かつての話
かつての話をしてあげよう。私ことオマン・
コゥ、齢四十を過ぎた頃の話だ。当時、私こと
オマン・コゥは「薬師」として活動していた。
鬱蒼と茂る竹林の傍に家を構え、時たま地域の
村々に薬を売って生計を立てていたのだ。
故に、当時は「薬師様」などと敬われたもの
だった。
とある時である。村の酒場にていつものよう
に酒を飲んでいた時のことだ。その日は特別な
ことが起きたのだった。当時のその日、私こと
オマン・コゥは何か特筆すべき何かをした覚え
はない。
ただいつものように酒を飲み、そしてただい
つものように興が乗って魔術を使い芸を披露し
ただけのことだ。特筆すべきことではないが相
違ある点を一つ上げるとするならば、当時のそ
の日、酒場にはいつもはいない子供が一人いた
だけの話。
ただ、その子供が私の芸を見てこう言ったの
だ。
すっげぇええ!!と。瞳を大層キラキラとさ
せていた。そしてさらには真摯な瞳でこう叫ん
だのだ。
頼むッ、俺を弟子にしてくださいッと。
私はポカンとした
「……は?」
私はただ股間と乳首のあたりから水系の魔術
を出してみせただけだというに。