最終話 人として生きる
俺が人間なのか蝶なのかわからない姿で戸惑っているところに――
フィーナがやってきた。
「うわああああ! 何者ですか! 蝶の格好した変質者ですか!?」
そうか、俺、裸なんだな……。
「落ち着け! 俺だよ、俺!」
「なんですか! 俺俺詐欺ですか!」
そんな詐欺、この世界にもあるんだ……。
「グレゴールだ!」
その言葉にフィーナは、はっとした。
「本当なんですね……? グレゴールなんですね!?」
「今日、さなぎからこの姿になった。俺が眠ってからどれぐらい時間が経った?」
「3ヶ月ですよ」
「そっか、待たせちゃったな」
俺は自然とフィーナを抱き締めていた。
前の体だとできなかったからな。
「もう、服着てからにしてくださいよ。変態ですか」
しまった、忘れていた……。
「まあ、ある意味、変態したんだけどな」
ぷっ。フィーナが笑った。
「そうですね、かっこいい変態さんです」
「かっこよくなくて、よかった」
「でも、その翅、あまり似合わないからいらないですね」
俺の存在意義、全否定された気がする……。
◇
一月後。
俺たちは結婚した。
俺は服を着てモンスターであるということは隠している。
さすがにモンスターと結婚というのは外聞がよくないからな。
今はフィーナと冒険者をしている。
ステータスもかなり上がっているらしく、なかなか上手くやれている。
フィーナは新しいモンスターとしてドラゴンを育成している。
その日も朝から子供のドラゴンをしつけていた。
「まだ、グレゴールほどじゃないですけど、きっと強く育ててみせますよ」
「そうだな。お前の魔物使いとしての腕はそんなに悪くない」
「あっ、親不孝な発言ですね」
「俺はお前の子じゃなくて夫だ」
「それもそうですね」
見つめ合った俺たちはどちらからともなくキスをした。
これはキャタピラーの間だとできなかったことだ。
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