雪降る月夜にドブネズミ
これは俺と少女の物語。儚げで優しく、健気で繊細な、胸がツルペッタンコで顔立ちの整っていない不幸な少女と、それを見守る勇敢な俺の物語だ。
それはまるで、雪山で遭難した小屋の中にたった一本だけ置かれていた芯の無い蝋燭や、火災現場で鍵の壊れた室内に取り残される様な、無価値な物語。
世話焼きな七人の小人も、池の中で木こりが落とす斧を待ち続けているバカな女神も、少女に微笑んではくれない。だから俺は、それでも俺は、少女の幸せを願い、探し続ける。
もしそれが鼻で笑われるような下らない平凡だとしても、盤石の平和を築く異世界に転生した男子高校生だとか、ツインテールの似合わない魔法少女を描く平凡な筋書きが待っていようとも、俺と少女には、声が嗄れる程の懇願を続け、血反吐を吹き散らしながら追い求める奇跡に近い。
最後に待つのは平凡か不幸か、ガラス片が散らばる道で素足か靴か、選択肢は少ない。それでもやはり、願い続ける他に選択は無い。
これは、俺と少女の物語。美しく華麗な少女と、無知で臆病な俺の物語。目を背けたくなる残酷な奇跡。そんな矛盾を生み出しているのかもしれない。
それはまるで、雪山で遭難した小屋の中にたった一本だけ置かれていた芯の無い蝋燭や、火災現場で鍵の壊れた室内に取り残される様な、無価値な物語。
世話焼きな七人の小人も、池の中で木こりが落とす斧を待ち続けているバカな女神も、少女に微笑んではくれない。だから俺は、それでも俺は、少女の幸せを願い、探し続ける。
もしそれが鼻で笑われるような下らない平凡だとしても、盤石の平和を築く異世界に転生した男子高校生だとか、ツインテールの似合わない魔法少女を描く平凡な筋書きが待っていようとも、俺と少女には、声が嗄れる程の懇願を続け、血反吐を吹き散らしながら追い求める奇跡に近い。
最後に待つのは平凡か不幸か、ガラス片が散らばる道で素足か靴か、選択肢は少ない。それでもやはり、願い続ける他に選択は無い。
これは、俺と少女の物語。美しく華麗な少女と、無知で臆病な俺の物語。目を背けたくなる残酷な奇跡。そんな矛盾を生み出しているのかもしれない。
第1章
第1話 不細工な少女に訪れた唯一の奇跡、と言えるのは
2018/02/24 02:23
第2話 コオロギの死骸よりは幾分も美味い
2018/02/24 02:27
(改)
性欲に任せた交わりを目前にした罪悪感
2018/02/24 05:43
丸眼鏡と鼻髭が知的に見える稀有な男
2018/02/24 05:47
第2章
猫に追い詰められた排水溝の行き止まり
2018/02/24 05:50
靴が汚いと友人に笑われる子持ち旦那
2018/02/24 05:56
(改)
俺の心臓はノミほどに小さくなったかもしれない
2018/02/24 06:47
(改)
殴られ続けても母親に頼りる幼児
2018/02/24 08:46
(改)
醜い死体に唾を吐きかけ
2018/02/24 23:58
あぁ、くそったれ
2018/02/25 00:04
(改)
第3章
馬にアヤトリを教えるほど
2018/02/25 05:13
食肉用競走馬だとか
2018/02/25 05:50
パイナップルの香りがするスカンクの放屁
2018/02/25 06:25
寝起きがてらに本意気で賛美歌すら歌える
2018/02/25 09:08
夜に浮かぶ月が帰り仕度を始めても
2018/02/25 20:46
(改)
病気で死んだ蝿よりも
2018/02/26 05:23
(改)
吹雪く真夜中の海岸で孤独を味わう様な
2018/02/26 06:11
(改)
無意味な謝罪も、偽りの励ましも
2018/02/26 19:25
第4章
自分で死ぬには、臆病者なんだ
2018/02/27 03:03
例えば前歯の欠けたドブネズミを二匹並べたからって
2018/02/27 05:39
蝶に擬態する蛾のようなモノ
2018/02/27 06:13
まるでドブネズミとハムスターの対比
2018/02/28 05:54
(改)
私がただのお姫様なら、あなたは大国の王子様ね
2018/03/02 05:51
(改)
童話の世界に浸る幸せな空想など
2018/03/03 05:44
(改)
泥溜まりで延命の雨を願う稚魚
2018/03/03 06:18
(改)
初めて、言葉が通じ合った気がしたんだ
2018/03/03 23:38
(改)
最終章
リスはドブネズミより下品
2018/03/04 06:00
(改)
真実味を帯びた矛盾
2018/03/05 06:00
読心術でも扱える奇跡のドブネズミ
2018/03/06 05:52
燃えさかる炎に舞い踊る羽虫
2018/03/07 05:31
着飾った幼女は、白色の舞台に見事と言えるほどに溶け込む
2018/03/08 06:00
雪降る月夜に
2018/03/09 05:38
最終話 少女に奇跡は起こらない
2018/03/10 05:41
(改)
第0章
プロローグ虚言癖のある奇跡
2018/03/10 05:50
語り部を失った会話劇
あるボロ小屋の中で、魔女と少女
2018/03/10 05:50
ある売春宿の一室。腹の肉が邪魔で屈めない男と華奢な女
2018/03/10 05:50
ある金貸し屋の事務所。肥えた男と華奢な女
2018/03/10 05:51
あるボロくは無い質素な部屋。肥えた男と破水した妊婦。そして魔女
2018/03/10 05:52
終章
エピローグ僕の頬に、キスをするんだ
2018/03/10 05:52