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銀風高校恋物語  作者: 助三郎
シナリオ本編
13/19

3. 卒業式 伽音ルート

伽音(きゃおん)

「タカシー。おーい。

 どこいっちゃたのかしら。いつも先に帰る時は一言声をかけてくれるのに。卒業式だったのが堪えたかな。奇瑠美(きるみ)先輩も雅先生も卒業とかでいなくなっちゃうし。落ち込んでいるとしたら、多分あそこにいるかも。

 …やっぱり。タカシ、みーつけた。」


(錆びついたブランコが揺れる音)

≪タカシ≫

「あ、伽音(きゃおん)。良くここにいるって判ったな。」

≪伽音≫ 

「タカシってさ、何かしら落ち込む事があると、いつも公園のブランコにいるよね。昔から何にも変わらないんだから。」


≪タカシ≫

「なんで知って…あぁ、やっぱり小さい時に一緒にいたあの女の子は、伽音だったんだね。なんか似ているなーって思っていたんだ。」

≪伽音≫

「ふふふ。嘘。すっかり忘れていたんじゃないの?私はすぐにタカシの事わかったよ。」

≪タカシ≫

「だったら一言教えてくれれば良いのにー。

 オレがクラスに転入した時、お前、すっごいツンケンして怖かったじゃん。いつぞやの体育の時間には、剛速球をオレの顔面に向けて投げてくれたし。」

≪伽音≫

「だって。タカシが全く私の事覚えてないのだもの。しかも「はじめまして」って言うんだから、超ムカついたわよ。」

≪タカシ≫

「ははは、ごめん。今思い出しました。幼馴染の伽音さん。」

≪伽音≫

「全くもう。遅いんだから。

 それで?ここに一人でブラブラしているってことは、やっぱり何か考え事でしょ。奇瑠美先輩や雅先生がいなくなるのが、そんなに寂しいの?」


≪タカシ≫

「伽音ってもしかしてエスパー?よくオレが考えている事わかるなー。」

≪伽音≫

「それはっ、た、タカシの事だから、さ。」


≪タカシ≫

「寂しい…か。うん。そうだな。2人がいなくなるのはやっぱり寂しいよ。奇瑠美先輩は強引で無茶苦茶だけどカッコいいところがあったし、雅先生は優しくて大人で、お菓子もおいしかったし。いつもみんなで騒いでいるのが楽しかったなー。もう来年度からは、それがないんだなーって思うと、寂しいよ。」



≪伽音≫

「ねぇ、もし、私がいなくなっても寂しい?」

≪タカシ≫「伽音?」

≪伽音≫「んーん。何でもない。ほら、早く帰ろう。」

≪タカシ≫「ねぇ、伽音」

≪伽音≫

 「なーに?あっ、まったくー。カバンをこんなところに放り投げて。砂だらけになって使えなくなっちゃうぞ。」

≪タカシ≫「きゃーおーん」

≪伽音≫「だから何…っう」


≪タカシ≫

「やっぱり。さっきから伽音、オレと目をあわせてくれないよね。こういう時の伽音って言いたい事があるけど言えなくて、言葉を飲み込んじゃった時によくやっていたよなー。昔からある伽音の悪い癖だ。まだ直ってなかったんだな。」


≪伽音≫

「うぅぅ…顔近づけすぎなんだけど。頬っぺたも手で挟まないのー」

≪タカシ≫

「あははは。変な顔。おまんじゅうみたい。」

≪伽音≫「おっおまんじゅうですって、ムキー。」

≪タカシ≫

「いててて。ひっかくなって。冗談だってば。

 ほら、言いたい事があるならはっきり言えよ。オレは伽音がいなくなったとしても、もちろん寂しいよ。」


≪伽音≫「んーもー。タカシのばかっ」

≪タカシ≫「え、いきなりっ?」


≪伽音≫

「タカシのばか、ばか、ばかっ。なんで私の気持ちを解ってくれないのよ。「―も」じゃ意味ないの!

 私がいつも貴方の隣にいるでしょ。ちっちゃい時から、(こそっと)途中、離れ離れになっちゃったけど。今は同じクラスだし、席も隣だし。帰る時間だって、いつも一緒にいるんだからね。

 だから、私の目の前で、他の女の子の事で落ち込まないでよ。私は貴方を置いていなくなるなんて事はしないよ。

 貴方と一緒に来年の卒業式に出るんだからね。そして、貴方の第一ボタンをもらうんだもん。もう予約したからね。他の子にあげないでよ。それに、」


≪タカシ≫「はいはい。それに?」


≪伽音≫

「それに…ね。(段々照れていく)大学も一緒に通って、結婚して貴方のお嫁さんになって、いってきますのチューをして、子供は2人で…って、何を言わせんのよ。(背中を叩く)もー。恥ずかしい。」


≪タカシ≫

「っつーーたたた。し、しっかりした人生設計をお持ちで。」


≪伽音≫

「ごめん。つい強く叩いちゃった。大丈夫?

 …ぷふふふ。やっぱりタカシの前だと何でも言えちゃう。心のもやもやが、スッキリするわ。

 でもね。本当に、将来はそうなったら良いなーって思っているの。貴方とずっと一緒にいられたらどんなに幸せだろうって。だから、ね。お願い。私とお付き合いして欲しいな。


 貴方の事を、ちっちゃい頃から今も、これからだって。ずーっと、ダイスキだよ。だから、これからも一緒にいてくれるよね。キスしてくれるよね?」



≪卒業式 伽音ルート おわり≫

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