うわさ2
チャイムが鳴って、やっと授業が終わり、
時計を見て今がお昼の時間だと知った。
結局、スマートフォンは没収され散々先生に質問された。
「今日一緒に帰んのー?!」
「なれそめは?何時、どこで、どっちからー?!」
「矢吹のどこが好きなのー?!」
とか。
しかも、しつこい。
付き合ってねーし。
思春期の子の気にさわる質問を、先生がしていいのか?
言おうと思ったけどやめた。
ここで何か言っても、ろくなことにならなそうだったから。
先生の質問攻撃が一旦落ち着いたところで、
「それで、プリントはどうしたんデスカ。授業を再開してくれません?」
と何食わぬ顔で言うと、悔しそうな表情で僕から離れていった。
「美剣、おべんと食べよ」
目の前の席に真彩ちゃんが遠慮無しに座る。
前の席の子がそそくさとお弁当を持って逃げた。
「うん」
ガタガタとうるさく椅子を鳴らして、紗奈ちゃん、唯ちゃんも近場に座る。
梅ちゃんは?
と周囲を見回すと机に突っ伏している。
「うち、うーちゃん迎え行ってくる!」
唯ちゃんの背中を見送って、弁当の包みを開ける。
紺一色の弁当箱。
真彩ちゃんや紗奈ちゃんの暖色系の物が隣に並んだ。
「あの先公まじうざい」
短く言い切ったのは紗奈ちゃん。
梅ちゃんと唯ちゃんはこの手の話に疎い。
2人が向こうで盛り上がってるのを見て、口を開く。
「ああ、まあ。しつこいとは思った」
蓋を開けると箸が伸びてきて唐揚げが1つ無くなった。
咀嚼しながら真彩ちゃんも話に参加する。
「つーか、美剣が誰と付き合っててもあいつにはカンケーないし」
「そーだよねー。正直最近調子のってるとは思ってたけどー」
ふふっと口許を緩まして妖しく笑う真彩ちゃんは、
こう、続けた。
「シメてあげようか、美剣?」
女の子は何て奇麗で可愛くて逞しくて・・・恐いんだろう。
この子達と、友達で良かった。
敵に回したら、なんて考えたくない。
絶対不登校になると思う。