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銀風高校恋物語  作者: 助三郎
シナリオ本編
12/19

3. 卒業式 雅ルート

≪タカシ≫

「はぁぁぁ~。今日はついてないな。

 いつもより少し早く帰れる卒業式の日っていうのに、日直とかありえないよな。職員室に書き上げた日誌を届けにいかなきゃいけないのが面倒臭いし。

 あれ、職員室の前にいるのは、雅先生。珍しいな、先生が保健室以外にいるのって。みやびせんせ…(段々小さく)」



≪雅≫

「(遠めに)えぇ、そうです。ふふふふ。」



≪タカシ≫

「誰だ。あの先生の隣に居る男。この学校の教師じゃないよな。」



≪雅≫「えぇ。来年度からは宜しくお願いしますね。」


≪タカシ≫

「えっ。「宜しく」だって? そう言えば前に伽音(きゃおん)奇瑠美(きるみ)先輩が、雅先生が結婚して退職するって言っていたな。まさか。相手はあの人…。

 …雅先生、笑っている。相手の男も背は高いし、スーツも似合っている…なんか大人の二人って感じだな。」


≪雅≫

「ふふふ、えぇ、そうですわ。…あら、タカシくん。こんにちは。日直?」

≪タカシ≫「あぁ…先生。はい。」

≪雅≫

「あらあら。今日は元気がないわねぇ。どうしたの。体調悪いのかしら。」

≪タカシ≫

「いや。別に、何もないです。オレ、急がないと。失礼します。」

≪雅≫

「え、タカシくん。…行っちゃった。」



≪タカシ≫

「っつ、クソっ。ついてねぇ」



(保健室の戸を開けた音)

≪雅≫

「まぁまぁまぁ。やっぱり来ていたのね。タカシくんは保健室のベッドが好きなのね~。

 …って、寝ているのかしら。ふふふ。目の周り、ちょっと赤いわ。不貞寝でもしちゃったのかしら。」


≪タカシ≫

「う、うーん。あれ、みや…雅先生。」

≪雅≫「はい。呼んだかしら」


≪タカシ≫

「うわ、すいません。オレ、なんかいろいろ考え事していたら、眠っちゃって。オレ、帰ります。」


≪雅≫

「あら、外はもう暗くなっちゃったし、先生がお家まで送るわよ。

 だから、良かったらもう少しお話しましょう。」

≪タカシ≫「うぅ。はい」

≪雅≫

「うん、宜しい。それでは。タカシくん、何か私に聞きたい事があるって顔しているわね。何でも聞いて良いわよ。今日は特別に、何でも答えてあげるから―。

 ね。…ほら。先生はタカシくんのそんな寂しそうな顔見たくないなー。」


≪タカシ≫

「…先生は来年度になったらこの保健室から、この学校からいなくなっちゃうんですか。」

≪雅≫

「そうねー。保険の先生でここにいられるのは、今月までね。」

≪タカシ≫

「そんな…先生がいなくなっちゃうんだ…」


≪雅≫「タカシくん。私がいないと寂しい?」

≪タカシ≫「はい」

≪雅≫

「そうね。私も、タカシくんと別れるのは寂しいわ。 ねぇ、私たちが会った時を覚えているかしら。

 体育の時間にボールを顔面で受け止めた貴方がこの保健室に運ばれてきたのよ。ふふふ。鼻血出して顔じゅうを真っ赤かにして。しかも、詳しく聞くと女の子が投げたボールっていうじゃない。今思い出してみると、笑っちゃうわね。」


≪タカシ≫

「こっちは恥ずかしくて布団の中に潜り込みたいくらいです。」

≪雅≫

「まぁまぁ。はい、潜り込むのはストップね。あの後、タカシくんが目を覚まして、顔をリンゴみたいに真っ赤に染めて、大急ぎで教室に戻って行ったわよねー。ふふふ。可愛かったな。」


≪タカシ≫「その節は、いや、何度もお世話になりました。」

≪雅≫

「その後から、何回も保険室に顔を出してくれて、一緒にお茶して、お話して…本当に楽しかったな―」


≪タカシ≫

「あの、先生。先生は、その…結婚するって、本当ですか。…あ、相手はさっきの人ですか。」

≪雅≫「タカシくんは、どう思う?」


≪タカシ≫

「オレは…うーん。先生が決めたのなら仕方がないけど…おめでとうって言わなくてはいけないのは判っているけど、やっぱり…嫌かな。

 うん嫌だよ。オレ、スーツも似合わないし、背も先生より低いし、まだ子供だけど、もっと先生と一緒にいたいよ。」


≪雅≫

「うーん。点数にして、70点ってところかしらね。もう少ししっかりと言葉で伝えないと、女の子は振り向いてくれないぞ。…でも、今回は満点あげるわ。」


≪タカシ≫「雅先生?」


≪雅≫

「タカシくん、ちょっと勘違いしているわ。私、来年度から保健室にはいないけど、正式に教科担当の先生としてこの学校に勤務する事になったの。だから、学校からは出て行かないわ。それにもちろん、結婚もしないわよ。」


≪タカシ≫

「えぇっ、だって、職員室の前でスーツの男の人と楽しそうに話して…「よろしく」って、」


≪雅≫

「そうね。あの人がこれから私の代わりにこの学校の保健医になる方よ。今日は赴任前に校長先生に挨拶に来ていたので、少し仕事内容をお話していたの。ふふふ。先生がいなくなると思って焦っちゃった?


あら。タカシくん。顔が真っ赤。」


≪タカシ≫

「恥っずかしー。ホント勘違いして、恥ずかしすぎだわー。」


≪雅≫

「ほらほら。ストーップ。だから、潜り込まないのー。はい、布団没収。

 ふふふ。ねぇ、もっとよく見せて。貴方の可愛い真っ赤なお顔。」


≪タカシ≫

「先生、奇瑠美先輩みたいになっていませんか。うぅっ、」


≪雅≫

「うふふふ。タカシくんっていじめると反応が可愛いから。つい。

 よしよし。大丈夫。もういじめないし、心配ないからね。だから一人で悩まなくてもいいよ。やさしい雅先生が、貴方だけをいつでも、ギューっと抱きしめてあげるからね。」


≪タカシ≫「せ、せんせい。胸がつ、呼吸がっ、苦しい。」


≪雅≫

「私は今の貴方が大好きよ。だから焦って大人になろうと思わないで。ゆっくりと貴方のペースで成長していきましょう。ふふふふ。


 私好みの男の人に育つようにちゃんと導いてあげるから安心して。

 先生が色々と教えてあ・げ・る。」



≪卒業式 雅ルート おわり≫

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