1. 体育祭 プロローグ
(体育祭らしく運動会のBGM)
≪雅≫
「――と、言う事で、今日はみなさんが待ちにまった、運動会…ではなかったわ。ふふふ。高校生なので体育祭の日ですね。学年やクラス関係なく、チーム団結して、ほどほどにがんばりましょ―。」
≪タカシ≫
「雅先生、体育祭の開会宣言で「ほどほど」って、やる気なくなるなぁ。」
≪伽音きゃおん≫
「ははははは(愛想笑い)
まぁ、雅先生らしい、朗らかな一言だったわね。こんな照りつけるような日差しを吹き飛ばしてくれる、独特の癒し効果があるから不思議だわ。」
≪タカシ≫
「なんだか「体育祭が始まった」って感じがしない宣言だと思うのだが。」
≪雅≫
「ほらほら~、そこ―。
みんな次の種目へ移動しているわよ。早くしないと置いていかれるわよ」
≪タカシ≫「あ、雅先生。」
≪伽音・タカシ≫「はーい」
≪雅≫
「あぁ、そうだわ。(遠くから呼びかけるように)タカシくーん。先生、今日はずっーと保険室で、冷たい麦茶とお菓子を用意して待っているから、いつでも遊びにきてもいいわよ―。先生と2人っきりでのんびりしましょうー」
≪タカシ≫
「(手を振り返しながら)はーい。今日のお菓子ってなんだろうな。」
≪伽音≫
「むむっ。今日はサボっちゃ駄目だからね。いっつも、私が目を離した瞬間、保健室に用もないのに遊びに行っちゃうんだから。今日みたいなクラスのイベントくらい、…(小声)私とずっと一緒にいてくれてもいいじゃない。」
≪タカシ≫「え、何、伽音何か言った?」
≪伽音≫「わ、わたしはっ、あなたと…」
≪奇瑠美≫「(ポップ・ステップ・ジャンプしながら)タ・カ・シくーん。(背中に抱きつく)」
≪タカシ≫「おっと。奇瑠美先輩?あれ、先輩、その格好はチアガールですか。」
≪奇瑠美≫
「そうよーん。今日は体育祭のマドンナ、チアガールになってタカシ君を応援してあ・げ・る。」
≪タカシ≫
「ありがたいけど、奇瑠美先輩とは敵チームなんだけどなぁ。」
≪伽音≫「私の決死の告白が…うぅぅ(涙)」
≪奇瑠美≫
「タカシ君は何の競技に出場するの?リレー?借り物競走?
借り物競走で『すきなもの』がでたら、すぐに私のところに走ってくるのよーん。別のところに行ったら、全校生徒の前でタカシ君もチアガール衣装にチェンジ☆だからね。」
≪タカシ≫
「そんな末恐ろしい事言わないでください。先輩が言うと、本当に実現されそうで。オレは基本的に応援席で応援係ですね。運動とか、ほんと面倒なので。
あ、この伽音は出る種目多いですよ。リレーや借り物競走もでるよな。」
≪伽音≫
「うん。そうね。人数が足りなくてクラスの子に頼まれちゃって、なかなか断れなくて。
あ!(思いついたように)あとは、タカシと二人三脚にでるわ。ねー。タカシ。」
≪奇瑠美≫「に…ににんざんぎゃぐっ。」
≪タカシ≫
「面倒だなー。午後からの競技だから、途中で雨が降れば良いのにな。」
≪雅≫
「ほら、そこの人たちー。自分のクラスの陣地にはやく戻らなきゃだめよぉ。」
≪奇瑠美≫「きーっ(ハンカチをかみしめながら)覚えときなさいっ。」
≪タカシ≫「先輩、行っちゃった。あの人は何しに来たのだろう。」
≪伽音≫「…勝った。」
≪伽音≫
「私と体育祭を楽しんでくれるそこのアナタ、『体育祭 伽音ルート』へ向かってください。」
≪奇瑠美≫
「華麗な奇瑠美様のルートを聞きたい愚民共は『体育祭 奇留美ルート』へお行きなさーい。」
≪雅≫
「体育祭を先生とのんびり過ごしたい子は『体育祭 雅ルート』に来てね。」