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銀風高校恋物語  作者: 助三郎
シナリオ本編
11/19

3. 卒業式 奇瑠美ルート

奇瑠美(きるみ)

「あおーけばーとおーとし。わがしのーおんー。はぁ(溜息)」


≪タカシ≫

「あ、奇瑠美先輩。こんなところにいた。校舎中探しちゃいましたよ。」

≪奇瑠美≫

「あら、タカシくん。私を探してくれたのね。うれしいわん。そっかー。ついに見つかっちゃったか。何で判ったの。ここに私がいるって。」

≪タカシ≫

「そりゃ、まぁー。奇瑠美先輩と一番最初に出会ったのもこの音楽室だったから。もしかして…と思って。」

≪奇瑠美≫

「また覗いていたわけね」

≪タカシ≫

「ちっ、違いますよっ。あの時もこの音楽室から歌が聞こえるから、様子を伺っていただけで。」

≪奇瑠美≫

「タカシくん。それを「覗き」と世間では言うのよ。」


≪タカシ≫

「あの後、オレが落とした生徒手帳を持ってオレの教室に先輩が乗り込んできて、みんなの前でオレの事をまるで「変質者」のように言うから、みんなの誤解を解くのにオレ、すっごい大変だったんですよ。」

≪奇瑠美≫

「はははは。そうね。そうだったわ。でも、そのお陰であなたは演劇部に入ったんじゃない。」

≪タカシ≫

「ほぼ、強制でしたよね。先輩が顧問の先生に勝手に入部届を出しちゃっていたし。」

≪奇瑠美≫

「いやー、ごめんごめん。あの時は悪かったわーホント。はははー」


≪タカシ≫

「-先輩。やっぱりいつもより元気ないですよね。」

≪奇瑠美≫

「うーん。バレたかー。うん。やっぱり卒業って事を考えると、ちょっぴりブルーな気持ちだね。こんな時はいつもこの時間にこの音楽室のこのピアノの前でいろいろと考え事をするわけですよ。今日はちょっと強引だったかなー。とか、あーもっと優しい態度があったかなーとか。ほら、私の性格上?いつまでもクヨクヨしてられないからさ。」


≪タカシ≫

「先輩も落ち込む時があるんですね。意外だな。」

≪奇瑠美≫

「うわー。先輩に向かって失礼極まりないわ。」

≪タカシ≫

「先輩って、「こう!」って決めたら、想うがままに進んで、後悔なんてしない人だと思っていました。なんか、そんな真っ直ぐな先輩でも、クヨクヨとかするんだなーって。」


≪奇瑠美≫「…幻滅しちゃった?」

≪タカシ≫

「いや、うまく伝えられないけど、そんな弱った姿をオレ達に見せないよう振舞っていた先輩って、本当に凄いなって。でも、そんな弱いところをなんでオレに教えてくれなかったのかなって。なんでオレも先輩の演技に気付かなかったのかなって。先輩に対する尊敬の気持ちと、それに対してオレの不甲斐ない気持ちでモヤモヤしています。

オレってやっぱり頼りない後輩だからかな。ははは」


≪奇瑠美≫

「タカシくん。私は、タカシくんに出会えて良かったよ。あの時、大慌てで走り去って行った君の後姿、足元に偶然落ちていた君の生徒手帳。君は転校してきたばかりでクラスに馴染めず、友だちもいない、部活もないから放課後はフリーときた。これは運命だと感じたわ。

 そうしたら、強引になってでも、その運命を手に入れたいと思わない?そして、手に入れたからには、そう易々と他の手に渡す気にはなれなくてよ。」


≪タカシ≫

「さすが。奇瑠美先輩らしい女王様みたいな言葉ですね。」

≪奇瑠美≫

「ふふふ。女王様か。

 あー。一年って早いなー。もっと君とやりたい事がいっぱいあったのに。全然部活もでてくれなかったし。学校内だといっつもお邪魔虫が周りを固めていて2人きりになるチャンスがなかったし。もう一層の事、留年して君と同じ学年になろうかなって思ったけど、将来的に不利になるからやっぱりやめた。」


≪タカシ≫「奇瑠美先輩。」

≪奇瑠美≫「ほら。呆けた顔してないで。

 念願通り君の前でクヨクヨと弱音を吐いてみせたわよ。女王様の奇留美先輩が可愛い後輩くんのためだけに、弱い姿を見せてやったわよ。レアよ。激レアよ。ウルトラレアよ。どうせ、よわっちー私は、私らしくないって言うんでしょ。笑いたければ笑ってみたら。はっはっはー」


≪タカシ≫

「あ、先輩。ほら。最初に逢った時と同じだ。窓から大きな夕日が教室に差しこんで、先輩の姿を後ろから照らしていますよ。…うん。やっぱり、先輩はカッコ良くて、そしてとてもキレイです。」


≪奇瑠美≫

「っ―。ほんと、君は人の話聞いているのかしら。先輩はタカシくんの事が不安になりますよ。

 まぁ、いっか。うん。やっぱり君は良いね。好きだなー。ホント、手放したくなくなるよ。」


≪タカシ≫

「放したくないのなら、放さなきゃいいんですよ。「そう易々と他の手に渡す気はない」んでしょ。んで、何を手放すんですか?


 ―ってて、急に突き飛ばすから壁に頭打っちゃいましたよ。」


≪奇瑠美≫

「実を言うと、卒業しても部活のOBとして後輩に指導しに来るよう顧問に言われていたのよね。さっきまでその話を受けようか迷っていたのだけれど…うん。やっぱりその話を受ける事に決めたわ。

 だから来年度からもあなたに会えるわよ。嬉しいでしょう。シッポ振って喜びなさい。」


≪タカシ≫「そっ、そうですか。それはヨカッタヨカッタ…」

≪奇瑠美≫

「だ・か・ら。っんたく、もう。

 なんでここまで言っても判ってくれないのよ。

 そうね。この鈍感でにぶちんで、でも、愛しい後輩くんに、先輩が特別指導をしてあげるわ。私が貴方なしではいられないように、貴方の中も私の事しか考えられないようにしてあげる。安心して。私は貴方を絶対手放したりしないから。


 だから私の物になりなさい。

 さぁ、この唇で女王様の私に忠誠のキスをしてちょうだい。」



≪卒業式 奇瑠美ルート おわり≫

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