22話 全国魔物使い大会3
準々決勝もどんどん試合が進んだ。
まず、初戦は巨大なドラゴンがワイヴァーンを倒した。
体のサイズがひとまわり違うから、ワイヴァーンじゃどうしようもなかった。
その次もドラゴンが勝ち残り。
つまり、決勝まで行けばドラゴンと戦うのは確定したらしい。
俺が勝った場合、戦うことになる相手はロック鳥と決まった。
鳥だけど、巨体で敵を圧倒するという点ではドラゴンと大差ない。その体で中規模サイズのドラゴンを空中戦で打ち落して勝利した。
結局、同じようなのが上位に来るってことか。
さて、俺の番だ。
準決勝に進むための最後の4席目をもらいに行く。
「いいですか、グレゴール、作戦を伝えておきます」
フィーナが俺にぼそぼそとつぶやく。
「ここから先、敵は全部空を飛ぶ相手です。その対策を考えておかないと勝てませんからね」
キャタピラーの弱点、それは空を飛べないことだ。
フィーナの考えた作戦は悪いものじゃなかった。
よし、それでいこう。
イフリートのほうはこっちがキャタピラーでラッキーと思ってるな。
もう、顔を見ればわかる。
そんな甘いものじゃないってわからせてやる。
試合開始。
俺は猛然とイフリートに突っこむ。
イフリートはそれぐらいちょっと空中浮遊すればいいだけだと、ふわっと浮く。
よし、中途半端に飛び上がったな。
俺はジャンプする。
勢いをつければ、それができることは経験済みだ。
そのままイフリートに直撃する。
イフリートごと地面に落下。
俺のほうはイフリートがクッションになっている。
一方、イフリートはもう気絶していた。
この勝負、俺の勝ちだ。
ベスト4までは来た。
「さすが私の作戦ですね!」
フィーナが胸を張る。
これに関してはフィーナを本当に褒めるしかないな。
先手必勝の策が見事にあたった。
次はロック鳥か。
キャタピラーで勝つとなると、また何か策がいるな。
ちょっと考えておこう。
準決勝まで昼食時間をはさんだ、1時間の休憩が与えられた。
といっても、こんな時にメシを食う気はしないから、観客用の昼食時間だ。
その間、俺とフィーナは二人で話し合う。
「どうやって戦うのがいい?」
「相手は絶対に空を飛んで、上から狙ってきますよね。それに対抗できないと負けです」
「鳥か……。ある意味、キャタピラー最大の天敵だぞ……」
「何か打つ手はあるはずですよ。う~ん……グレゴールが空を飛んでくれれば楽なんですけどね……」
「飛べるわけねえだろ」
ジャンプはできるが、それだけだ。
じわじわと残り時間が減っていく。
もうすぐ準決勝がはじまってしまう。
しかし、やはりこういう時は集中力が強くなるらしい。
「いい方法を思いついた」
俺はそれをフィーナに話す。
「なるほど、反則ではありませんから、ルール上はアリですね」
「そうだろ。これで勝つぞ」
準決勝一試合目は体の大きいほうのドラゴンが相手ドラゴンを撃破した。
国一つ滅ぼせそうなサイズの奴だ。
決勝ではアレと当たるのか。
おそらく、ロック鳥と戦うことを考えてるだろうな。
でも、そこまでいくのは俺だ。
試合開始。
まず、ロック鳥は一気に空高く上がっていく。
一方、フィーナはすぐに魔法を使う。
つむじ風がまず起こる。
竜巻の魔法だ。
会場がざわつく。敵モンスターを攻撃したら反則負けだからだ。
でも、大丈夫なんだよ。
俺に使うだけだから。
竜巻を食らった俺はそのまま舞い上がり――
ロック鳥のほうに飛んでいく。
そのまま空中で喰らいつく。
巨体の俺にかじりつかれて、飛んでいられるわけがない。
そのまま、勢いよく地面に落下。
ロック鳥が抵抗するが、そんなの知ったことか。
ロック鳥の魔物使いがやむなく負けを認めた。
これで俺が決勝進出だ。
さあ、ドラゴンとの勝負だな。