3. 卒業式 プロローグ
≪伽音≫
「あ、タカシ見てみてー。桜の蕾がピンク色に染まっているよ。この校庭の桜が満開になるまであと少し
だね。そしたら、タカシがここにきて一年が経つんだね。あっという間だな。」
≪タカシ≫「そうだなー。」
≪伽音≫
「もう。さっきからいつも以上にぼーっとしているけど、どうしたの。」
≪タカシ≫
「いやー。今日って卒業式じゃん。オレ達2年生にとっては、来年のこの日にこの学校を卒業するわけで、そして今年は3年生の奇瑠美先輩が卒業しちゃうわけじゃん。」
≪伽音≫
「そうね。これから式、始まっちゃうね。なんだ。奇瑠美先輩の事を気にかけていたのね。」
≪タカシ≫
「だって気になるだろ。あの人、ちゃんと卒業できるのかな、って。勉強やっている雰囲気全くなかったし、時々アホっぽいし。」
≪奇瑠美≫
「なにそれー、超ひどいんだけど。この天才の奇瑠美先輩は、愛しい後輩が心配しなくても、ちゃんと卒業認定されましたよ。来年からは、晴れて大学生ですよー。」
≪伽音≫
「奇瑠美先輩。それはそれは、おめでとうございます。タカシの事は気になさらず、大学生活を楽しんでください。」
≪奇瑠美≫
「あらんー。伽音ちゃん、相変わらずアタシには最後まで棘があるのね。先輩、ちょっと悲しいわ。
そう言えば、タカシくん聞いたー?雅先生がもしかしたら「寿」するかもしれないって噂が流れているわよ。」
≪タカシ≫「ことぶき?」
≪伽音≫
「あーそれ、私もさっき友達から聞きました。どうやら相手は他校の先生だそうですよ。」
≪奇瑠美≫
「そうそう。しかも、来月からは保健医じゃなくなるんでしょ。」
≪タカシ≫
「ちょっ、ちょっと待って。雅先生が寿ってどういうこと?なんで保健医じゃなくなるの。」
≪伽音≫
「寿って言うのは「寿退社」の事よ。」
≪奇瑠美≫
「結婚して退職。保健医でなくなるっていうのは、専業主婦にでもなるのかしらねー。まぁ、先生に逢えるのは今月いっぱいって事。ちなみにアタシと学校で会えるのは、今日いっぱいだけどね。」
≪タカシ≫「そんな。」
≪伽音≫「タカシ、大丈夫?」
≪雅≫
「あらあら。ここにいたのねー。もうすぐ卒業式始まるわよ。いつも私が呼びにこないといつまででも3人で話しているんだから。ほらほら。集合。」
≪奇瑠美≫
「あ、雅先生。じゃぁ、アタシ、クラスの列に戻らなきゃ。ほら、あなた達も会場に入りなさい。そして、アタシをしっかりと見送ってよ。」
≪雅≫
「ほら、タカシくん。しっかり顔をあげて。いつものあなたらしくないわよー。今日は保健室コースはダ
メよー。ちゃんと式に参加して先輩たちを見送ってあげなさい。」
≪伽音≫
「タカシ、私たちも式典会場に行かないと。先にいくよ。」
≪タカシ≫「はぁー。なんか今回は、なんか心が重いなぁー。」
≪奇瑠美≫
「今日でこの学校とは最後。君ともう一度思い出を作りたいな。「卒業式 奇瑠美ルート」で待っているわ。」
≪雅≫
「卒業式お疲れ様。今日の最後にあなたに伝えたい事があるの。「卒業式 雅ルート」で、先生待っているわね。」
≪伽音≫
「私はあなたとずっと一緒だよ。離れたりしないよ。だから「卒業式 伽音ルート」であなたの事を迎えに行くからね。」