対して、跳び蹴りを与える。

 そして、跳び蹴りをした瞬間、真後ろから鎧ノ大熊(バグベア)Dが攻撃してくるから、ちょうどいいタイミングで体を真後ろにひねれば、鎧ノ大熊(バグベア)Dが伸ばした腕の上に、逆さ立ちができる。

 間髪入れずに、その状態から、鎧ノ大熊(バグベア)Dの頭に着地して、その頭を強く蹴り上げて、前方に突撃からの――かかと落とし!


「ガゥッ!!」


 狙ったのは、鎧ノ大熊(バグベア)A。

 頭を強く強打された鎧ノ大熊(バグベア)Aはその場でよろめく。

 あと、もう一押しで倒せる。

 確か、鎧ノ大熊(バグベア)Bと鎧ノ大熊(バグベア)Dが攻撃してくるから、しゃがんでからの、鎧ノ大熊(バグベア)Aの鳩尾を狙って強打。


 血――。

 拳から赤い鮮血が宙を舞っていた。

 それが視界にはいる同時、鎧ノ大熊(バグベア)Aの体は浮き上がって壁に激突する。

 まだだ。


 さらに、もう一度、跳んで、顔面に拳を叩きつける。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 魔物の討伐を確認しました。

 スキルポイントを獲得しました。


 △△△△△△△△△△△△△△△


「よっしゃぁあああああああああ!!」


 聞いたことがあった。

 モンスターを倒すと、スキルポイントというものを獲得できるということに。

 そう、俺は初めて鎧ノ大熊(バグベア)の討伐に成功したのだ。思わず、歓喜を声を震わせるは当然だった。


 てか、スキルポイントってなにに使うんだ。

 名前は知っていたが、なにに使うかまでは知らない。

 それを調べようと、慌ててステータス画面を開く。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 所持スキルポイント:12


〈筋力強化Lv1〉

 レベルアップに必要な残りスキルポイント:10


 △△△△△△△△△△△△△△△


「そうか、レベルアップできるのか」


 迷う余地なんてない。

 間髪入れずに、〈筋力強化〉へレベルアップに必要なスキルポイントを割り振る。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 スキルポイントが使用されました。

 レベルアップに必要な条件を達成しました。

 スキル〈筋力強化〉はレベルアップしました。

 筋力強化Lv1 ▶ 筋力強化Lv2


 △△△△△△△△△△△△△△△


 瞬間、体に力が漲ってくる。

 どうやら、無事〈筋力強化〉はLv2へと進化を遂げたらしい。


「くははっ、なるほど、一体だけでも倒せれば、レベルアップできるのか」


 そのことに気がついた俺は、思わず笑みをこぼしていた。

 魔物を一体倒せたというからだろうか。

 さっきから、俺の心は高揚感で満たされいた。

 悪くない気分だ。


「いいか、ここからが反撃の時間だ。何回死んででも、お前ら全員殺す……っ!」


 言葉のわからない鎧ノ大熊(バグベア)に対して、俺はそう宣戦布告していた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍発売中!
画像をクリックすれば特設サイトに飛びます!


画像
― 新着の感想 ―
暇やなw
[一言] 目新しさ皆無。
[気になる点] セーブしろよ
2021/11/27 17:07 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ