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20話 全国魔物使い大会

 全国魔物使い大会。

 魔物使いたちの最大の祭典だ。

 ここで優勝することが魔物使いとして一番の栄誉になる。

 もちろん、誰もが気合いを入れてのぞむ。

 モンスター選びもそのコンディションも気をつかうし、命令内容の徹底も確認する。


 しかも今年はこのナンヴァー王国で大会が行われる。

 各地からじわじわと魔物使いが集まってくるのがわかる。

 なお、俺たちはレベルが高位ということをギルドに申請して、地方大会の予選を免除してもらった。


 だが、その中で俺たちは――

 けっこうだらだらしていた。


 いや、働いてはいたぞ。

「森の泉のおいしい水」を運んでいた。

 だが、フィーナ一人ぐらいだと一生遊んで暮らせるぐらいの金が入ってしまったので、フィーナがリッチな生活を送りすぎていた。


「魔物使い大会? それより屋敷の専属料理人をどこから雇うかを決めたいんですけど」

「お前、目が腐ってるぞ」

 儲けさせすぎた。金が少女の心を濁らせてしまったのだ……。


「だって、お金を見ると楽しいんですもん。金貨と銀貨のプールで泳ぐと最高に気持ちいいですよ」

 ヤバい。お風呂に札束入れる人と同じ発想だ……。


「でも、それも今日で一度中断です」

 急にフィーナの目がきりりとしたものに変わる。


「いいですか、今日から大会まで特訓です。とくに対ドラゴン戦の練習を徹底的にします!」

「なんだ、目標は忘れてなかったんだな」

「当たり前じゃないですか。大会優勝こそ私の悲願ですよ!」


 こうして、俺とフィーナは大会に向けて本気の特訓を続けた。


 そして、大会初日。

 王都の巨大円形競技場で2試合が同時に行われる。

 初日は64組が登場するので当然と言えば当然か。


 本日中にベスト16を決めて、残りは翌日にまわす。


 なお、ルールとしては下記のとおり。


・魔物使い自体が相手や相手の使うモンスターを武器や魔法で攻撃することは禁止。


・魔物使いは自分のモンスターに対する命令および自分のモンスターへの魔法や特技を使用していい。ただし体力を回復させるものは試合が長引くので禁止。


・どちらかのモンスターが戦闘不能になった場合、魔物使いが負けを認めた場合、いずれかのモンスターが死ぬ恐れがあると審判が判断した場合、試合終了とする。


・10分で勝負がまったくつかない場合は審判員5名の多数決により勝者を決める。


・もし対戦中に偶然魔物使いが負傷し、意識を失った場合はその魔物使いの失格とする。


・2試合同時に試合を行っている場合、対戦相手でないモンスターの攻撃を受けても、それは有効とみなすので、気をつけて戦うように。


 比較的、わかりやすいルールだと思う。

 制限時間はあるが、そこまでもつれることはまずないらしい。モンスター同士で戦えば長引くことは稀なのだ。


 さて、やるか。

 体調は悪くない。絶対に優勝してやる。


 一回戦は真ん中ぐらいだ。

 それまでは観客席で試合を見ていていい。


 大きな祭典だけあって観客で席は埋まっている。

 とはいえ、自分も参加者だから歓声を聞く余裕はあまりなかった。


「大半は俺たちより劣ってるのがわかるな」

「こっちのレベルは相当高いですからね」

 大会出場のめやすはLv20を超えていること。

 くじ運もあるが、それぐらい強ければ魔物使いとしてはやっていける。


 もっとも、どのモンスターを選ぶかで結果も大きく左右されるから、なんとも言えない部分もある。


 そして、いよいよ俺たちの番がまわってきた。

 数試合前になると、俺たちは参加者待機場所に移動する。


 対戦相手が向こう側から出てくる。

 体長3メートルぐらいある巨大なグレイ・ベアーか。

 なかなか凶暴なクマさんだ。


 魔物使いのおっちゃんのほうはこっちが弱そうだからラッキーだという顔をしていた。


 じゃあ、ラッキーかどうか確かめてもらおう。


 試合開始を告げるラッパの音が響く。


「行きなさい! グレゴール!」

 フィーナの命令を受けて、俺は前に進む。


 そして、クマと対峙。


 すぐに自分の尾の側をムチみたいに振るう。


 クマが吹き飛ぶ。

 さらに速度を上げてぶつかって、吹き飛ばす。


 クマはそのあたりで意識を失った。


 一試合目はあっさりと終わった。

 せいぜいLv23ってところだな。悪いけど、格が違うよ。


「見事な私の指示でしたね!」

 にんまりとフィーナはご満悦の表情だ。


 いや、お前、行けって言っただけだぞ……。

明日も余裕あれば一日二回更新したいと思います!

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